孤独に効くオススメのエッセイ

最近読んだ本の中で、これは孤独に効いたなと思うエッセイを紹介する。
とはいえたくさんのエッセイを読んできているわけではないのだが、最近では小説よりもエッセイの方が楽しいと感じる。小説も好きだけど、休職中という孤独な状況なだけに、直接対話できているような感覚が得られるのでエッセイブームが到来中である。

「そして生活はつづく」 星野源 著

星野さんのエッセイは、「いのちの車窓から」もさらっと読んだが、私は初期の頃のエッセイが好きだ。なんとなく不恰好で、荒くて、素のままで、1人ぼっちを孤独にしないでくれる。わたしは星野さんのファンというわけでもないので、人となりをほとんど知らない(逃げ恥もほとんど見てない)。本当に失礼な話だが、あまり知らない人でもエッセイは読みたくなってしまう。とにもかくにも、星野さんの元々の不器用で優しい人柄を、下ネタも交えながら感じられる1冊である。新垣さんと末長く幸せでいてほしいと思う。

「非リア王」  カレー沢薫 著


メンタルが落ち込んで孤独な時、エッセイはどんなものでもいいわけではない。エッセイも人間関係と同じで、相性とタイミングが大事なのである。あまりしんどい時にイケイケでリア充な(全て死語かもしれない)エッセイは逆カウンセラー的で、心をぺしゃんこにされて浮上するのに数日寝込まないといけなくなる。どん底な気分の時、取り残されるような明るいエッセイはごめんだ。陰キャが陽キャを敵視するようなことだが、そんな時にも自分を置き去りにしないエッセイだと、カレー沢薫さんの本もオススメである。特にオタクでぼっちでしんどいと思っている女性には読みやすいと思う。カレー沢薫さんの、いかにご自身が非リア充であるか強調しながら、オタクに寄った下から目線の文章はなんだか安心する。

「絶望名人カフカの人生論」 カフカ  頭木弘樹 編訳


あともう1つ、オススメなものとして「絶望名人カフカの人生論」がある。かの村上春樹氏が大きな影響を受けているとされる20世紀の大文豪フランツ・カフカだ。カフカはネガティブに突き抜けた作家としても有名で、「いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです」等、数々の名言を残している。ネガティブが過ぎて逆に面白く、元気をくれる1冊である。

 以上、孤独な心に効くエッセイをいくつか紹介した。

 なぜ私はエッセイに癒されるんだろうな、と考えていた。理由は色々あるだろうが、私は口下手で考えていることをすべて言葉にするのも苦手だから、頭や心の中にあって表に出てこない言葉が結構たくさんある。そんなだから、余計他の人の、表に出ていない思いを知りたいと思うのかもしれない。そういえば、著書「コンビニ人間」で有名な村田沙耶香さんのエッセイ「となりの脳世界」でも、私が感じていたことと似たようなことが書いてあった。村田さんは『誰かの脳世界を覗くのは、一番身近なトリップ』と言っていて、確かにそうかもとも思った。
 これからも孤独な心を癒すエッセイの開拓に励んでいきたいと思う。