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Figma Meetup Tokyoに参加して、またFigma愛が深まった -後編-

Figmaのミートアップに参加したレポートの後編です。

前編はこちら!

コラボレーティブデザインを実践する ツール&マインドセット - 齋藤 恵太 (株式会社グッドパッチ Goodpatch Anywhere事業責任者)

続いて、Goodpatch Anywhereの齋藤さんから。
Figmaのメリットの一つとして、「同時編集でみんなで遊べるところ!」と。現に会社の皆さんが終始発表スライド(Figma製)上でわちゃわちゃ遊ばれていたのが印象的でした。

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楽しいw

偉大なプロダクトは偉大なチームから
Goodpatch Anywhereはフルリモートで、一つのプロジェクトで5・6人のメンバーをハーフコミットでアサインしているそうです。フリーランス・副業で「フルタイムでは集められない多様性を活かしたい」という考えのもと、採用は今年一年でゼロから(!)行ったそうです。
今では80人超で作業しているので、どれだけオンラインツールを使いこなせるかが勝負とか。

Figma の他には miro も使っているとのこと

そのためこれだけの大人数であっても、今では「Figma来れますか?」と声をかけるようなコミュニケーションで、多くのメンバーが連携できているそうです。
チームで働く楽しさを実感しているので、リモート枠の不安よりもインターネットを全力で使って仕事をしている楽しさが勝っているとお話されていました。

社員だけではなく、クライアントともワンチーム
クライアント=「デザインパートナー」として対等にやっているので、作業途中のFigmaも共有しているそうです。お客さんに見せる場合もURLひとつで済むので便利ですよね。
当然社員同士でも共有し合う文化が根付いており、途中経過も全部共有していこうという文化で、過程から経緯まですべてを共有しているそうです。

全部Figmaにある
ペルソナ・ユーザーインタビューのまとめなどをすべてFigmaのファーストページに掲載し、Figmaにアクセスするだけでプロジェクトの情報がすべて分かるようにしているそう。
常に見られる場所に置いておくことで、誰でもすぐに見られる環境にしているんですね。(確かに、綺麗に作ったペルソナの資料とか絶対もう二度と開かないよね...という一言には激しく頷いてしまいました...。)

またチームではFigmaをレイヤーが45万枚弱になるほど(!!)に使い倒しており、ムードボードやUXのアウトプットもFigma上で行っているそうです。この運用真似したい!

なぜチームで取り組むのか
職人的に努力する世界ではなく、プロダクトと向き合うこれからの世界ではそうじゃなきゃ戦えないから、と齋藤さんはお話していました。
今はVUCAの時代で、私たちは常に次の4つの不安定要素と対峙しなければなりません。

Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)

参考記事はこちら↓

「いかに答えを探すかではない、ない前提でやってかなければならない」ような難しい時代に私たちは生きています。

手に入れたものが自分の手の中で変化していく初めての時代。さらに国境をこえて競合がやってくるし、コピーもしあう、その上ライバルが無限に出現するような状況。
どんな企業もイノベーションを起こさないと埋もれてしまうようになってきて、スタートアップでは大げさではなく10倍成長が当たり前になっている世界です。
そんな世界ではやはり、職人気質に1人で打ち込むのではなく、チームが団結してプロダクトと向き合い意見を出し合う必要がありそうですね。

薬のお話
例えば具合が悪くなったとして、病院へ行き、診断され、お金払って「処方されたお薬は飲みきってね」と言われる。

上記の行動は心理的にインセンティブが効いており、参加コストが超高い状態といえます。しかし、なんと処方された薬をちゃんと全部飲んでいない人が100%だそうです。(半分は飲み忘れで明確な意思はないとしても)これは衝撃ですね。
この例からも分かるように、人の行動を変えるのは難しく、ましてやアプリやサービスに至ってはさらに難易度が上がります。

「こんな状況で、一体誰が完璧なデザインを実現できるの?」というのが、齋藤さん達のチームの基本的なスタンスとのことでした。

キーワードは「学びの積み上げ」
ターゲットに対してどれだけ向き合い、学びを積み上げられるか?
長い年月をかけて数多くのリリースする中でも、学べていないプロジェクトではヒットしたかどうかくらいの情報しか知らないのは非常にもったいないこと。
盲目的な状態でものを作ってはならないし、UIデザインは基本的に仮説・検証するものという前提を忘れてはいけません。きちんと学びを積み重ねることがプロダクト開発の本質である、と齋藤さんはおっしゃっていました。
稀に例外的な天才・事例はあるものの、イノベーションや成功確率は学びの積み重ねで徐々に再現性を持っていきます。

つまり、学びの量=成功確率ということ。

このような中では組織としての学習スピードの早さが焦点となります。いくら学びがあっても、個人の頭の中だけにあるのは無意味です。組織として「勝ち」を得るためには、個人がそれぞれ具現化しないと対話もできません。
そのためにはやはり「アウトプット即共有」のFigmaは不可欠だそうです。

また「即共有」についての例も。

NG「ここのデザイン作るので待って。あとで見せるね」
OK「ここのデザイン作るので10分集まって!」

レビューとやり直しの繰り返しでは効率が悪いので、3人 x 10分 の時間をかけるだけでもっと学びは得られるはず。
そのため、個人で宿題を持ち帰るべきではないそう

でも想像するにそれってなかなかに怖いのでは?中には自信がなく、時間をかけて準備してから見せたい、という人もいるのでは?と思ったのですが....。
そこで齋藤さんのチームでは心理的安全性を軸として掲げたそうです。 

成功しているチームの特徴は「心理的安全性」が圧倒的に重要。そしてこれは、すべてに優先されることとして信じていいのでは?と考えたそうです。

具体的には、心理的安全性とは「無知無能・ネガティブ・邪魔だと思われる可能性のある行動をしてもこのチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味しています。つまり、誰も自分をバカにしたり罰したりしないと信じられる余地のことです。

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前提に個人のパフォーマンス・スキルなどがあると思い込んでいたのですが、そうではないんですね。

まず心理的安全性が高まることでコミュニケーションの量が増え、そうするとたくさん意見が出てそのアイディアが有効活用されていきます。その繰り返しでどんどんチームがポジティブになって信頼しあう、確かに良いサイクルが想像できます。
逆に払拭しなければならない要素としては、例えば知らないことを聞くのを恐れたり、自分の間違いやミスにばかりとらわれたりすることなどが思い浮かびました。

仕事を実行ではなく学習の機会と捉えよう
ユーザーに対してどんどん学んでいけるチームを作りたい!という根拠になっているのがこの「学びの姿勢」。
心理的安全性が高まると、学べるチームになってくるそうです。問題解決をして学んでいく・周りとコラボレーションできる能力が今のGoogleの採用でも求められているとか。

また、メンバーの発言量を均等に、変に緊張感を持ちすぎないことも意識されているそうです。コミュニケーションはもちろん、リアルタイムにFigmaで行います。

ただ、緩く見えるやり方は失敗した時批判されやすいのも事実。だからこそ、意志の強さが問われるものですよね。発表の締めは、
雰囲気に甘えず、パフォーマンス(成果)を出していきましょう!
とのことでした!

Figmaめっちゃ良いからみんな使ってほしい - 坪田 朋(dely株式会社 CXO / 株式会社Basecamp 代表取締役 CEO)

最後は坪田さんの発表でした。坪田さんはFIgmaを使って一年弱だそうですが、Twitter では Figma についてすでに100件くらい呟いているとか。

「日本一好きな自信がある」と豪語!
坪田さんにとって、Figmaはデザインツールというよりはコラボレーションツール。SketchやXDなどのこれまでのツールとは、画期的な違いがあると感じたそうです。簡単にまとめると、

デザインツールにシェア機能が付随しているのではなく、前提に「コラボレーション」があるのがFigma。

私も日々実感しています。
坪田さんが実際に使用して実感したメリットとしては、

・「デザインをみんなのモノに」を実現しやすい
・「越境」を実現しやすい
・デザイン議論をオープン化しやすい。エンジニアの生産性も上がる
一元化でコストも節約できる。
ステークホルダー・エンジニアを巻き込んで一緒にデザインを考えられる
プロセスを可視化できる

など。特に、デザイナー+その他職種とのコラボレーションがURL一つでできることが大きいとお話しされていました。前のLTでもありましたが、やはり誰に対しても1つのURLで共有が済むと言うのはかなり大きいですよね。

「デザインは I + I ではなく We で作るもの。」「時にデザイナーは抱え込みたがる傾向があるけれど、Figmaはそれを防ぎ、他の人のデザインの良いところをマージしていく文化が実現できる」ともお話しされていました。

LT中、坪田さんは実際の作業ファイルを見せてくださいました。
リサーチから考え方・企画書、ユーザーフローに至るまで基本的にFigmaで作っているものがほとんどで、ロードマップや登壇資料なども(ローカルに置くと無くすので)管理。SketchデータもFigmaに置いているそうです。

拝見した感想としては、もう「全部Figmaにある!!」という印象でした。それでも煩雑としておらず、サムネ一つをとっても誰が見ても一目で何のファイルか分かるような形。美しい運用方法でした...!整頓・情報整理は日頃から行わねばですね。

またFigmaで管理することで

・イラストのコンポーネント化
・ロードマップのテンプレート化

などが叶い、結果作業時間の短縮にも繋がったそうです。

チームでデザインをするという観点では、例えば UI 作成とアイコン作成を別々の担当が行なっていた場合などに、すぐに反映できるようになったことが大きかったそうです。1ファイルだけで管理できるのでやりやすいですよね。こういったケースでは特に同時編集のありがたさが実感できます。

ワークファイルと本番デザインデータを別にはしているものの、ワークファイルも残すことで後から入ったデザイナーにも経緯を伝えやすくしているとのお話もありました。案が定まったら星(アイコン)をつけて有力候補にし、コピペして本番用デザインデータへ移行する流れ。

また企画書+デザインデータが1つのファイルで済むよう、コンセプトメモを置いてその横にデザインデータを作成・エンジニアへの指示書も上に並べるようにしているそうです。

共有する際には何のページかが分かりやすくするためにFigmaのURLとキャプチャをシェアするよう工夫しており、デザイナー以外のメンバーにも開いてもらいやすくなったとお話しされていました。

ツールは分散しすぎず少なく収めるよう心がけ、まさにFigmaを使い倒している坪田さん。活用・管理の方法、非常にためになりました!

まとめ

長くなりましたが、感想を一言でまとめると「コラボレーションツール・Figmaってすごい!」です。
懇親会でお話した方もFigma愛にあふれていて楽しい会でした!グラレコもすごかった。

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チームデザインに寄り添えるのがFigma
もちろん「チーム」の中にはデザイナー以外に、越境した先のエンジニア・他部署のメンバーも居るかもしれません。しかしどんな立場の人がいても、Figmaを使えばURLひとつでデザインが共有できます。また今回のミートアップを通して、運用次第では企画書など含めたプロジェクトのすべてをFigmaに内包させられることも分かりました。

デザイナー同士の相互作用も期待できる大きな要素のひとつです。デザインをすぐ見に行ける・コメントでレビューできるだけでも便利だな〜といつも感じていますが、同時編集の機能はペアデザインを円滑にしてくれます。私のような経験の浅いデザイナーにとっても実際に同じ画面でデザインしながらコミュニケーションがとれるのは非常にありがたいですし、何よりこのチームでオープンに、相談しながらデザインできるという点が、Figmaが時代に沿ったデザイン手法を実現できる、唯一無二なツールだと感じる所以です。

Figmaチームや登壇者のみなさん・参加者の方々のFigma愛を感じ、これからもFigmaをたくさん使っていこうと思えた非常に素敵なミートアップでした。ありがとうございました!

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