インターフェースデザインの心理学を読んだ
年始に先輩が持っているのを見て「読みたかった本だ!!」などと指をさして貸してもらい、厚かましいことに買ったご本人より先に読んだ「インターフェースデザインの心理学 ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」、非常に面白かったです。
今回はその中から興味深かった話を抜粋してまとめてみようと思います。先輩、すみませんでした。
目が受け取る情報と脳に伝わる情報は違う
目で見た情報に対して、脳は目に入るものに絶えず「解釈」を与えます。外界を素早く検知するために、得た情報を駆使して辻褄のあう世界を構築しようとします。
上記が代表的な、よく見る錯視の例です。長さが同じに見えませんが、こうした目の錯覚は目が受け取った情報を脳が誤解することが原因で起こります。Web ページにおいても同様のことが言えます。表現によっては、作り手の予想や期待と異なる見方・捉え方が行われる可能性があるということです。こういったことも考えながらデザインしていく必要がありますね。
また、「目」についても考える要素が多くあります。視野は二種類存在します。
・中心視野
・周辺視野
例えばページを閲覧している時、端に動くものがあると気になります。点滅する広告などはこの周辺視野の働きを利用したものです。注意を引くという意味では有効かもしれませんが、目的の妨げになる可能性もあるので注意が必要です。
例えば真剣に何かのリストを見ている時、横に関係のない広告がどぎつい色合いで激しく点滅しているとします。非常に気になり、必ず視線を向けると思います。しかし抱くのは多くの場合「煩わしい」というマイナスの印象で、「クリックしてみよう」とはあまり思わないでしょう。
読むことと理解することは同じではない
人が文章を読む時、正確に文字や単語を読み取った後に意味を理解している訳ではありません。あらかじめ持っている知識を元にして、次に来るものを予測しながら読んでいます。
つまはり、単語や助詞なのど順序が多少乱れていもて、人はあからじめ知っている言葉を想像つしつ続きを予想すとることで意外と自然に読てめしうまうというとこです。この文章もなとんくなは意味を理解てし、読めてるいと思まいす。
また、表題と見出しは非常に重要です。なんの話か、題名があればそれを踏まえた上で理解ができます。
ユーザーが理解してくれるものと決めてかからず、見出しをつけたり短い文章・わかりやすい言葉を使うことが必要ですね。
忘れるのは良いこと
忘れると聞くとネガティブな印象を持つかもしれませんが、これは欠陥ではありません。全てを記憶していたらまともに生活できないので、人は忘れる必要があるということです。無意識に行われる脳の決定によって生きることができています。
そのため、ユーザーが覚えていてくれることを前提にUIを設計してはいけません。すぐ見つけられる方法を準備したり、リマインドでリンクの導線をつけたりしましょう。
情報は少ないほどきちんと処理される
また、一度に大量の情報を与えすぎないことも重要です。脳が一度に処理できる情報は限られているためです。重要なのはクリック数ではなく、「段階的開示」とのこと。
人がその時その時点で必要としている情報だけを与えていくことで、ユーザーは面倒に思わずに作業ができます。離脱が増えるとクリック数を減らすことを意識しがちですが、わかりやすくて使いやすいUIであることの方が重要ということですね。最近読んだフォームの本にも、「一画面でやることはひとつに絞る」という手法の記載がありました。
確かに大量のフォームがスクロールしてもしても並んでいたら、心が折れそうです。後日こちらの本感想も書く予定です。
また、その時ユーザーが欲しいと思っている情報がなんであるかの調査も必要です。「考えさせない」UIを目指していきたいですね!
注意力は選択的に働く
本の中に「散漫」についての話も書いてありましたが、人は基本的に気が散る生き物です。集中していて他が留守になることを「選択的注意」と呼びます。UIでは、カタログ的に閲覧していた段階から一つのことを行うようにフォーカスされる画面として
・ ログイン
・購入
の画面などがその例として挙げられていました。確かに、この2つの画面で他への導線や訴求はあまり見ないです。アプリなどの購入の UI 例を見てみると分かりやすいです。
情報は取捨選択されるので、ユーザーを集中させるような設計を考える必要があります。注意力の維持時間は10分が限界とも言われています。そのためチュートリアルは7〜10分が適切で、それ以上長引くと離脱の危険があるそうです。
進歩や熟練によりやる気が出る
始まりから終わりまでが長い、進歩の状況がいくつかのステップに分けられるような場面では「いったいどこまで進んでるの?」とユーザーを不安にさせないことが大切です。全体でどれだけ進歩したかを明示することで、ユーザーのやる気を引き出すことができます。
この例のように「どこまで進んだのか」「自分が今どの段階にいるのか」が分かると、安心して先に進めます。noteのバッジ集めなども、ユーザーに熟練度でやる気・愛着を持たせる面白い例と言えます。
お金より時間
レモネード売りの話が興味深かったです。
同じ条件でレモネードを売った時、「お買い得!」と訴えかけるよりも、「ちょっと一息入れましょう」というニュアンスのキャッチの方が売れたという実験結果が出たといいます。
また親近感を持つと購買意欲が高まるということも言えるそうです。(キャシー・モルギナーの実験)
ただし、訴求方法は物によります。一般的には上記の結果であることが多いと言われていますが、有名デザイナーのジーンズや高級車など、バリューが明らかにそこに置かれているものは例外ですね。
一番大事なのは市場と顧客について知ることなので、どちらが効果があるか見極める必要があります。ただし、前述した通り多くの場合人は「お金」より「時間」の価値観でいることが多いそうです。叩き売りはあまり良い手法とは言えません。「時間」「体験」で、他にない価値を提供していくことが強みになるということですね!
まとめ
デザインを考える上でもためになることが多かったのですが、読み物として非常に楽しかったです。挙げきれなかった面白い項目もたくさんあったので、ぜひ読んでみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました!