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【思考実験】人間の知能を超えたAIは株式市場を支配するか?③

例えば以下のような特定の領域で人間を凌駕する投資判断を下すAIが普及した場合、市場にどのような影響が及ぶだろうか?

①人気投票型AISNSや板情報を分析し、人気が過熱している銘柄に投資する。株価に悪影響を与えうる情報が出た場合は瞬時に持ち株を売る。

既に似たようなシステムは存在しているだろうが、チャート分析を専門にしているような短期投資家にはますます勝ち目はなくなるはずだ。

②バリュー投資型AI財務諸表の数値情報を瞬時に分析し、市場評価に対して企業価値(株価)が低い会社を順位付けする。定量的な分析を得意とする若き日のバフェットやベンジャミングレアムが用いた戦略を真似たものだと思ってくれればよい。数値情報の分析はAIの得意とするところである。

明らかなのは、個々の投資家の技量の差が一気に縮まることだ。誰もが同じAIを使えるために、株式投資の自由度が狭まるだろう。では市場を上回りたい個人投資家はどうすれば良いのか。

バフェットがそうしたように、定性的な情報を投資判断に役立てるスタイルにシフトするのが一つの回答になる。AIでさえ判断が難しくなる領域を主戦場とし、現在の数値情報では見えてこない将来的なキャッシュフローの成長を見通すのである。

AIの出現により、株式市場も例外なく大きな影響を受けるだろう。2023年現在では、グレアムがバリュー投資の効果に気付いた1930年代のような掘り出し物の株が見つかりにくくなっている。全体的な投資家のレベルが上がったためだ。そしてAIの登場により、今後の市場は更に難しいものになりそうだ。しかし、それでも株式市場は突き詰めれば市場心理との闘いであるから、投資家の努力によって個人目標が達成できる余地は残っているはずである。

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