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「職場」を見に行く 第5回(全5回)

第5回 僕の存在証明

いつまでだらだら書いてるんだ、と思ったので今回で終わりです。なにを書いてたんだっけ?と振り返ってみると、

ある日、グーグルマップ上で見ず知らずの畑に「職場」というピンを立てたバカ(演:今田)が、実際にここに行こう!と思い立ち(第1回)、その一連を「出勤」と呼ぶと決めて出発し(第2回)、電車とバスと徒歩でじりじりじりとバカを進行させ(第3回)、いざたどり着いたら誰かが畑を耕しているところでしたよ(第4回)、という顛末でした。

で、いよいよ最終回ですが、とくに大団円や意外な結末もないで~す。ちょうど畑では管理者と思しき方(=「職場」の「先輩」)が赤い耕運機で耕運を終えた直後のようで、まったくゆかりのない畑が新たに開墾されていた、というその風景に、無関係ながらわざわざ片道3時間かけて意味もなくやってきた者としては、まあなぜか意味もなく感動するものがあったりはしました。

なんてあぶないやつでしょう。なんのゆかりもないのにわざわざ来て、謎の感動をする。一連の思考と行動があぶない。もうすぐ迷惑。

なので、もうこれ以上は、せめて実際の迷惑をかけないように、「先輩」にはなにも話しかけず、畑のそばの道路から記念?に3分ほど様子を見守らせていただくだけして、なんの前触れもなく突如帰宅を開始、という、別の時代にやってきたタイムトラベラーがタイムパラドックスが起きるのを避けるため誰とも関わりを持たずに去るように、静かに帰宅させていただきました。

来た道を戻るのはしんどかった(たどり着くまでけっこうな道のりだったのでうんざり)ので、とりあえず反対方向に少し歩きだしましたが、なにか名残惜しくなってすぐに引き返しました。すると、つい数分前までガンガンに耕運しまくっていた「先輩」が、例の手押しタイプの赤いコンパクト耕運機を押しながら、近くの自宅に帰宅するのか、あるいはいったん倉庫のようなところに耕運機をしまうのかはわからなかったのですが、道を歩いていました。

心の中で「おつかれさまです」と言った。

で、すれちがいざまにその耕運機を間近で見てびっくりしたのは、赤いボディがまるでカタログ写真のそれのようにピッカピカに手入れがされていて、とくに土を掘り起こす刃先?の部分がギッラギラに輝いていたからだ。その輝きが目に焼き付いて、しばらくうまく眠れていない。(おわりです)

▼今回の一日を、ほぼまんま口でしゃべっています


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