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TRPGの未来は小中学校にあり

 柳田真坂樹さんによる、日本におけるD&Dの営業展開についての忌憚のない記事を読んで、色々と考え込んでました。

 確かに世界全体の状態と相反するように日本でのゲーマー界においてはTRPGとしてのD&Dの認知度はなかなか高まりませんし、WotCにせよ親会社のハズブロにせよこれに対する有効打を講じてるようには思えません。

 ただ、ゲームに限らず日本の娯楽環境は、新たな客を獲得し続けることによってファン層を拡大するより、岩盤支持層として既存のファン層を囲い込むことが常態となっています。あるいは、「自分の感じる面白さを共有できるコミュニティ」を求める意識に最適化することが常に求められている、とも言えます。
 その結果、日本の娯楽環境は、小さく孤立した箱庭世界の群立といった状態になっています。
 その原因のひとつは、実世間における不景気と生活不安に求められます。
 つまり、コスパやタイパという言葉にあらわれるように「確実に面白いと思えるもの以外にお金と時間というコストを消費するのは怖い」という心理からきているでしょうから、それを全否定することもできません。

 であるから、既に認知が広まったCoCだけが、その認知されていることそれ自体を理由として今後も認知度の独り勝ちが続き、D&Dを含めた他のTRPGは自らの存在を認知し遊んでもらう機会すら満足に得られない、という歪な状態が続くのではないか。

 そんな悲観的な見解を抱いていたときに、こんなニュースが目に留まりました。

 フィギュアがあると、オフセッションで遊ぶときに没入感が上がるんですよねえ。結構よい値段はしますが欲しくなりました。

 で、これを見て思ったんですが、TRPGを小中学校の教材として採用してもらうっていうのはどうでしょう?

 考えてみれば、TRPGというものは、多様な属性や背景の持ち主がパーティを組み、GMの運営のもとにルールに従いつつその内容を理解し、クエストの達成に向けて常に意見を交わし合うという、社会性の実践学習の教材にはうってつけです。
 もちろん授業で遊んだからといって、即座にTRPGの魅力を理解してくれるとは限りません。理解してくれても継続的に遊べる環境にあるかどうかもわかりません。新たなコアユーザーが生まれる確率は、1%もあれば上々でしょう。
 でも小中学校というものは全国どこにでもありますし、そこには教職員や生徒が大勢いるんです。
 母数が大きくなれば将来のお客さんの数も増大する。これは営業活動の基本中の基本です。

 もし今の日本にTRPGの新たな売り込み先の開拓地が存在するとしたら、それは小中学校ではないでしょうか。

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