コエトモ民@デスゲーム❺


「ハァ…ハァ……そんなの、もう決まってんじゃねぇか。」
8ミリが、ふらつきながらも立ち上がり言った。
「オレが時間を稼ぐ…オマエらは逃げろッ!」
「ダメだそんなことできるわけないだろ」
「うるせぇ、言った…だろ 
オマエ達は、オレが守ってやるって」
「でも、きっと…何か方法が……」
「もう、わかるだろ…ライオネルガ
オレはもう…助からない。」
「8ミリ……」
ライオネルガの顔を見ると悲痛な表情をしていた。
「早く……に、げろ…」
そういうと、8ミリは辿々しい足取りでアルの方へ歩いて行った。
「グァオウッ」
「かかってこいよショタチン野郎
口のきき方ってやつを教えてやるッ」
そういうと8ミリは、最後の力を振り絞りアルに向かってシャベルを振り翳した。
しかし、アルはそれを軽々と避けた。
「グフゥ」
8ミリが血を吐いた。
「ちくしょう……ちくしょうッちくしょうッ」
「グァッハッハッアァァ」
アルが嘲笑うかのように吠える。
「うぜえぞ…クソガキがぁ」そういうと、8ミリはアルを殴った。その拳は、とても弱々しく見えた。
クソッ…このままじゃ、8ミリは、
「グァアッ!!!!」
アルが拳を振り上げる。
「やめろぉぉ!!!!!!」
気づけばオレは飛び出していた。
「何してんだッ!!!ゲスオッ!!」
ライオネルガの叫びが霞んで聞こえた。
過去が走馬灯のように脳を駆け巡る。
オレは8ミリの前に立ち、大きく手を広げ、覚悟を決めた。
「バカ……野郎が……ぐはっ」
アルの拳は、8ミリを貫いていた。
「何で、、、だよ」
オレの問いかけに8ミリが笑ったような気がした。
その瞬間  「パァンッ!!!」
乾いた音と共に衝撃波が放たれた。
オレは吹き飛ばされた。
強い風で目を開けていられない。
しばらく経ち、ゆっくりと目を開ける。
するとそこには、白髪になった8ミリが立っていた。
「適合者だ。」
いつのまにか人の姿に戻っていたアルがそう呟いた。
「適合……者?」
あの化け物は、何を言ってるんだ?
「8ミリッ!!!」
ライオネルガが8ミリに駆け寄って行くのが見える。
オレも慌てて2人に近づいた。
「大丈夫か!?」
「ああ……」
「8ミリ…大丈夫か?」
「あああアガグゥグァゲェウォガ!」
8ミリが苦しみ出した。
「おい!しっかりしろ!」
オレが声をかけると8ミリの体はさらに激しく痙攣し始めた。
「ガァアアアアアアガッ」
8ミリは口から泡を吹きながら悶絶している。
  ビキビキビキ…
8ミリの肩から流れていた血が突如、腕の形を成して固まり出した。
「まさか、こんな奴が……選ばれるなんて、」
アルが一人ぶつぶつと呟いている。
何が起こっているんだ?8ミリは助かるのだろうか?
だがまぁ、逃げるなら今のうちだろう。
「ライオネルガ、8ミリを背負って逃げるぞ」
「…8ミリは、人間なのかな?」
「人間か鬼かの前に、8ミリは俺たちの仲間だから、オレは連れて行く」
「……わかった」
「よし、行くぞ8ミリ」
アルにバレないように会話をして、
オレは8ミリを背負い、歩き出した。
もうすぐ階段を降り切る。
よし、バレてなさそうだな。
そう思った時だった。 
「よくもまぁ僕がみすみす君たちを逃すと思ったね。足りない頭でも少し考えればわかるだろうに。まあいい、単刀直入に言おう。彼を渡せ。彼はもう、君たちとは生物としての格が違うんだ。」
「嫌だ、と言ったら。」
「殺して奪い取る。と言いたいところだが、あいにく時間がなくてね。
君たちは見逃してあげるよ。」
言うが早いか、アルはオレが背負っていた8ミリを掠め取って暗闇の中に消えていった。
「8ミリーーー!!!!!!」
オレとライオネルガの声は、虚しく部屋にこだました。

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