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出産の話②


出産の話①はこちら⬇︎


かなり時間がかかったバルーンを入れる処置を終え、いざ陣痛室へ。またここか…と前日の事がトラウマになり過ぎてベッドに寝転がることさえも嫌になってました。

ちょくちょく様子を見に入ってくる助産師さんにまだ話しかけたり質問したりする余裕はあって

─陣痛誘発って皆大体何日くらいで産んでるんですか?

「長くて3日ですね。それ以上は殆どないです」

3日か…。じゃあ今日産まれないって事もあるのか。そう思ったらまた暗い気持ちになり完全にダークサイドに堕ちましたw じわりじわりと、陣痛が襲ってきた。陣痛だけじゃなく、また高血圧からくる頭痛と共に。

泣きながら頭を抱え、唸り続ける。
お願いだから出てきて!今日は金曜日、ムスリムの祝日。金曜日に産まれてきてくれたら、何となくムスリムである自分は縁起がいいなとか思ってた。そんな事を考えながら泣き喚いていたら、主治医が陣痛室に入って来た。

「Rahimaさん、大丈夫ですか?血圧のせいで頭痛が酷そうなので一度促進剤やめますね」

やめたらまた…また産まれて来なくなる!という気持ちと、もうやめてくれ許してくれ!もう赤ちゃん欲しいって泣かない!もう不妊治療なんかしない!私が悪かった!ごめんなさい!という気持ちが入り混じり、とうとうおかしくなりそうだったので。放心状態で、主治医に自分の家族の話をした。自分の家族は、みんな高血圧で亡くなっていると。

私の母は生きてはいるが、陣痛のせいで血圧が上昇し緊急帝王切開で私を出産している。なので私は元々無痛分娩希望だった。(無痛分娩なら陣痛による血圧や血糖値の上昇を抑えられるメリットがあるという話を聞いた為)

私が入院した大学病院のホームページには、“無痛分娩希望の妊婦さんは主治医にご相談ください”と記載されていたので「無痛やってんじゃん!助かる!」そう思って妊婦健診に通い続けていたのにも関わらず……

とある日の健診で無痛分娩希望だと切り出したら、

「うち、今無痛分娩ストップしてるんですよ。ホームページ更新してなくて…ごめんなさいね」と。

その場では普通に納得したが、家に帰ってベッドに入った時に思った。

いや、更新しろ??

ホームページくらい更新しろ??無痛やってるって期待して健診受けてる人絶対私の他にもいるじゃん!

結局無痛は諦めて、自然分娩で挑もうとした矢先──これ。陣痛誘発。高血圧による激しい頭痛。

「わかりました。このままだとRahimaさんが危ないので、Rahimaさんやお腹の中の赤ちゃんが元気なうちに帝王切開します。」

主治医のその一言に安心したはいいけど。私はずっと健診の時から血圧が心配だという話をし続けてた。絶対自然分娩危ないって。絶対私には無理だと。だって普段から血圧高いんだもの…話聞いてた?と思いながら手術の準備が始まった。

家族に電話して来てもらうように伝えてと言われた。え…?旦那に会えるのかな。会えたら嬉しいな。でも今一番辛いから、顔見たら泣いちゃうな。そう思いながら手術室まで車椅子で向かう途中

「Rahimaさんのご家族の方ー?」

「はい!」

長い椅子に座って、返事をしながら立ち上がった私の世界一カッコイイ旦那。イケメンすぎて、肌が白過ぎて、待合室で浮きまくってました。

旦那は小走りで車椅子に乗った私の方へと向かい、私を抱きしめてくれた。嗅ぎ慣れた旦那の匂いに包まれた瞬間、大声で泣き叫びたかったけど手術室の前だったので耐えた。

旦那は優しく私の頭をいつものように撫でてくれて、「頑張ってね。私いるから。ずっといるからね」と言ってくれた。

思えば、陣痛で苦しんでた2日間…
旦那とビデオ通話を繋げていたけれど。旦那は仕事を休んでずっと病院の外にいてくれた。家にいて、ゆっくりしながら私と通話すればいいのに、「私いるからね。ここまでしか来れないけど、本当は手を握りたいけど、ずっといるから」と。

コロナで立ち会いも面会も禁止な中、車も持ってないので、旦那は自転車で寒空の下…私が入院してる病院の外で娘が産まれるのを待ってくれていた。

旦那に会えたのも短い時間だったけど、会えない間の辛かった気持ちは消えたのでそのまま車イスで押されながら手術室へ──

宗教上男性医師NGの為(実際は宗教関係なく個人的に旦那以外の男性NG)、手術室は麻酔科の先生や助産師、看護師、含め全員女性で対応して頂き、ヒジャーブなしでの手術になりました。

背骨に麻酔を打たれた時はまぁまぁ痛かったのですが、陣痛を経験した後だったので痛みは可愛いもので(陣痛経験するとちょっとやそっとの痛みは気にならなくなるw)

段々麻酔が効いてきたけど、え?って思ったのが麻酔は半身だけだと思ったら結構上まできてしまい息が出来なくなりました…

コロナ禍での出産だったので当然マスク有り…ですがそれどころじゃなくなり、「息できない!!」と叫んだらマスクを外してくれて酸素マスクをつけてくれましたが、麻酔のせいで血圧が下がり過ぎて吐いてしまいましたw

高血圧で帝王切開するのに血圧下がり過ぎたんかwと後から思い出して笑ってしまったのですが、あの時は血圧を上げる点滴を打ちながら手術スタート

お腹の辺りを誰かが触っていて、ガチャガチャされてる感覚はあって変な感じ。

「もう赤ちゃんの頭見えてますからね。もうすぐ赤ちゃんに会えますよ〜」


あの時はゆるく「はーい」って返事したけど、心の中では頭!?頭見えてんの!やべええってなってましたw

「産まれまーす!」

と言う声がして、主治医が「はい!こんにちは!」と言いながら赤ちゃんの顔を私に近づけました。「おめでとうございまーす!」と周りが言って、まるでドラマの中にいるようでした。

2022年12月2日、PM13:08
2548g、娘は産まれてきてくれました。

産まれた瞬間すぐ大泣きした娘
頬に触れたら安心したのかすぐ泣き止みました


健診のエコーでは小さめだった娘。
でも産まれたら2500g超えてたし全然大丈夫でしたね!と言われたw

産まれた瞬間、もっと感極まって泣いたりするだろうなーと思ってたけど涙は一滴も流れず…「やっと会えたね」って気持ちと「やっと…終わった」という安心で胸がいっぱいでした。

「パパに会わせて来ますね」と助産師が娘を連れて待合室で待ってる旦那の元へ。「お腹縫いますね」と言われ娘に初めて会った旦那のリアクションが気になりながらお腹を縫われてましたw

後から旦那に聞いたら、旦那も泣くと思っていたけど言葉が出ず、ずっと娘を見つめて立ち尽くしていたそうですw

安心してたのも束の間、急に寒気に襲われる。これも結構辛かったです。全身が冷えて震えが止まらなかったので、電気毛布でぐるぐる巻きにされました。

それからは娘に会うこともなく、そのまま病室へ運ばれて手術は無事に終了。

健診はエコーで見る赤ちゃんに会えるのが楽しみではあったけど毎回毎回不安でいっぱいでした。早いうちに妊娠糖尿病だと診断されて出産までお腹に自己注射打ってた時期も辛かった。悪阻は出産まで続き、安定期なんてありませんでした。

あんなに辛かった妊娠期間を乗り越えられたのは、やはり旦那の存在が一番大きかったと思います。どんな時も私の支えになってくれて、娘が産まれた今もずっと変わらず私や娘を支えてくれています。ずっと大好きな旦那をパパにしてあげたいと思っていたので、叶えられて良かったです。

今は育児で大変な毎日だけど、2人が望んだ幸せな生活なのでそれを守る為に2人で頑張れる日々に更に幸せを感じています。

辛すぎて思い出したくない、
でも確かに特別で、幸せな時間だった私の出産のお話でした😊

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