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ある晴れた日に

ある晴れた日に僕は散歩にでかけた
特に目的があるわけでもなく
あてもなく出かけた

つまらないことはなぜつまらないのか
おもしろいとつまらないは何が違うのか

そんなことを考えながら歩き続けた

しばらく歩いてから
僕は一つの結論を出した

人に何かを考えさせることができればそれはおもしろいはずだ
「だから何?」と思わせてしまえばそれはつまらないのだ。

僕はこの結論に満足を覚えながら散歩を続けた
気づけば3つ先の駅まで来ていた

今日はよく晴れている
街行く人の笑顔、路肩に咲く花
僕ははっきりとしない、それでいて確信的な高揚感を抱きながら
僕は散歩を続けた

パンを焼くいい匂い
子供のはしゃぐ声と誰かの唄う声
喋ることのない木や花でさえ
その生き生きとした声が聞こえてきそうだ
僕は散歩を続けた

夕刻
僕は家に帰った
妻が夕飯の支度をしている
僕は妻に今日の出来事を話す
晴れた空や街の景色、鮮やかな花たち…

だいぶ長く話してしまったかもしれない
名も無き高揚感があったから

振り返ると妻がいった
「だから何?」

#ショートショート #小説 #独り言

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