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「大学の卒業を1年遅らせる」ことをスタートアップの人事役員の目線で振り返る

Twitterに書いたことをメモがわりにこちらにまとめておきます。少し加筆していきます。

いきなりですが「大学の卒業を1年遅らせる」ことに自分は結構ポジティブ派です。 以前に学生から相談されて話したことをつらつらとまとめていきます。コロナ禍で大学生活を送り、周りと違った選択をすることに迷ってる学生に届くと良いなと。もう15年も前の話ですが、自分は海外留学という選択をして大学に5年いきました

大学受験の失敗からの1年留学

背景は大学受験に遡ります。高3夏休み終盤までで部活をしていたこともあり(完全に言い訳)受験に失敗して、志望していた大学には行けませんでした。「1年間浪人するのか」、「受かった大学に現役でいって、1年留学をするのか」を選択することになるのですが、とにかく受験勉強が嫌すぎて進学することにしました。入試直前になってるのに数学に全然ついていけなくて焦る夢を今でも見ます。

自分が通っていた高校が半分は浪人する自由な高校だったおかげか、受験失敗しても「社会に出るまでの5年をどう過ごすか」という前向きな切り替えられました。これはいま、人事目線で振り返ると無駄にレジリエンス高くて良いなと思います。受験勉強って当時にとってはかなり大事なイベントだったと思うのですが、その失敗の受け止め方はかなり環境や周りに影響されると思います。不必要に落ちすぎないこと、こだわりすぎないことが大事です。

というわけで現役で大学に進み、大学3年生になる前に改めて「一年遅らせるか否か」を検討するときが来ました。ストレートに卒業することも単位的には可能だったのですが、ゼミや就活を考えてイギリスの大学に留学し、1年遅らせることを決意しました。前置きが長くなりましたが、卒業を1年遅らせてよかったことを羅列します。

卒業を遅らせてよかったこと

❶周りと違うことに抵抗がなくなった

学生になりに自分の意志で、一年遅らせる、という意思決定をしたことは「周りに流されない」という訓練になりました。幸せの形が多様化する人生100年時代、周りとの比較ではなく自分軸で幸せを決めるしかなく、自分の人生に責任が取れるのは最後は自分です。一回レールから外れると、比較対象が少なくなって割と楽です。周りとすぐ比べてしまう自分にとって、これはポジティブでした。社会人になると、この一年の差なんて本当に小さなものですし、社会人人生が長くなればなるほどどんどん一年の差の価値は小さくなっていきます。

❷レジリエンスがついた

1年の過ごし方として、英語わからない中で現地の人に混じって授業出て単位を取得することは、日本での受験勉強やストレートで社会に出ることよりよっぽど大変でした。弱い自分に向き合う機会や、意外となんとかなる経験ができたのはよかったです。人生でもトップレベルに追い詰められてました。弱い自分、逃げる自分、乗り越える自分、色々な自分に出会うこと、認めることはその後の人生において結構役立ったと思います。

❸最後の1年間、ひたすら本を読み過ごし自分の頭で考える時間をとった

留学から戻ってきて、就活を終え、単位も取り終わり、同期も卒業してた大学5年目は本当に暇でした。そこであらゆるジャンルの本を100冊読んで感想を書くことを自分に課してやってました。どこにも公開せずに、とにかく感想を書き続ける。読んでいたジャンルは、古典・小説・ビジネス・自己啓発・文化的なもの…とにかく目についたものを手に取りまくりました。社会人になると時間取れないのでこれめちゃめちゃおすすめです。いまでもその時のメモ見返します

❹なぜ生きるのか、働くのかを1年考え続けたことでエネルギーを貯めることができた

これもすごく良かったです。途中からだんだん考えるのに疲れてきて笑、「もういいから早く働きてぇ」モードに入ります。おかげで吸収率が高い新人時代は働くモチベとエネルギーが異常に高く、素直にハードワークしており、それが最大の差別化要因でした。社会人の一年目に終わりに書いたメモが残っていたのでそのまま転記しておきます

立ち止まって考えること自体は全然悪いことじゃない。思考を停止して生きていくよりは全然マシ。だけど、ものごとにはしかるべき「タイミング」というものがあって、少なくとも社会人一年目はそういったことを「悩む」タイミングとしてはもったいない。

仕事から得られる情報や認識できるキャパ、体力、キャリア、成長の度合いなどを考えると「一年目は自分にストレッチをかけて駆け抜けたほうがいい」そんな風に僕は思います。

「自分が働くってどういうことなんだろう?」「人生ってなんだろう?」仕事につぶされそうになってからそういったことを初めて考え始めた同期の話を聞いていて、「もうすこし早く考えていればよかったのに…」と感じていました。仕事もできるし、能力もあるのに、もったいない…

追いつめられてから出す答えはやっぱり後ろ向きなものになりがちだし、時間だけはあった学生時代にそういったことを一度真剣に考える時間を取れていたことがよかったのかな、と今は思います。

本来は就職活動がそのタイミングであるべきなんだけど、いまの就活というのはテクニックとか小手先のことばかりが求められがち。なので自分は就活時のゴール設定は、常に「志望企業からの内定」ではなく、「4月から働くことにワクワクしている状態に自分を持っていくこと」と設定して、逆算して動いていました。


当時はデメリットに感じていたけど、今思えば重要度が低いこと

❶大学の同期と1年分の思い出が共有できない

同期の卒業旅行の時には就活していたり、話についていけなかったりするんですが、長い目で見ると本当に小さいことです。大学時代の友人も大切ですが、自分の軸をもてた1年の方が貴重だったなと思います。大学時代の友人だけと一生付き合い続ける人の方が稀なのではないしょうか。

❷一個下の後輩に混じるときの居心地の悪さ

先輩とばかり仲良くしていたタイプで、下の代にアウェー感があり割と抵抗あったんですが、社会人になるとアウェー環境がほとんどです。年齢や代の上下どっちとも仲良くなるスキルって実はめちゃ大事だったなとこの歳になって実感してます。

❸サークルでの幹部の経験

当時所属していたサークルでリーダー的なポジションを打診されており、それもいい経験になると思いました。ただ、今振り返るとリーダーシップを取る機会はその後も割とあるので、本当にそのときしかできないか、というと今思えばそうではない気がしています。今も昔も新卒就活で「サークルの代表」は大量発生しますし、大して差別化にはならないのではないでしょうか

❹学歴

これは浪人との天秤の話なんですが、しばらくずっとコンプレックスでした。「節目で頑張りきれなかった自分」は一生ついて回るんですが、「むしろ落ちて良かった」と思えるくらい濃密な生活送るぞエネルギーにすればいいのかなと。卒業後しばらくして本当にどうでもよくなりました。大人になればなれるほど学歴にこだわる人は減りますし、卒業後こだわり続ける人ほど、卒業後に学歴を超える何かを残せてないということな気がするので段々こだわるのがカッコ悪くなると思いますので大丈夫です

❺お金

これは親に感謝あるのみですね。ただ若く価値観が柔軟なうちにしておくべき経験はそのときお金が無駄に思えてもやるべきかなと。カブトムシは幼虫時代にどれくらいいい餌を食べたか、で成虫になった時のサイズが決まる。成虫になってから餌をたくさん食べても限界があるとどこかの本で読みました

❻恋愛

これは書くか迷いましたが、実は当時一番大事だったのはここでした。遠距離恋愛だったり、学年に差がつくことなどデメリットはあるんですがこれは本人たちの頑張り次第かなと。笑 同じような境遇で結婚してる友達もいますし。 あとおじさん的には出会いは割とその後もあるのではないかと...

当時想定していなかったデメリット

❶リーマンショックと就活が重なる

内定はもらえるのではと勝手に踏んでいた会社や選考進んでいた会社が採用を閉じたり、人数絞ったりとファーストキャリアの就活は色々想定外でした。 そのときは1年遅らせたのは失敗だったか?とも思ったりもしました。

ただ数年後に新卒就活のときに落ちた会社から中途でオファーをもらえてたりします。ちなみに自分はリクルートは新卒で落ちてます。いざ中途で入ってみて、その時受かった人と仕事をすることもあるのですが、自分は「むしろあのとき落ちて良かったな」と思えたりもしたので、最初の会社で頑張るのが大事かなと。新卒就活の合否は本当に気にしないでいいと思います。その後の人生はいくらでも変えられます。

というわけで、長々と昔話を書きましたが、人生100年時代、「一年遠回りして斧を研ぐ」のも長い目で見ると悪いものではないと思います。回り道にも思える判断や経験が、後々役に立つこともあったりします。 受験や就活にうまくいかず今は失敗に思えても全然挽回できるのでとにかく前向きに行きましょう!

余談ですが、今や海外で大ブレイクしているサッカーの三笘選手がプロのオファー断って大学行く経緯を知り、「自分を客観視する力」えげつないなと思いました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。キャリアや人事、所属していえるエクサウィザーズについて発信しておりますので、よろしかったらTwitterのフォローもお気軽にお願いします


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