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手にしなかった

只只幸せな日常を送っているつもりだった。

ある日世界の均衡が崩れて、闇の王が目覚めようとしてる。天使たちは必死に王が眠っている器を捜す。
血の繋がりのない家族と暮らしていた。仕事をして、お金を稼いで、生活して。毎日、家族がいるだけで幸せだった。

王が眠っている器は私だという。同じ里に住んでいるものは知っていた。必死に隠していた。しかし見つかった。もうこれは手遅れだと制裁を下そうとする。
彼「なぁにが世界の均衡だ」「全ての魔力が暴走して混沌と化して、この世界は生まれたんだろう。その贄としてコイツ1人に全て背負わせて、みーんな幸せに生きていたわけさ。笑えねぇ」
彼のあかいろの瞳はさらにあかくなり、いつもとは違った表情だった


全て、全て、私が悪いのか。
虐げられる日々が続き、本当は辛くて仕方がなかった。痛い、吐いても、狂っても止まることのない暴力。断罪。罰。お前は産まれてきたことが罪だと何度も言われ、その内何も感じなくなった。ああ、また何かが私に何か言っている。口を動かしている。ああ、痛いなあ。誰も分かってくれないなあ。僕が何をしたのかくらい教えて欲しかったですよカミサマ。

その日から天使から逃げる日々。庇ってくれる家族だけが唯一で自分を表現できる場所で、でも、もうやめて欲しい。そういった。僕が闇の王として君臨しても、たとえまた封印されても、それで自分が終われるならそうしたいと。自害したいと僕は言った。光にが僕らを阻む握った手は決して離さず、家族である彼は抗った。

天使と不思議な物と交流できる人間たちの物語
決して彼が僕を独りにしてくれなかった。血を吐いても僕の生を諦めてくれなかった

金色の光に堕ちていく
意識が遠のく中
手を離さない彼の笑顔だけが眩しく輝いた

世界は理不尽だ

こうしてひとりの闇の王が再び眠りにつきその器も深い眠りにつきました


ひとりの青年に愛の祝福と呪いを遺して

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