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「ホームラン」

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後編

後編

「史緖里!」

病室の扉を開くと同時に名前を叫ぶ。そこにはベッドの上に座り、何かを編んでいる史緖里がいた。

「〇〇…ここ病院だよ、静かに」

口に手をやる史緖里。声は震えていたがいつもの史緖里だった。

「でも、どうして?」

不思議そうな顔をする。遅れて来た美月が訳を話した。

「ごめん、私が〇〇に伝えた」

俯く美月に史緖里は優しく答える。

「そっか。今まで隠してくれてありがとね、やま」

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中編

中編

東東京大会準決勝。相手は3年連続代表校の初森第二商業高校。

1点差で迎えた9回裏2アウト1、3塁に俺に代打が告げられる。

いつものように打席に入る。1塁ベンチは全員が俺のヒットを祈っていた。

相手のピッチャーが大きく腕を振る。タイミング良くバットでボールをとらえた。

カキーン

ボールは高々と空に上がる。球場が一気に沸いた。

パシッ

ボールが辿り着いたのはレフトスタンドではなくレフトの

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前編

前編

カキーン

雲ひとつない青空に白球は勢いよく吸い込まれていく。

ランナーが1人帰り、2人帰る。当のバッターは意気揚々と2塁ベースを蹴っていた。

俺はベンチの中からそれを見ていた。悔しくて仕方なかった。

幼かった記憶に強く刻まれたホームラン。それが俺が野球を続ける原動力でもあった。

その試合は圧勝だった。俺のライバルは最終回のマウンドにも立っている。

「ストラーイク!バッターアウト!」

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