時間がかかりすぎる問題

 これも単なるぼやきだから、有料記事にして見せないようにした方が良いのかもしれない。そういう感じのものです。

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 とにかく時間がかかる。小説を書くのに。短い作品の中には短時間で書いたものもある(noteに書いているものは全部短いし、あっという間に書いたものばかりだ)けれど、やはり短時間で書いたものはクオリティが低い。まともに読める小説を短時間で書けないというのが今抱えている大きな課題なのだ。

 題材を得る。キャラクタを考える。世界を考える。ストーリーを膨らませる。底に流れるべきテーマと紐づける。参考資料を集める。プロットを考える。シーン構成を考える。文体を考える。

 書き始めるまでに最短でも一か月ぐらいはかかる。これまで最も高い評価を得た作品では構想から書き始めるまでに二年かかり、それから書き上げるのに半年ぐらいかかった。二か月ぐらいで書き上げて推敲に四か月かかった。

 先日、二千字の作品を書いた。二千字という縛りの中で書く、ある企画への応募作品だった。

 題材はシンプルだった。しかしそれ以外の要素が、やはり長編とはまったく違う。

 キャラクタを考えたが、キャラクタを説明する字数はない。一瞬でわかるようなキャラクタが必要だ。

 世界も考えたが、世界を説明する字数もない。現実と地続きの、説明の必要ない世界が必要だ。

 ストーリーは、複雑な伏線を張るような字数はない。トントンと流れるだけで刺さるような何かが必要だ。

 書くこと自体は一瞬で終わった。なにしろ二千字しかない。原稿用紙なら六~七枚分程度だろう(原稿用紙は四〇〇字詰めだがぎっしり書くわけではないから二千字は六~七枚換算になる)。

 推敲まで含めて二時間程度で書いたような気がする。表現したかったものはぜんぜん書けなかった。同じ題材で短編(四十枚程度)ならもっと書きたいことがあったし、なんなら中編(百五十枚程度)ぐらいがちょうどいいような気がする。キャラクタ設定だけでもノートで六ページ分のメモがあり、それを二千字の作品ではにおわせることすらできなかった。これは力量不足によるところが大きい。もっとやりようがあったような気がするけれど、今のところわたしには書けない。

 二千~四千字程度の掌編を右から左へ書き散らせるようになりたいと思うのだけれど、これまでやってきたことと方法論が違いすぎて今のところどうすればそのようなことが可能なのかわからない。

 実は当初note では掌編を練習しようと思っていたのだけれど、最初に書いたものが大いに滑り、迷走したので離れてしまった。

 その後いくつかのコンテストに向けて掌編を書いたけれど、いずれも何らかの要素が甘い。力量不足によるところが大きいけれど、それ以上に、やはり掌編をまとめる能力が欠けていると思う。どうも長編の発想から抜けられないところがあって、長編から抜粋したみたいなものになってしまうのだ。Museのやつ(小説の方)も乾杯のやつもそういう問題があった。

 唯一、学校のやつに書いたものだけ、自分では気に入っていた。あれは四千字という規定があり(四千字程度という表記だった)、四千字になるようにプランニングして割とうまく行った(と自分では思った)、のだが、あの作品が実はもっとも反応が悪い。実はこれまでにnoteで書いた作品の中で唯一、誰からも何も言われなかった作品なのだ。数字で見ても、PV数では私が書いた創作作品の中で断トツに低い。公式のコンテスト参加作品であるにも関わらず、最初に書いた、ほとんどフォロワーがいなかった頃の掌編よりもPV数が低い。これで正直、けっこう自信を無くした。自分ではかなり満足できた作品だったのでなおさら。

 今は頓挫した中編と、その代わりに書こうと思っている中編(長めの中編または短めの長編といったサイズ感のもの)があり、その先で書こうと思っている長編のプロットを抱えている。いずれも、時間がかかる作品ばかりだ。

 プロフィールに小説を書いていると謳っているのにぜんぜん小説を上げておらず、いったい何をしているんだと自問する日々だ。大きな作品に頭のリソースをとられすぎて掌編を量産できない。

 noteフェスで柿内さんが「キャッチアンドリリース」と言っていた。アイデアを捕まえたらすぐに出荷する。

 なるほどと思ったのだけれど、実践できない。アイデアはキャッチしてとりあえずノートに書いてある。そこまではできていると思う。一日に三個~十個ぐらい、アイデアは書く。アイデアをただ書くだけだけれど、ノートに書いている。キャッチ&プールだ。問題はそれをリリースするところなのだけれど、右から左へリリースできるほどアウトプットがシステム化されていない。

 この、アウトプットのシステム化が目下の課題だ。キャラクタや世界やプロットの深みで魅せるという手法を捨てなければ二千字の掌編は書けない。逆に、これまで自分の強みとしてきたそういう部分を取り去ったら、自分には何も残らないことが浮き彫りになった。掌編で戦えるようになれば、長いものを書く方にも良い影響があるのではないかという気がしている。

※結局今日は、頓挫したはずの中編を五枚分ほど進めた。辞めようと思ったのに辞められない。

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