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自分の中に毒を持て

 今回は岡本太郎さんの自分の中に毒を持てを読んだ。いつも興奮と喜びに満ちた自分になるという表紙に書かれた文章は刺激的であった。常に日常において一瞬一瞬に全力で火花を散らして臨む…確かにそれが持続してできれば面白いかもしれないし刺激的であろう、新しい景色が見えてくるかもしれない。殊に仕事に関していえば常に全力で全ての仕事にあたりワクワクしながら常識にとらわれずに刺激を求めて突き進む…それも良いかもしれないが、最近は色々なことを考えるようになった。
 医師として、自らは放射線治療医としてがん患者さんのよりよい生活の質の改善が得られるように、可能な限りの治療効果を求めつつ有害事象を抑えつつ、患者さんの不安や懸念事項に可能な範囲で耳を傾けつつお話をしながら少しでも患者さんの生活に役人立てるように、かつ治療に費やす時間・期間や金銭的負担にそれなりに見合った治療が提供できるように考えつつ(これは副作用に対して処方や日常生活における食事や過ごし方などの注意点に関して助言を試みる際も同様だ)患者さんに接することができるよう日々努力することは当然のことである。また、日々新しい知見が次々に発表されるため、可能な範囲で新しい論文を確認していくことや学会、研究会への参加や日々の勉強、研鑽を欠かさぬようにすることも当然だろう。身なりに気を付けることや患者さんや共に働くスタッフへの言葉使いに留意することなど一人の社会人として普段の姿勢に常に敏感であることも当然だろう。しかし、仕事は人生の全てではないわけだが、常に毎日を仕事に全ていつ何時でも全身全霊費やすことは弱い私には現実的には無理であることは自明であった。医師として仕事に向き合うたびに、より良い仕事をできるように努力するよう心がけていくうちに、一方で周囲の色々な医師を見るたびに、人生とは何なのだろうか、人生の目標はどこにあるものなのだろうか、医師としての人生の目標とはどこにあるのだろうか、そもそも人生の目標などと大それたことを考える必要はあるのだろうか…と考えてしまう時が最近度々ある。この本を読んでみるとより一層そのようなことを考えてしまうようにもなった…、本を読んで日にちが立つとあまり頭の中に具体的な本の印象的なフレーズなどの内容が残っていないことに若干の悲しさを覚えたが、この本を読んでよい時間を過ごすことができたとは思っている。この本もまこなり社長が推していた本であったと思う、私の記憶が正しければだが。

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