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「君たちはどう生きるか」の感想を軽く書く

宮崎駿の最新作『君たちはどう生きるか』が放映中です。
自分も先週の土曜辺りに早速観に行ってましたので、その感想を軽く書いていこうと思います。

内容に触れる感想を書くので、
まだ観てない人はブラウザバックをお願いします。

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・・・とはいえ、あんまり高尚な感想は書けませんけど・・・

『千と千尋の神隠し』の男主人公版みたいで面白かったと思います。

なんだか人間が寝る時に出てくる夢の世界を観るような展開がメインの作品でした。
こういうのは夢分析的な読み方をした方が良いタイプの作品だと思います。
夢分析的な読み方っていうのは・・・表象のキャラがどうとかよりも…
その表象の役割は何なのか?とか…
何を象徴しているのか?とか…
表象同士の関係は何なのか?とか…を読んだ方が良いということです。

ナツコは何の象徴なのか?とか…
母は何の象徴なのか?とか…
キリコは何の象徴なのか?とか…
大叔父は何の象徴なのか?とか…
マヒトと各登場人物の関係は何なのか?とか。

そうやって分析すると、作者の宮崎駿さんがこれまで幼少期・児童期・青年期・中年期・老年期・・・と、どういう風に過ごしてきたから、この作品で表れるようになった・・・とかまで見えてきそうです。

さて、今回の作品を踏まえつつ・・・
「宮崎駿作品でこれまでよく出てきた要素」を自分なりに列挙してまとめてみたら、以下のようになると思いました。

  • 異世界(千と千尋の神隠しみたいな)

  • 勇者みたいな主人公

  • ずる賢い奴

  • かわいいお婆ちゃん

  • 強い女性

  • 頼れそうなお父さん

  • 優しいお母さん

  • 魔法使い

  • 八百万的な神様

  • 精霊みたいな存在

  • 富裕層の人の家

  • 童話みたいな世界

  • 謎の賢者

そして、今回の作品は見事に全部が入っている!
まさしく、宮崎駿の集大成みたいな作品として完成されていたと言えるでしょう。

タイトルが『君たちはどう生きるか』でしたが、正直、内容はそこまで関係なかったんじゃないかと思います。

思うに、宮崎駿さんは『崖の上のポニョ』で「体力的に最後の長編になるかも」という想いで作り…
さらに『風立ちぬ。』でやっと引退宣言。
最後の方の作品ほど、ヒット目的というよりとにかく好きなものを作りたいみたいな意志を感じます。

おそらく本当の最後になるであろう『君たちはどう生きるか』は、童話性の高い『崖の上のポニョ』と、戦争付近の時代の話である『風立ちぬ。』を踏襲したような内容だったので、それらの良さを合わせたような好きなものを作りたく・・・さらに、そのタイトルは自身がこれまで作ってきた作品すべてに込めたようなメッセージにしたい・・・
そう思ってあのタイトルになったのではないか?と思います。

そのため、『君たちはどう生きるか』は、あの作品のメッセージというか、宮崎駿さんがこれまですべての作品に込めたメッセージなのではないか?と思います。

吉野源三郎版「君たちはどう生きるか」がめちゃくちゃ良い話

宮崎駿さんは後世の人に対して「君たちはどう生きるか」を問いたい所だが・・・
自身は作家として自分の持ってる世界を表現しきることしかできない・・・

ということで・・・吉野源三郎版『君たちはどう生きるか』にもバトンを渡すことにしたのではないか?と思います。

あの作品であのような形で出てきたので、気になる人も多く出てきたでしょう。

吉野源三郎版『君たちはどう生きるか』は自分(Raimu)がちょうど大学にいた頃のサークルの推薦図書みたいな感じになってて、その縁があって読んだことある作品でした。
非常に良い本だった…という印象は記憶してましたが、内容はうろ覚えだったのでまた読み直してみることにしました。

読み直してみたら・・・やはりこの本はすごい!
地動説と天動説、原子や分子、ニュートン物理学、生産関係、社会科学、貧困、英雄論、仏教と西洋、和洋折衷・・・
若い時に考えておきたい基本的なテーマばかりを丁寧に扱っていて、個人的に10代に読ませたい本のランキングの上位、いや、ほとんど一位にしたいぐらい推奨できる本です。

そもそも戦前にこれが書かれたというのが驚きで、第二次世界大戦の開始が1939年。『君たちはどう生きるか』は1935年に企画が始まって、最終的にこれが出たのは1937年。
そもそもの出自は『日本少国民文庫』というシリーズで、その最終刊がこれらしいです。発端は山本有三という人で、軍国主義に対抗するための自由主義やヒューマニズムを訴えるためにこのシリーズを始めたらしいです。そして最終刊も書こうという所で重い目の病気にかかってしまい、執筆が困難になってしまいました。そこでそのバトンを受け取って代わりに執筆したのが、この本の筆者となってる吉野源三郎氏です。
当時は大変な時代だったのは言うまでもなく・・・日本は軍国主義化へ一直線だったので、言論や出版の自由が当然のように制限され、この本ですら刊行禁止の時期もあったらしいですが・・・。そんな中、自由主義の観点からの倫理を訴えようとする作品を出したのはとてつもない偉業です。
そして、この作品は戦後には支持されるようになってずっと残り続けることになりました。

確かにこれは・・・後世に伝え続けたい作品!と思います。

吉野源三郎版『君たちはどう生きるか』は、自己と他者を論理的に丁寧に認識しながら、世の中のことを考えられる優れた自我を育てる話で…
宮崎駿版『君たちはどう生きるか』は、夢世界みたいな所に行ってわちゃわちゃなんじゃこりゃする話。

その辺のバランスが良いんじゃないでしょうか?

この二つは合わせて、偉人の名作として扱いたいものだと思いました。

余談1 漫画版「君たちはどう生きるか」について

『君たちはどう生きるか』には漫画版もあります。
これは出た時に話題になっていたので知っていましたが、自分は読んでいませんでした。
ということで今回を機に読んでみることに・・・

・・・うーん・・・
これは原作よりもかなり改変や省略を受けた作りになってますね・・・
原作は「戦前ぐらい昔の時代」の空気感みたいなのが色濃く出てる所が良く、味のある雰囲気がありながらも読みごたえがあって満足できる内容です。
しかし、漫画版は分かりやすさ重視になっていて、原作の持つ独特な良さは大分失われています。

なので・・漫画版はイマイチ!ということで原作を推奨です。

余談2 「バーナード嬢曰く。」によるレビュー

『バーナード嬢曰く。』とかいう作品。
これは読書レビューギャグ漫画みたいなものですが・・・

活字が苦手で本は読めないけど読書家ぶりたいフザけた主人公・町田さわ子と、普通に読書家の少年・遠藤や、ガチの読書家の少女・神林しおりといった登場人物たちが、世に出ている本について色々感想を言い合ったり、「読書家あるある」を言い合ったりしてわちゃわちゃするギャグ漫画です。

これは短編アニメ化もされたユニークなショート漫画ですが、『君たちはどう生きるか』もネタにされていて、作者がTwitterに載せています。

なんかウケる内容ですが・・・分かるw

そんなわけで、『バーナード嬢曰く。』でも割と推奨されている『君たちはどう生きるか』なので、自分もオススメしたいです!

追記(2023/08/11)

↓続きを書きました。


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