「網張り付き妖怪」からの卒業を目指す
この数年で野球観戦の際にカメラを持ってくるファンというのは体感的に増えてきたなぁと思います。
TwitterでもInstagramでもいろんな方がいろんな視点の写真を載せているし、現地に行ってもチームによれば立派なカメラが席にズラリと並ぶことも…。
そんな中「網に張り付いて撮影している自分の姿」をアイコンにしている写真アカウントもいらっしゃるのですが、そういった網に張り付く行為を見ると、個人的にですが「うーん?」って思ってしまうことがあります。
アイコンにされているということは「私はよくこうします」と言っているのかな…という先入観も少しばかり持ってしまいます。
じゃあ、そう言うあなたはどうなんだ?と言われると思うので正直に答えます。
私も以前はやっていました!
人のことまったく言えないじゃないか!と言われても仕方がないのですが、やったことがあるからこそ今こうやって言えるというのもあります。
恥ずかしい話、私は網(フェンス)を抜いて撮影するのがとても苦手です。特に地方の屋外球場は網が太かったりしてピントを持ってかれることが多々ありました。
その対策として、網に張り付いて撮る、ということをやっていたのです。もちろん毎回でないにせよ、当時は克服のために必死だったような気がします。
特に独立リーグとかだと席はほとんどが自由席なので、それならと自席と網の間の通路にしゃがみ込んで、網に張り付く…それはもう執念深く。そう、まるで妖怪のように。
「網張り付き妖怪」と化した私はもちろんその苦手を克服したと勘違いして大満足していたのです。
だけどそれが如何に愚かなことだったかを知る日が来ました。
とある日、とある球場。いつも通り私は内野席に座っていたら、あるファンが近くを通りました。
手にはカメラが。あぁ、この方もカメラでいろいろ撮られるんだなぁ。どんな選手を撮るんだろうなぁ…なんてほんのりと思っていたら、私の視界を遮るような形で網にベッタリ張り付いて選手をパシャパシャ。
「あれ?視界の邪魔になってないか?」とふと思いました。
私は四六時中カメラを構えている訳ではなく、時々腕の休憩も兼ねてカメラを下ろして試合を肉眼で観ることもしています。
そのときに結構な頻度で視界に入るので「すいません、見えないのでどいていただけませんか?」と声を掛けようとも思いました。でも声を掛けられませんでした。
人見知り(と思われないのですがなんででしょう…笑)なので…というのもありますが、ここで私は思い知るのです。
「"見えないからどいてほしい"と思ったということは、今までも私の姿を見てそう思っていた人が少なからずいたということだよな…」
声を掛ける資格なんてありませんでした。
視界に入ってくる人は、あのときの必死すぎて妖怪と化した私そのものだったのですから。
それ以来、私は「網張り付き妖怪」にならないように心がけました。自分が選んだ席で、そこにしっかりと深く腰掛けて、(今でもめちゃくちゃ苦手だけど)網にピントをもってかれないように。
試合前後であれば割と自由な感じだし、(個人的には)特に気にならないのですが(当然ですがNPBだと試合前だろうが視界の邪魔になる行為があると係員から注意を受けます)、試合中は観戦に集中されている方が多数ですので、邪魔にならないようにしないとな、と気にするようになりました。
そういった経緯があって、老婆心ながら思うようになったのです。本当にただのお節介です。
前述したように、自席でじっと撮るのであれば特に問題はないですが、たとえ自席であっても浅く座ったり前のめりになるのも、近くに座ってる人からすると結構視界の邪魔になることがあるのであまりやらない方が良いかもですね。
特に前のめりはそれこそ網張り付きの際にありがちかな、と感じます。球場によっては自席と網との間隔がえらく狭いところもあるので、仕方がない場合もありますが、網とそこそこ距離がある中で前のめりになって張り付くのはやはり周りを考えていないように見えてしまうかもしれません。
あと、近くの席の方に「カメラで撮ったりするので、邪魔でしたら声掛けてくださいね」と一言声を掛けたり。少しばかりの気遣いで周りのファンと気持ち良く観れるかなーって思います。
他にも(とあるご友人の受け売りですが)地方球場であれば上の方の席だと網がほとんどかぶらないので、逆に撮りやすいという意見もありました。
立派なレンズやズーム機能に長けているカメラであればそういった方法を取るのもアリだと思いますね。
きっと、網に張り付いても怒られないルールなのかもしれない。
その日によっては、お客様がまばらで、視界の邪魔になることはないのかもしれない。
少しでも選手を近くで撮って、寄りに寄りまくった構図がその方にとっての強い拘りなのかもしれない。
だけど、少しだけでも良いので考えてほしいかな…って思います。
その行為を何度もしてしまって、他人の視界を遮ってしまうという犠牲が起きてしまうのは、とても辛いことだと思います。
もし同じことを自分がされてしまったら、きっと私と同じように気分が悪くなると思います。
ましてやその様子をアイコンにしていたら「普段からそういうことをしている人だ」と思われてしまう可能性も考えられます。
二度とやるな、とは言いません。
でも、少しだけ…本当に少しだけ、控えてみると良いかもしれません。
その「少しだけ控えてくれる人」が増えれば、その分気持ち良く観れる人が増えて「また現地に行こう!」って気にさせてくれるかもしれないです。
試合は、あなた自身のためだけに存在しているわけではないですから。
こう書いたからには私も改めて気をつけようと思います。
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