見出し画像

社会人になっちゃった

 社会人になっちゃった。なった。でもならされた。でもなく、なっちゃった。

 気付いたらなっちゃってた。それで、なんだかんだ働いてる。何だかすごく長い間社会人をやっている気がする。自分の今立っている場所っていうのかな、人生の座標、みたいのが子供の時に思い描いてた最大限のところまで来てしまって、「うわ、すごく遠くまで来たな、あっちが来た方向で、あっちが向かう方向だよな、どこにでも行けるんだな」なんて考えている感じ。でも思い描いてたあの時間には戻れない、それだけはわかってるんだ。

 自分でも驚くくらいすごい精神が落ち着いてて、さらにすごく前向き。今までみたいな後ろ向きな事とか全然考えてない。戻れないんだななんて考えると少しだけ、少しだけ寂しいけど。やるべき事を片っ端からやって、ついでに自分の好きなことを少しずつやって、最後にかっこよく死んでやろう。そんな気持ち。スポーツの試合前の感情に似てる。血液が水銀に置き換わった様な、音がやけに低空飛行してる様な、自分以外の世界のスピードがやたらと早くなった様な、あの感じ。ああ、今から僕はスポーツをするんだな。やっとプレイボールがかかるんだ。第一打席は思い切り空振り三振してやろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?