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ネットを越えていけ

 バスケのシーズンが終了した5月末、メインで使っているNikonのD500をオーバーホールに出して野球のシーズンに備える予定が、最初の見積もり料金からの変更と作業進行確認で1週間程度遅れ、諸々部品入庫その他の遅れで結局1ヶ月程度の入院と、予想以上にかかってきたなぁという昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 入院期間中は二台体制時ではサブ機として使用しているD750をメインに据え、様々なシーンを残しているんですけども、屋外で光源条件がいい場合はまだまだ一線で戦えるねっていう感想を持ちつつ、フルサイズ機に150-600を付けても、野球場でイメージ通りの絵を残せるなと。

※D750、屋内だとフリッカーレスではないため、ちょっと気を使う部分があるんすよね……。

 7月からはD500も戦線に復帰できそうなのですけど、シャッターユニットの疲弊を分散させるためにもたまにD750を連れ出してってのもありだなー、なんて感じながら、メイン機が帰ってこないために進まない籠球観戦記を横に写真の話をちょっと書いていきます。

■最大の敵と戦うのか逃げるのか

 野球を撮る上で最大の敵となるのは、観戦の安全を守る防壁であるフェンスやネットだと私は思います。

 昨シーズンからBCリーグにお邪魔することが多く、かなり手強いフェンスが張り巡らされている球場が多いことに気づいたんですが、野良のカメラの人として悩んだのは「フェンスと戦うのか逃げるのか」ということ。

 座席に座った状態で最前列からフィールドを見ていくと、座席前にコンコースがある場合や手すりなどがある場合、手すりがフレームに入る、ピントの合焦次第で被写体自体は残るものの、どうしても絵に網がのってしまう等々の問題が出てくるなと。

 ビブス付き……いわゆるオフィシャルカメラや報道のみなさんなんかには中々思い浮かばない悩みだと思うんですけど、野良のカメラはスタンドから撮影するってのが大前提になるので、ネットやフェンスとの戦いが最初に出てくるんですよね。

■ネットと戦う

※古河市民球場のサイドは一列目がネット目前でした

 基本、全席自由席で入場後に座る位置は自由に決めてくださいというBCリーグでの観戦をベースに書いていきますけども、一列目の眼前がそのままネットだった場合、攻防を考える前に最前列に陣取ってていくのがベターじゃないかなと思います。

※古河市民球場のサイドは一列目がネット目前でした

 レンズにもよりますけど、屋外競技を撮ろうとイメージするレンズであれば、ほぼほぼネットが気にならない絵で残りますし、レタッチ等々しっかりとやっていくなら全く気にしなくていいと思います。

※古河市民球場のサイドは一列目がネット目前でした

 明るさはピンキリですけど、テレ側300mmぐらいはほしいところかなと思うんですが、距離を稼ぐことの出来るレンズがあれば一列目が即フェンスだったりネットだったりする球場なら何も考えずに一列目を確保するのを(メインの被写体にもよりますけど)オススメしていきたいところです。

■ネットから逃げる

 一列目の座席からネットまでの間にコンコースがある場合、私の場合、基本的にネットを越えられるスタンド上の方まで移動して、そこで色々と撮っていくことが多いです。

 チアさんのフィールドでのアクトやネクストバッターズサークルにいる選手なんかを寄りで撮るのは位置によって難しいですけど、ネットにピンを持っていかれない、像をしっかりと残すのはネットを越える位置からやったほうが体感的に楽。

 好みの絵次第ではありますけど、前の方でネットと格闘しながら、ピンを奪われながら撮っていくよりも、気楽にふんわりとスタンドの応援の音とかを聞きながらきゃっきゃしつつ、要所を押さえていくほうが楽しく撮って遊べるかなぁってのが自分の中にあります。

■張り付き妖怪

※航空記念公園野球場は一列目がネット目前でした

 あと、過去にやったことがないかと言われれば、そうやって撮ったことが何回かありつつ、現在は極力やらないように避けているのが「コンコースに座ってネットへ張り付いて撮る」ことでしょうか。

※航空記念公園野球場は一列目がネット目前でした

 椅子を用意してネット越しに……というのも、正直よく見るパターンではありますが、プレー中の云々もですけど、チアさんのアクトのシーンなんかはカメラの砲列数も砲列数なので、上の方から見ていてちょっとそれは……って思ったり。

※航空記念公園野球場は一列目がネット目前でした

 張り付いて上がった絵は思い通りのステキなタイミングで残せているかもしれませんけど、スタンドで普通に見ているみなさんの視界を奪っている可能性があることに気づいてほしいんですよね。

 しゃがんでるからいいだろ的に思われるかもしれないんですけど、スタンドの構造上、そこに人がいるようになっていないですから、座席に座ってみているお客さんはどうしたって見えなくなるわけで……。

 私もチアさんやキャラクターたちなど、いわゆるスポーツエンターテイメントを撮る人なので、そうやって撮っているシーンを見てアレだと思うのを同族嫌悪と言われたら返す言葉もないんですが、NPBでスポーツエンターテイメントを撮ってきた(いい話も悪い話も含めた)色々な経験を経て、様々な制限がされてしまう前の先回り的な形として書いておきたいんですよね。

 BCリーグで現在の観客規模のままで考えていますって話なら、ぶっちゃけたところ大きな問題にはならないかなって思います。ただ、これから規模を大きくして、しっかりと集客していくぞって考えると、張り付き妖怪は結局回り回って自分の首を絞めることなるんじゃないかな、なんて思うんですよね。

 そんな張り付き妖怪関連は私をBCリーグの沼にむけてドロップキックをお見舞いしてくださったマドハンド先生あささんもちょっと書かれていたり。

 というか、寄ったシーンは難しいかもしれませんけど、ネットを越える位置からでもグッとくる絵は残せますし、このあたりは考え方一つかなと。短い距離のレンズしか無いから(張り付きは)仕方ないじゃないとか言われたら「長い距離も撮れるレンズを買おうね☆」と、寄った絵が欲しいからとか言われたら「寄らなくても伝わるシーンを探そうね☆」しか言いようがないですよね。

■NPBでの考え方

 上2つはある程度座席を現場で決められるBCリーグでの経験のお話ですけども、基本指定席で運営されている都合上、上の「戦うか逃げるか」を踏まえて座席を取っていくのが基本線でしょうか。

※ネットを越える位置から

 もちろん、バックネット裏のあたりや前の方、そもそもネットのないエキサイト系のシートとかは結構いい塩梅の価格。疫病禍以降、ダイナミックプライシングの導入によって、さらに価格がエグいことになっているという印象が強いので、お大尽でもない限り、ここぞってとき以外は厳しいかなぁと。

※ネットを越える位置から

 数年前までのマリン、フィールドウィングシートや横浜スタジアムなんかはフェンスが低くて臨場感抜群だった頃は、どこの席に座ってもある程度の絵が残せるかなって感覚があったんですけども、今は観客の保護を優先する例のほうが多く、ネットやフェンスがしっかりと張り巡らされているところがほとんどでしょうか。

※フェンスが直前のホームランラグーンからの絵

 このあたりは臨場感よりも安全を優先して、なんて塩梅なのかなって察するんですけども、そのあたりの状況と相対していく中で、どうせネットが被るなら、被らない位置まで行ってしまえって、そんな動きになったような気もします。

※外野のネットを越える位置から

 サブブランチャイズまで範囲を広げれば、ほっともっとフィールド神戸(来月お邪魔するのが楽しみです)なんかはフェンスが低い状態で野良カメラに優しい球場なんですけども……と、先回り先回りで色々諸問題起きないようにたち振る舞うのがスマートじゃないかな、なんて思う今日この頃です。

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