大前研一と考える「営業」学

営業こそプロフェッショナルを目指す

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タイトル:大前研一と考える「営業」学 
     営業こそプロフェッショナルを目指せ
著者:大前研一、斎藤顕一、須藤実和、川上真史、後正武

営業のプロフェッショナル化

営業こそ、プロフェッショナルを目指さなければならない
営業は、セールスフォース(販売部隊)、フロント・ライン(最前線)などと称されるように、顧客や市場シェアの争奪戦のために「体を張って」働く仕事として一般的に理解されてきました。
そして、現在のような不況期であっても、どこの企業も、売り上げや利益、市場シェアを確保せんと馬車馬のごとく営業の尻を叩きます。
エサは二の次、という企業も珍しくありません。
しかし、営業のプロフェッショナル化に取り組めば、こうした「売れないものでも売ってくるのは営業の仕事」という不条理認識や「四の五の言わず 売ってこい」といった理不尽な命令が影を潜めていきます。
そればかりか次のような可能性も開けてきます。

〇本当に顧客が求めているのは何かを厳しく問う顧客主義が、
 組織に定着する。

〇製品の販売ではなく、サービスと組み合わせたソリューション営業が
 主流となる。

〇体系的な知識の重要性が認識され、継続的な学習が進む。

〇個人間、チーム間で、知識や価値観の共有が促される。

〇一匹狼的な個人営業ではなく、チーム営業にシフトする。

〇顧客への価値のみならず、営業部門の組織能力と営業担当者の個人能力の両方を高める、新しい業績指標が開発される。

〇組織内の不公平感が薄まり、納得性の高い人事制度や報酬体系が整う。

これらの結果、必然的に企業の「戦略的自由度」が格段にアップするはずです。戦略的自由度とは、文字通り実行可能な経営戦略の選択肢の幅が広がることであり、その結果変化への適応力が高まり、おのずと競争力も上昇していきます。
つまるところ、企業成長の敵とは、変化を嫌い、穏便安穏と旧態を墨守することほかなりません。したがって絶えざる改善・改革が欠かせないわけですが、ほとんどの企業において、とりわけ営業部門が抵抗勢力になりがちです。
顧客に影響の及ぶ社内手続きの変更や新しいルールに、顧客に最も近い存在の営業が頑強に抵抗するのも分からなくありません。こうして営業部門は、改革と聞けば反射的に抵抗するようになってしまうわけです。

営業はこれまで染みついた習慣や固定概念のせいで、ほとんど進歩が止まっています。営業のプロフェッショナル化とは、このとまった時計の針を
動かそうという試みであります。

営業のプロフェッショナル化において、まず身に着けるべき基本スキル
〇マーケティング・リテラシー
〇ロジカル・コミュニケーション

現場の生情報は、勝手な予想や思い込みが入り込んでいたり、単なるうわさやデマだったりすることも多いです。
玉石混交です。それをふるいにかけて、玉と石の区別をするには、
やはりマーケティングの基礎知識が最低限必要になります。

また、そうした情報をロジカルによって説明できれば、営業はいわゆる 「ストリート・スマート」に変身できます。ストリート・スマートとは、
現場の知識と理論の知識を持ち合わせ、これらを上手く融合し、臨機応変に思考出来る人たちのことです。

営業は、顧客に最も近い存在であり、現場情報に日々接していることが最大の強みなので、これらを生かすことが求められます。

情報力が営業を変える。

営業が獲得すべき情報の軸は、次の3点です。
①自社商品の情報
自社商品の情報収集は営業担当者が行うべき重要な仕事です、使い勝手や 不具合に関するユーザーの本音(担当者との相性、コミュニケーション等)は
調査や統計データなどから浮かび上がってくるものではありません。
営業担当者だけが知りうるものなのです。

②競合情報
競合情報を入手する方法はたくさんあります。
販売代理店を取材する、営業車を追いかけて顧客先に飛び込み営業をかけることだって可能です。場合によっては、ライバルが顧客ニーズに対応しきれていない等のチャンスにつながる情報をつかめるかもしれません。
(実際のところで言えば、リプレースの場合はどんな営業を受けたか、提案書をもらう、ZOOMであれば、録画データをもらうなど?)

③顧客ニーズ
人間は、自分は本当に困っていることをなかなか把握できません。    そんな時、よく「なにかお困りなことはありませんか」など質問する   営業担当者がいますが、顧客ニーズを把握するのに、このやり方は賢明ではないと筆者は述べています。
現状のニーズから解決策を伝えるだけではなく、提案を入れて相手にとってよりよい手段を提示することも可能です。

短期で成果を上げようとしない

営業と販売の違いについて明確に説明ができますか?
販売は、売り上げ目標を達成するために、時には顧客の事情を無視して商品を押し売りすることです。これに対して本当の営業は、顧客との関係最優先して行うものです。顧客のニーズをとらえ、顧客のタメになることを、相手の都合のよい手順で行います。このような顧客本位の営業をおこなえば、
たとえすぐに売り上げに繋がらないにしても、結局は息の長い関係を構築することが出来ます。

自動車販売会社の営業担当者で例えると、
業界にもよりますが、だいたいの営業マンが頑張るのは、期末の3月、9月と決まっています。しかし、販売ではなく、営業をしようとなると、顧客のサイクルで動かなければなりません。自動車販売会社の場合、顧客のサイクルは車検のある2年ごとになります。
車検が近づくたびに新車の情報提供、好みの車について語る事で顧客との信頼関係は深まっていきます。

時には、「売らない」という判断も必要になるのが、営業です。

「いっそのこと買い替えようかな」という返答が来たとしても、走行距離がまだそれほどいっていないであれば、理由を聞くべきです。
スノーボードを始めたため、雪道に強い四輪駆動車への乗り換えを検討しているという事でした。
この時にあなたならどうしますか??
優秀な営業マンであれば、四輪駆動車のデメリットをしっかり伝えるべきです。維持費がかかること、スノーボードの回数を聞いて年間数回ならば、
レンタカーを借りることなど。他の選択肢も与えてあげるべきです。
顧客は「売上よりも自分のことを考えてアドバイスしてくれた。」と感激してくれるはずです。

営業チーム力の向上

営業において管理とは?
営業にとっての「チーム」の意義を考えるとき、営業担当者の活動が、 「管理」という視点からみると、工場勤務者や事務職ことなる、際立った 特徴がある。
営業の活動の場所は、主に客先であって、事務所ではない。
(※Web会議に移行したことで少々異なる点があります。)
管理者や同僚と小田木に見える場所で行動しているわけではありません。
営業担当は、通常個人のテリトリー(責任領域)を与えられ、そこでは、
会社を代表する全権、全責任を負って販売活動を完結することを要求されます。そうした顧客にたいして、発掘、引き合い、交渉、成約、アフター・ サービス等、営業活動の過程に沿ってさまざま活動が要求されます。
営業活動の成果は、売上という金額・個数などの比較的単純な数字で集計・表示されることです。そのため、営業担当者の評価が、営業借る同の内容が多岐にわたり、管理が難しいことと相まってー「成果主義」という言葉で
表されるように、打ち上げという「活動の結果」に基づいて行われ、   そこに至る過程の工夫や努力は直接評価されないのが一般的です。

このような営業活動を管理する方法は、2つあります。
1つは、アメリカのセールス・レップ(契約販売員)に代表されるような、 業績報酬制による動機付けと管理です。彼は、マーケティング部門の与える指針に従って販売活動を行いますが、業績が上がらなければ契約を解除されます。また、営業担当者ぐぁも業績が認められないと思えば、よりよい報酬を求めて他社に移るなど、全て個人の動機として責任で行動します。
(つまり、売上という成績だけで人を管理するシステム)

もう1つは、日本の多くの営業組織に見られるような、恒常的雇用契約を前提として、月給制のもとに集団組織として営業担当者を育成・管理しようという考え方です。もちろん業績は問われますが、その前に売り上げに至る複雑な営業活動の経験を組織全体で蓄積し、その中で、個人・組織の習熟と成長の過程を通して、全体としての業績を上げていこうとするものです。
(現在のリスプラもこっち)

実際の営業の管では、この「結果の管理」と「プロセスの管理」を組み合わせた色々な態様があります。そして、営業チーム力の向上は、組織として結果を導く過程について集団知をいかに蓄積し活用できるか、その構成員である個人がいかに成長できるかにかかっています。

成果主義とチームワーク

「成果主義がチームワークを破壊する」「成長主義の導入で競争意識は向上したが、同僚との情報やノウハウの共有が行われなくなった」「ベテラン営業マンが自分ことで手いっぱいで後輩や部下の面倒を見ないので人材が育たない。」等を良く懸念点として挙げている組織があります。
現実に相応側面があることは否定しがたいのですが、それは成果主義自体に問題があるわけではなく、「運用する人の指導力」か「運用の目的・方法」に問題があることが大半です。
成果主義によって起こる競争や情報共有の減少は単純に自滅行為にしかすぎません。将来に割ってマイナスにしかならない競争状態にチームが陥っているとするその責任はリーダーにあります。


野球と同じです。野球を例に例えると分かり易いです。
打率や投手の勝ち星などの個人記録が良いことは、チーム全体にとっても プラスです。個人記録の良い選手たちが競り合い、協力しあえば、チームの成績は上がるはずです。
個人記録に執着しすぎる選手のせいで、チームが負けるのならば、そのチームはチームとして成り立っていません。監督というリーダーが機能発揮できていない証拠です。

営業組織の管理には、「結果の管理」(業績評価)と「プロセスの管理」(業績に至る過程の指導・管理)の2つがあります。真の業績向上のためには、単に今期の成果を評価するのではなく、プロセスの指導と管理を具体的に行う事が極めて重要です。
既存顧客の将来にわたって維持し、深耕するために、どのような動きをおこなうのか、新規顧客開拓にいかに取り組くか具体的に検討し、実行状況を フォローする。

中長期的な取り組みになりますが、プロセス管理を行うことで営業の一元管理が出来るようになり、安定した成果をチームが出せるようになります。

考察

今回は、作者ごとに違う視点で営業のスキル、管理について記載がありました。また、ソリューション営業(問題解決型)についても記載がありました。
相手の問題について営業だけで立ち向かうのではなく、部署の連携と課題に対してシステムをどう柔軟に対応できるか、という内容がメインでした。
リスプラでもカスタマイズできるサービスは多いと思います。そういう意味でもヒアリングでT字話法を活用し、相手の真の課題とそこに対するアプローチをしていきたいと思います。
管理部門についてもどうしても成果で見がちですが、その過程起こるプロセスの重要性について考えるきっかけとなりました。
クローザー側では、ZOOMの動画、資料のチェックで管理が出来ますが、
TM事業部については管理が行き届かないところがどうしても出てくると思いました。現状の案件化率についてもここの改善でより上げていけるとも思いました。

現場で行っていくこと

①自社商品の情報について
⇒コンサルタントが直接「現状どうですか?」と聞いても
管理画面の数値についての感想しか来ません。
提案しているときのトークの実際のコンサルタントの対応にギャップがあったかどうか、コミュニケーションにおいて問題はあるか、また、
現状のパフォーマンスにおいてなにか悩みはあるか、提案はあるか。
営業という別の視点で現状のコンサルタントとの関係値について
ヒアリングを行っていきます。そして、ただヒアリングを行うのではなく、
課題から追加提案を行っていきます。

そのまま受注もできると思いますが、ごり押ししてしまうと
営業をかけられているように捉えてしまいます。あくまでも
選択肢の一つを提供し、その内容をコンサルに共有し、そこで具体性を詰めて刈り取りが出来るようにしていきます。

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