[映画]スペインは呼んでいる

 今夜のU-NEXTは『スペインは呼んでいる』。2017年の作品。

 これ実はシリーズもので、もともとはテレビ番組だったものが映画化されたというような話から始まっているらしい。最初が『スティーヴとロブのグルメトリップ』、二作目は『イタリアは呼んでいる』、そして本作が三作目である。

 残念ながら一作目はすでにU-NEXTでの公開が終了してしまっているのだけれど、わたしはこのシリーズをU-NEXT の作品リストをうろうろしていて偶然見つけ、三作とも見ることができた。

 このシリーズは全映画ファンにお勧めしたい。一作目のタイトルに「グルメトリップ」とあるように、一応の主旨は「食べ歩き」である。レストランをめぐりながら旅をし、そのレポートを書くというような取材旅行なのだ。ところが料理の話はほとんど出ず、作品の軸になっているのはドライブ中や食事中の会話なのである。おそらく脚本などほとんどないと思しき自由な会話。ほぼ全編に渡ってアドリブとしか思えない会話が交わされる。多くは映画や俳優に関する話題で、それを主人公の二人がモノマネを披露しながら話す。互いに相手のモノマネにケチをつけながら、自由気ままに話す。これがもうあまりにも面白い。

 モノマネはいずれ劣らず傑作で、元ネタを知らなくてもその俳優を知っていれば十分楽しめる。モノマネがさっぱりわからなくても話している内容だけでも大いに笑えるけれど、やはり知っていればいるほど面白い。だからこそ、多くの映画を見ている映画ファンにこそお勧めしたい。

 グルメトリップとか言っておきながら料理に関するコメントは「んー、わんだほー」ぐらいであり、この取材によっていったいどんな記事が出来上がっているのか不安になる。料理を口に放り込みながらマーロン・ブランドかなんかのモノマネをし、ワインなんかも舐めつつ上機嫌。それ記事書けるのか…。

 本作はシリーズ三作目で、これまでのエピソードから繋がっているため、これがシリーズ初見だと人物関係がわからないといったことがあるかもしれない。ここに登場する人物はほとんど前作『イタリアは呼んでいる』にも登場するため、一作目は見られなくなってしまったけれど、二作目から見れば追いつけるような気がする。とはいえ人物関係などわからなくても小ネタは十分楽しめるだろう。

 三作目にして相変わらず笑いはあるものの、少々シリアスな展開もある。特にラストは思わせぶりな終わり方をしたため、次回作がもしあるなら、早く見たい。逆に次回作がなくこれがシリーズの最終回だったとしたら、この作品のラストシーンのあとに何が起こったのか、悪い方の想像が正しかったのかもしれないと思うことになるだろう。

 なんとしても、続編を作っていただきたい。次はそろそろ日本へ、いらしてはいかが?

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