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中華時代劇キャラのアライメントを考えよう:月に咲く花の如く編

最近は中華時代劇やアジアンファンタジーを題材にする作品も増え、中華時代劇を特集するムック本も本屋やAmazonで見かける機会も増えました。
テーブルトークRPGの元祖『ダンジョンズ&ドラゴンズ』を含めたファンタジーRPG関連に強いサイト『パンタポルタ』さんでも以前にこんな記事が書かれた事があります。 


そのD&Dでは世界設定を1から作ることもできると言いますし、この流れに乗って、中華時代劇風の世界を舞台にしたファンタジーRPGなりD&Dのステージなりができないかなと願う昨今です。

さて、D&Dでは、キャラクターの価値観や信条、行動原理などを示すアライメント(属性)というものがあります。

アライメントは、社会観に関わる秩序-中立-混沌と、気質に関わる善-中庸-悪の二つの軸であらわされます。

このアライメントによる表現は非常に普遍性が高く、D&Dの他に女神転生シリーズやFateシリーズなどでも、それぞれの形にアレンジされて採用されています。

という事は、武侠・中華時代劇に登場するキャラクターに登場するキャラクターに当てはめてもおかしくないはず。
というわけで、今後はこちらのnoteで、武侠・中華時代劇のキャラクターのアライメントを考えていきたいと思います。

第1弾は、そろそろBS11の放送でも主要キャラが出そろった『月に咲く花の如く』の面々のアライメントを考えてみたいと思います。

秩序にして善

誠実さや信義に基づき社会的責務を果たそうとする高潔な、でも大なり小なり頭が固く保守的な面のある人物がこのアライメントです。ファンタジーRPGではパラディンのアライメントというとピンときやすいでしょうか。

商人たちの物語である『月に咲く花の如く』においては呉家の大旦那、もっとも気高い「誠」と「信」の理念の体現者たる呉蔚文が該当します。

中立にして善

このアライメントは、善良ではありつつも規則や規範より自己の良心に従い行動する人物が当たります。

呉聘や呉漪ちゃんのような善良な人、または忠義心というより義侠心で周瑩体制に合流し支えていく春杏ちゃんら侍女たちや王世均ら呉家東院コアメンバーが該当するでしょう。

混沌にして善

「権威も常識もナンボのもんじゃい!」とばかりに突っ走りつつも、その動機や行動は善意に基づき正義に叶う。なにがしかの形で「革命的」な行動をするタイプがこのアライメントです。

このアライメントの代表格は、間違いなく周瑩と沈星移でしょう。上記のTogetterの解説にもあったような「カリスマ」という特徴にも合致します。

秩序にして中庸

一見すると「秩序にして善」と類似して見えますが、自分が感じる善悪と既存の体制や常識の狭間で揺れてたり、権威主義の傾向も強いタイプです。

まず、呉家の二叔父さんや四叔父さんのような旧弊な人々が該当します。
それともうひとり、カタブツなくらい良識派なのは良いとして、被害者の周瑩に「そなたが日頃から慎ましくしてれば」とか説教しちゃう趙白石もですね。本当にそういうところだぞ、しらいし

中立にして中庸

ファンタジーRPGでのこのアライメントの代表選手としては「ロードス島戦記」の灰色の魔女カーラがあがります。

要するに、正邪にも秩序と混沌にも徹底して偏らず、自己の主体性がないとどちらにも簡単に転んでしまうタイプとも言えます。

とくればピンと来るのが、呉ママこと鄭氏。あの人、悪い人では決してないんだけど、周りに騙されたり流されたりしやすいタイプだからなあ。


混沌にして中庸

さして善人というわけではないけれど、邪悪というほどでもない。人さまにたかるのは平気だけど、自分が束縛されるのはひたすら大嫌い。

このアライメントですぐ頭に浮かぶのがあのオヤジ、周老四ですね。ちなみにてんぐはこのオヤジ、序盤の頃は「屋敷に湧くダニの如く」とか呼んでました。(ごめんよオヤジ)
要するに盗賊や無頼漢キャラ向きのアライメントなんですが、お坊ちゃんの星移は混沌繋がりでウマが合ったんでしょうか。半ば以上カモられてただけかもしれませんが

秩序にして悪

字面でピンと来るでしょうが、体制が腐敗や悪徳に満ちていると承知で、その尖兵となり、またはその体制の支配者となって利を貪り野心を見たそうとする者を示すアライメントです。

清代末期は歴史上もまさにこのアライメントの人物に満ちているわけですが、『月に咲く花の如く』主要人物からなら、杜明礼が該当します。
さらに、序盤からはそうだったなんて想像もしてなかった人物もこのアライメントに該当していた事が中盤に判明します。あれは本当に清代末期の闇を見た。

中立にして悪

ただひたすらに自己の利益のみを追及し、良心の呵責もなければブレーキもない。だが理性が働くうちは明確な犯罪行為を隠す配慮はできるという、ある意味で一番危険なアライメントがこれです。

これに該当するのが胡咏梅。洋布戦争などのステージで涇陽商人界の第三勢力として台頭していく中盤の頃の咏梅、根底にあったのは周瑩への嫉妬と無制限の自己正当化に基づき改竄された記憶ときてましたからね。
ぶっちゃけ、この人マジで何やらかすかわからないヤバさがあった。

混沌にして悪

字面の通りのアライメントで特に解説も必要ないでしょうが、さすがにこれほどアナーキーでヒャッハーなアライメントはこのドラマの主要キャラには見当たらない。
ただ、西域編に登場する山賊団「三寿幇」の者どもはこれだろうな。首領とその側近団は違うんだけど。

今後のラインナップ。

今回は清代末期を舞台にした『月に咲く花の如く』でしたが、今後は北宋代を舞台にしたノワール武侠の『開封府』、魏晋南北朝をモデルにした異世界の戦記ものである『琅琊榜』『琅琊榜<弐>』に『海上牧雲記』、近代武侠の大家・金庸先生の代表作『射雕英雄伝』や『笑傲江湖』、明代が舞台というけどぶっちゃけ古龍ユニバースって異世界が舞台といって差し障りない『絶代双驕』も随時取り上げていきたいと思ってます。

最後に一言。

てんぐもD&D遊びたいんじゃー!
中華ファンタジー世界が理想だけど、フォーゴトン・レルムのソード・コーストでも大歓迎だー!


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