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貴くて、尊いお話。

※この話はX(旧twitter)にあげたものとほぼ同様になります※


二年前(2022年)に遡りますが、秋頃に死産、昨年のその同時期に流産を経験しました。
原因は絨毛膜羊膜炎と自身の不育症です。

最初の妊娠が分かったとき本当に嬉しくて舞い上がって、2〜3ヶ月の段階で近しい人にはだいたい報告していたのを覚えています。
この時私は、自身に宿った命は当たり前のように生を受けて少年少女になり、成人になり、新しい家族をつくり、やがておじいさんおばあさんになってゆくと思っておりました。

しかし、残念ながら17週でお別れをしなければならなくなりました。

自分の知識不足だったのですが、35歳以上の初産は高齢出産の枠に入るのです。
一人で勝手に40歳以降と思い込み、当時はつわり以外で特に健康問題もなかったので、ある程度は気を付けて大体いつも通りに過ごしていましたが、14〜15週になってから急に出血が止まらなくなり、17週で人生初の救急車に乗りました。
これが最初の原因です。

担当医の方は「これ以上妊娠を継続すると母体に危険が及ぶため、赤ちゃんがお母さんのことを助けてくれたんだよ」と仰ってくれました。
200gに満たない小さい体は世界で一番尊かったです。

それからおよそ一年後、体調不良が続いたのでもしやと思い再度産婦人科を受診したところ、ありがたいことに二度目の妊娠が発覚しました。
前回のこともあり次こそはと思っていましたが、初期の胎芽の段階で「心音が確認できても良いはずの週数ですが、残念ながらまだ聴こえません。遅い子もいるので一週間待ってみますが、そこで確認できなかったら流産の手術になります。」
と言われてしまいました。
「可能性は低いです。八割です。手術の可能性の方が。」
と念を押されて。

それでも残りの二割を信じて一週間を大切に過ごしました。
話しかけたり、
サプリを飲んだり、
今まで以上に食に気を付けたり、
体を動かしすぎたりしないように、
神社に行ったり。

そして迎えた健診の日、潰れてしまった胎芽のエコー写真を見て全てを察しました。

あれよあれよと言う間に説明を受けて手続きをして、数日後に日帰りの手術が決まりました。
当日待機室と手術室を兼ね備えた場所まで案内されたのですが、部屋も狭く、明らかに病棟の裏側を歩かされ「ああ、これが選ばれなかった者が進む道か」と考えたことを思い出します。
これが一番辛かったです。

全身麻酔でしたが手術はとても簡単で15分ほどで終わりました。
たった15分で一緒に過ごした二ヶ月は終わってしまいました。

二番目に辛かったことは失ってしまった二回の後、洗濯物の匂いが平気になったことや、食べるご飯がどれも美味しく感じてしまうことでした。
お腹にもう誰もいないのに、つわりから解放されてしまったという現実が否応なしに突き付けられたからです。

術後の経過確認の際に不育症の疑いありとのことで、紹介された不妊・不育専門クリニックの血液検査にて正式に不育症の診断が下りました。

投薬治療の甲斐があって次の妊娠に辿り着きましたが、心音が確認された数週間後にまた出血が始まってしまいました。
説明を省いたのですが、出血の原因は最初のお別れと同じく子宮頸管ポリープです。
先の診断で良性と分かっていたので治療はしなかったのですが、様子見と言われてからの次の診察で既にかなり大きくなっており、現在通っている病院へ急遽(クリニックなので分娩自体はできないため、妊婦健診も安定期からは違う病院にかかることが予め決まっていました)転院することに。

名医がいる大きな病院への紹介だったので予約がいつになるかわからないと言われましたが、流産ハイリスク患者の認定で運良く次の週での受診が決まりました。
市内でも三本の指に入るほど本当に大きな病院だったので、初診時に膝がガクガク震えていたのを覚えています。

二週にわたる診察の結果、ポリープが無視できないほどに大きく(2〜3cmの巨大なものに)なってしまい、現在の妊娠が継続できるか半々くらいになってしまうけど、できるなら温存するより摘出した方が良いとのことで数日後の手術が再び決まりました。
今回はポジティブな意味だったので、たとえ半々と言われても不安になることは殆どなかったです。

そして手術が無事に成功し、一日だけの入院を経て今現在に至ります。
八月中旬のことでした。

とはいえ、手術から今に至るまでも階段を踏み外して三段ほどの高さから落ちてしまったり、少し強めの腹痛が起きて深夜に病院へ転がりこんだりと大なり小なり色々なことがありました。
そんなことは露知らず、お腹の命はもにょもにょ→ぽんぽこ→どんどこ…と少しずつ胎動が大きくなり、今日も元気にしています。

音楽ゲームができなくなりますと言ったり、最近やたら具合が悪いとやいのやいのうるさくしていたのはこのためでした。
特に体調不良の件でTLを汚していたことを申し訳なく思っています。

最後になりますが流産は15%の確率で起きてしまうそうなんです。
六人に一人。
「みんな人には言えないだけで思ってるより人数が多いんですよ」
とお医者様に言われました。
あまり自分だけがとか、どうしてとか思い込みすぎないように、と。

この手の話をするべきなのか心に留めておくべきか迷ったのですが、某Mの実況の方が公表されていたのを見て私もお話しようと決めました。

最終的に何が言いたかったというと、看護師さん助産師さんお医者さんお父さんお母さん産まれてきた人類みんなてぇてぇってことです。

生きててえらい!

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