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これも「読み」ですか? 8
現代川柳の「読み」文章シリーズ第8回です。
過去回は▼のマガジンにまとめてあります。
さて、今回取り上げる7句も、川柳作家の海馬さんが「診断メーカー」でこしらえた、任意の名前を入れるとランダムに現代川柳を返してくれる楽しいサイト「アサッテの川柳」を使って選びました。
なお、今回(2022年11月13日)入力した名前は、ボルヘスの短編集『砂の本』の収録タイトルです。
こんな感じで……
他者さんの近未来を告げる川柳は
— 今田健太郎(ラジオポトフ/トリコロールケーキ) (@1mada) November 13, 2022
友達のしている事が恐ろしい/竹井紫乙
です#shindanmakerhttps://t.co/CauFruUxpQ
それでは、やっていきます。
一気に7句いきます。
【1】
友達のしている事が恐ろしい
/竹井紫乙
■いつまであんなやつの友達やってんの、と言われて思わずカッとなってしまった。あくまであいつの「している事」が恐ろしいだけで、あいつ本人が恐ろしいわけではない。あいつは友達だ。
入力タイトル:『他者』
【2】
こんな手をしてると猫が見せにくる
/筒井祥文
■筒井祥文一流の切り口に見えるが、もしや猫好きにはよくある視点なのだろうか。キレキレの発想であるがゆえどこかの発想とかぶってしまう。じゅうぶん起きうることだと思う。なんだか、猫のことがわからなすぎて手出し(読み)ができない。
入力タイトル:『ウルリーケ』
【3】
どこへゆくのみんなうさぎの耳をして
/ひとり静
■ディズニーランドの行き帰りであればねずみの耳でいっぱいだが、その場合の「どこへゆくの」という言葉には「あんなところに行くなんて気がしれないや」という湿った悪意がにじむだろう。もっと軽やかに、たとえば「うさぎの耳」はどうか。どうかっていうか、もうそうか。
入力タイトル:『会議』
【4】
人間宣言というなら金券ショップ
/飯田良祐
■「◯◯といえば△△」と同じ意味の、つまり連想の「というなら」だろうか。A=Bの断言が川柳によくある構造だとして、「というなら」は若干煮えきらなさが残るイコールに見えておもしろかったのだが、はたして。
入力タイトル:『人智の思い及ばぬこと(ゼアラー・モア・シングス)』
【5】
自分でも訳が分からぬほど叱る
/森山文切
■みずからの怒りを制御する心理療法のアプローチ「アンガーマネジメント」についてここでいいかげんなことを書くわけにはいかない。興味のある方はぜひ調べてみてください。
入力タイトル:『三十派』
【6】
ペガサスを産む18ページ後方で
/なかはられいこ
■「後方」は、読書における未来と過去どちらにあたるのだろう。いずれにせよいま開いているページではない。読書的タイムマシンの導入を「おもしろい」と言うなら、そこにさらに神話馬ペガサスを持ち込むのは「うまい」と氷原せざるえない。
入力タイトル:『鏡と仮面』
【7】
もう一羽来てあそびではなくなって
/八上桐子
■無意味な文字が一文字もない。詩の形をした透明なガラス容器に液体の詩を過不足なくぴったり注いだときのような美しさ。むろんそれは、容器だけを見ても、液体だけを見ても気づかない美しさ。
入力タイトル:『ウンドル』
はいおわりで〜す。だいたい週1ペースでこのくらいさくさくした歯ざわりでやれるといいな~と思ってますが、まあ、そうですね、思っています。
改めて、各句の作者のみなさんに、ありがとうございましたの11文字をお送りします。
ありがとうございました
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