2回目のメリーポピンズ

今春。ミュージカル「メリーポピンズ」を観に行った。
 「メリーポピンズ」は2回目だ。
 中学2年生の冬、初めて友達と二人で映画を見に東京まで出かけた。確かテアトル東京。今はもうない。ミュージカル形式の映画だった。
 主役のジュリーアンドリュースの歌声が、素晴らしかった。なんの知識もなかったが、「この女優さんすごいな。」と思った。のびのびとした張りのある声、きれいな発音、そして何より生き生きとした表情で歌う姿に、見とれてしまった。
 「あんな風に歌えたら、楽しいだろうなぁ。」と思った。
 ポピンズが、映画の中で繰り返し発していたおまじないの言葉。
「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドぅーシャス」。おこずかいで買ったパンフレットに書かれたこの言葉を、必死に覚えた。なんの役人もたたなかったけど。
 
 今回は、舞台ミュージカル。キャストは日本人。「ミュージカルは、日本人には向かないよ。」と言ったタモリさんの言葉が頭に浮かぶ・・・。チケット代も映画よりはるかにお高い。でも、メリーポピンズにもう一度会いたかった。
 渋谷のど真ん中の、高層階にある劇場内は、以外にも中高年が大半だった。
 開幕してすぐ、「日本のミュージカルってこんなにすごかったのか・・・」と圧倒された。ポピンズ役の女優さんの声量には、何度も圧倒された。歌声が、こっちめがけて飛んでくる感じ。そして場内を駆け巡る。嬉しかったのは、あの時の映画のように、ポピンズのロングドレスの裾が、しなやかに揺れていたこと。
 一番うれしかったのは、劇中ラストの歌。
何回も何回もリフレインされた歌詞。
「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドぅーシャス」を一緒に歌えたことだ。歌いながら鳥肌が立った。45年前に必死に覚えたのは、この日のためだったかぁ~と。
 お客さんたちも、躍るように手拍子。舞台と客席が、一体となっていった。歌も演奏も終わった瞬間、みんな両手を上げて拍手し、いつまでも鳴りやまなかった。

 45年前、日本にミュージカルはなかった、と思う。
 日本て、日本人ってすごいな、と思った。
 ミュージカル、また行こう!

 
 

 

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