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とにかく録音したい #3000字に込めた偏愛

Twitter で何度かやり取りをしたことがあった椎名トキさんによる魅力的な企画、その名も「3000字に込めた偏愛」。勇んで参加する気満々だったのに気付けば締め切り間近!(現在5月15日16:00)

3000字という制限があるので前置きはさておき本題に突入。

録音が好きだ

録音。音を録る。なんらかの形で音を記録しよう、というのが録音という行為。これは皆さんご存知でしょう。英語ではレコード(記録する)という言葉がそのまま使われ、録音行為のことはレコーディングと呼ばれる。

なお、どうでもいい余談だが、日本の音楽業界ではトイレに行くことを「レコーディング」と言う。飲み会などで「ちょっとトイレへ」と言う代わりに「ちょっとレコーディング」と言ったりするのだ。もちろん「おトイレ=音入れ」だから。

さてなんの話だっけ。そうそう、録音。とにかく録音したい。あれもこれも。なんらかの対象に対して写真を撮る以上に、音を録りたい。

しかし机の上に恋人の写真を飾って四六時中眺めていてもおかしくないのに、恋人の声を録音して四六時中聞いていたらちょっと変態じみてくるのはなぜだろうか。

思えば面食いのことを「顔フェチ」とは言わないのに、「声フェチ」というのはある。耳は目よりも濃密に官能と繋がっているのかもしれない。

わたしの録音歴

わたしが録音という行為に触れたのは比較的早かった。小学校に上がる前、テレビから流れてくる音楽を録音していた。もちろん最初は親がやってくれたわけだが、今から40年以上前、モノラルのテレビの前にラジカセを置き、ラジカセのマイクで音を収録する、という超原始的な方法で録音していた。

そのため、当時のカセットテープは音質が低いだけでなく、音楽を録音しながら周囲の音まで入ってしまうという状態で、自分たちの声まで入っているような音源が出来上がった。それを飽きもせず、ひたすら繰り返し聞いていた。

小学校に上がると多少技術が増し、FM放送を受信しながら録音する、といったことに着手する。これによって音楽の音質は格段に向上し、高学年になるとステレオダブルカセットデッキなどというものが導入され、録音したマスターから普段聞くためのコピーを作る、といったことを始めた。

そして中学校に進学し、MTR、マルチトラックレコーダに出会う。これはカセットテープに4トラック分の録音ができるという代物で、中古で手に入れたTASCAMのカセットMTRで宅録の走りみたいなことをしていた。

それから8トラックのカセットMTRを経て90年代末期にWindows95 のパソコンを使用したデジタル録音を体験し、以降環境をアップデートしながら何かしら録音し続けてきた。

録音マニア再燃

その後も何かしら録音は続けてきたものの、フェチ度は次第に下がり、特別な思いを持って録音するわけでもない、という状況が続いていた。

が。

2020年にnote を始めたのをきっかけに、録音熱が再燃することになる。音声配信との出会いだ。noteをきっかけに音声配信に触れ、録音熱が再燃した。むしろ、ものすごい火力を伴って爆発した。

現在はStand.fm でどうでもいいような雑談をほぼ毎日更新し、Podcast ではクリエイティブや映画に関する話を週一ぐらいのペースで配信している。

※深夜の小声雑談シリーズはヘッドフォン推奨 寝落ちようにどうぞ

音声配信で録音するのはもちろん声だ。声をどうやって録音するか、どのように音質を向上させるか、といったことを追い始めるとどこまでも掘り下げていける。とはいえ、実はPodcast の音質はそこそこのところでおちついており、スタエフの方はいろんなマイクを使っていろんな録り方をためし、様々な方向の音を作っている。こちらも音質を向上させる、という意識ではやっていない。ただやはり、最低限話が聞き取りやすいしゃべり方を模索したり、聞きやすい音質を意識したり、ということはしている。

また、声にはヒーリング効果もあるため、なるべくおちつけるような音質、声質、口調などを考えたりもする。こうしたことのすべてがとても楽しくて、もはや文章を書いていなくても音声は録音している、という事態まで発生している。

ASMR

そして、出会うべくして出会ってしまったASMR。ASMR とはオートノマス・センサリー・メリディアン・レスポンスの略で、日本語では自律感覚絶頂反応、という直訳が一般的だ。

詳しくは上のWikipedia を参照いただきたいが、ごく簡単に言えば「脳に鳥肌が立つような、ゾワゾワする感覚」のことを指す言葉である。

混同されがちだがASMR というのはそのゾワゾワをもたらすコンテンツではなく、ゾワゾワ感覚そのものを指す言葉で、それをもたらすものはトリガーと呼ばれる。

ASMR コンテンツを作る人はASMRTist(エーエスエムアーティスト、またはアスマーリスト)等と呼ばれるが、ASMRTist はトリガーを含むコンテンツを作ることで、視聴者にASMR をもたらすのである。

ASMR トリガーには実に様々なものがあり、またASMR はかなり個人差の大きい反応なのでどんなトリガーがより大きな反応を導くか、というのは受け手による。そのためいろいろなASMR コンテンツを体験して、自分がゾワるトリガーは何なのか、自分にとって心地よいもの、そうでないものはどういうものなのか、といったことを知るのが最初の入り口と言える。

前置きが長くなったが、このASMR トリガーの代表的なものの多くが、聴覚に依存している。言い換えると、音によってASMR をもたらすトリガーが多く知られている。

録音マニア、音フェチ、声フェチとしてここに踏み込まないという手は無い。

かくして、2021年の後半ぐらいからASMR にハマったわたしは、遂に満を持して2022年1月23日、ASMRTist としてYoutube にデビューした。

※ヘッドフォン推奨

これまでの長大な録音経験と音声配信で培ったノウハウを全部投入し、さらにASMR としての音を追求して日夜研究に勤しんでいる。

なお、音声配信や宅録で求められる音とASMRで求められる音はまったく違うため、実は過去に培ったノウハウが通用しない部分も多かった。この辺の深い話はマニアックすぎる上に膨大なことになるのでまた別の機会に…。

もはや録音はライフワーク

こうして、偏愛が過ぎてもはや録音するという行為はわたしのライフワークになってしまった。音声配信もASMR もどっぷりと続けていく予定なのでぜひ気に入ったものをフォローして追いかけてください。

また、音声録音やミキシング等についての質問などは頂ければわかる範囲でお答えしますのでお気軽にどうぞ。

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このような偏愛を披露する機会をくださった椎名トキさん、ありがとうございました。

いただいたサポートはお茶代にしたり、他の人のサポートに回したりします。