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捕まってしまった・・・

「んんんっ」あれ?なんかノドがつっかかるな。
まぁいつもこの時期になりやすい副鼻腔炎かな。
水曜日の夜はこんな感じだった。
番組中に声が時々掠れてしまった。

翌日、「あれ、声が枯れている・・・」
日常生活をする分には問題はないが、夜には生放送がある。
熱もないし、咳も出ないが、念のために
抗原検査もやってみたが結果は「陰性」だった。
「やはり副鼻腔炎か・・・耳鼻咽喉科いかなかきゃ」
そう思いながら夜9時から生放送に向かった。

21時定刻、タイムシグナルと共に番組スタート。
ゴンバンヴアジゴクはグジをバアリマジタ」
言葉全てに濁音が付くような声。おや、これはマズいぞ。
明かに昨夜よりも出ていない。これで3時間は一人では持たない、
そう判断し、DJのバンちゃんにサポートしてもらいながら
この日の放送をなんとか終えた。

帰宅し、早々に就寝。
翌日、だるい、頭がぼーっとする。
「え?マジかよ、オイオイオイ」と思いながら体温を測ると
38.7℃・・・えーーーーーー!!からの陽性。
そう、ついに捕まってしまった。
まず心配したのは、ばんちゃんとスタッフ。
どちらも体調に異変はないとのこと。安心は出来ないが、
無事を願いながらこの日は倒れ込んだ。

土曜日、解熱剤が効いて、熱は下がったが、声が出ない。
喉の痛みは無い。咳も出ない。
出ない出ない出ない。
出ないナイナイナイナイティア!(少年隊 仮面舞踏会)
これが、世間でいう新型コロナウィルス感染というヤツか。


自分の場合思ったほど症状は重くないが、メンタルに来ることが分かった。
仕事の関係者へご迷惑をかけてしまったこと、自分の声が戻るのか、
誰にも移さないように引きこもりの生活。不安感。
励ましのメッセージを頂いたりするも、そこに書かれている
言葉を変にネガティヴに受け取ってしまったり。
自分でも客観視するとちょっとヤバいな〜。コロナの怖いとこは
身体もそうだけど、心にもかなりの影響があるな・・・と。
そして、この日の夜にお腹を下す。
食欲も無いので消化にいいものを食べても壊す。
辛かった・・・

日曜日、少し体が楽になり始める。
「あーあー」声を出すとまだガラガラだが、体はマシだ。
これをいい機会と捉えて吸収しまくろう!
買って読んでいなかった「地政学」の本を読む。
「アメリカはなぜ超大国として君臨し続けられるのか?」
「アフリカ大陸の国々が抱える問題」
「遠交近攻」「ケイマン諸島」「民族問題」
など色々と興味深かった。
中でもシンガポールの建国の父、リー・クアンユーの
考え方に驚嘆した。


他にも映画やドラマを吸収。
トム・クルーズ主演、パイロット役の映画といえば
「トップ・ガン」ではなく、「バリー・シール」
サブタイトルは「〜アメリカをはめた男〜」
実在の人物の映画。面白かった。
他にも1969年にデビューし、活動50周年を記念した
細野晴臣さんのドキュメンタリー映画、
「NO SMOKING」この作品もクリエイティブを刺激された。
他にはミュージカル、RENTを産んだ作曲家、
ジョナサン・ラーソンの自伝ミュージカルを映画化した
「tick, tick,…..BOOM!!」
夢を追いかける生き様、金や名声を手にしたいが、それよりも
自分の内なるどうしようもない感情を爆発させたい!
主演のアンドリュー・ガーフィールドも素晴らしかった。
と、この日は3本も映画を観た。


月曜日
まだ声は擦れていて、体の倦怠感も残っているが、
この日はベッドから起きて過ごす時間の方が長くなった。
NHK国際放送が選んだ日本の名作というオムニバスの小説
「一日10分のごほうび」を読む。
赤川次郎、江國香織、角田光代、原田マハ、などの作家が
短編を寄稿。特に、森浩美さんの作品は涙なしに読めない。


夜は仁井聡子さんが代演を務めてくれた自分の番組を聞く。
リスナーとのメッセージのやり取りが面白く、
優しく、にいさんの人柄が溢れる放送だった。
「この人に話を聞いて欲しい」そう思わせてくれる人だ。
これほどまでに客観的に自分の番組を聞くことも無いので
色々な発見があった。有難う、仁井さん。

発見といえば、この療養期間、様々な考えが浮かんでは
あぶくのようにポッポっと消えていく。
そんな時間の中で感じたのは
「自分にとって大切なものは何だろう」ということ。
当たり前のように生放送があるのは当たり前じゃないし、
好きな服を着て出かけるのも実は特別な事だし、
好きなものを食べに外食するのもスペシャルなんだ。

そんなこと分かっていたはずなのに、ちゃんと体で思い知ることが
必要なタイミングだったのだろう。
自分にとって「声」はかけがえのない財産だし、
音楽は励ましてくれるし、ラジオは安心感がある。

地政学の本に書いてあったが、
大国になればなるほど、国内のことが大切になり、
外に目を向けれなくなる。正確には向けなくても
豊かな暮らしが出来てしまう。
しかし、小さな国はそうはいかない。
自国だけでは経済の限界があるから外に向けられていく。
自分もキャリア20年を超えて、いつの間にか
視野が狭くなっていたのかも。
そんなことを考えながら横になっていた。

一息に書き殴るように書いていたら2000文字を超えている。
読む人のことも考えずに書いてしまった。
映画の話をまた自分の映画マガジンの方に書くことにする。
とにかく、この期間も自分には無駄では無かったと思う。
人間、弱ると何が欲しいか、よりも何が大切なのか、を
考えるようになる。病気になり細胞も新しくなった気がする。
新しい視点から人や物事を捉えるようにしていこうと思う。

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