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第一種放射線取扱主任者試験を受けてみて

目次

1 試験への心構え

2 科目別勉強法

3 まとめ



1.

 8月18・19日に第一種放射線取扱主任者試験(以降、主任者試験と略す)を受けてきました。この試験は一応国家試験となっています。合格率はおおむね20%ほどですが全体で6割以上かつ全科目5割以上が合格条件となっています。つまり、一科目でも5割を切ると不合格になるため苦手科目を作らないように勉強する必要があります。1日目に法令・実務・物理で2日目に化学・生物となっています。問題を見ればわかりますが決して簡単ではないので計画的に勉強を進める必要があります。私がしてきた勉強法を紹介して少しでも役に立ってもらえればうれしいです(合格発表はまだですが、公式の解答では約68%、最低の物理が58%でした)。

2.

 自分は今大学2年ですが、多くの場合大学3年に受けています。というのも、試験科目の範囲を大学で学び終えるのにそれぐらいの年月がかかってしまうからです。私が本格的に勉強を始めたのは4月半ばぐらいです。この時はまだ実務・法令系の知識がゼロでした。生物に関しては大学の講義が4月から始まったばかりでしたが、3月中にテキストシリーズ放射線生物学という本を2周ぐらいしていました。物理・化学は1年の大学の講義で多少やっていたので頭に残っていたと思います(たぶん)。そんな感じで勉強がスタートしました。次から科目ごとに勉強法を書いていきます。


_物理_

 個人的な体感として5科目の中では一番難しかったと思います。初めに講義の資料や放射線概論(以降、概論と略す)という本にざっと目を通し物理的概念の全体像を理解しました。そのあとは大体7月ぐらいから過去問を解きました。びっくりするぐらい点数が取れませんでしたが、大事なのは理解して覚えることなので点数はあまり気にしていませんでした。わからなかったところを中心にノートにまとめて繰り返し問題を解くということを本番直前までしました。物理に関しては毎年マニアックな問題が出ている印象を受けました。過去問を解いても解いても次々に見たことない問題に遭遇し本番でうまく解けるのか心配でした。当たり前のことですが、本番は分かる問題からやっていき、わからない問題に何分もかけないように注意しましょう。

参考書:
・概論
・放射線医学物理学(青いやつ)
・大学講義資料
・主任者試験問題集(過去問)

本番の正答率:35/60


_化学_

 化学は最初苦手意識がありました。その原因は放射性核種の半減期や壊変、エネルギーを全然覚えていなかったからです。これは英語でいう英単語みたいなもので覚えていなかったら本当にどうしようもないので何とかして覚えるしかありません。例えば、I-123、I-125、I-127、I-129、I-131の違いはわかるでしょうか?過去に大問のテーマでヨウ素のことを細かく聞いた問題がありました。知識がなければ解けないということが分かると思います。私がこの苦手意識を克服できたのは語呂で覚える放射性核種というのがyoutubeにあったのでそれで覚えました。個数が30個ほどしかないので非常に効率的だと思います。

核種を大体覚えたら過去問を解きました。物理と同じようにわからなかったところを中心にノートにまとめました。

参考書:
・スリムベーシック放射化学
・概論
・主任者試験問題集(過去問)

本番の正答率:37/56


_生物学_

 生物は一番好きな科目でした。基本的に暗記中心です。私はわからなかった箇所をわざわざwordにまとめて問題を自分で作っていました(下に例を示す)。試験前とか寝る前にパラパラ見て復習していました。あとは大学の定期試験の範囲に生物が絡んでいたので一石二鳥でした。とにかく生物はたくさん覚えよう。大体過去問と同じような問題が出題されるので、過去問を完璧に理解して覚えておくだけで十分点数が取れます。

参考書:
・テキストシリーズ放射線生物学
・大学講義資料
・概論
・主任者試験問題集(過去問)

本番の正答率:47/60

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_実務_

 ゼロ知識からのスタートだったので一番不安な科目ではありました。初めに大学で買わされた放射線計測学の本を読んで次に概論をざっと読みました。そのあと過去問を解いていきました。アドバイスとしては実務は物理・化学・法令などほかの知識も絡んでくるので、物理などの勉強をやる前に実務の勉強をすると少しわかりづらい部分があるかと思うのであまりお勧めはしません。他の科目の知識がついてきたところで実務を勉強するほうがコスパがいいと思います。実務も同様に過去問を解いたらわからなかったところを中心にノートにまとめました。

参考書:
・スリムベーシック放射線計測学
・概論
・主任者試験問題集(過去問)

正答率:40/60


_法令_

 名前だけ聞くとすごい嫌になりそうな科目ですが、やり方さえわかればそこまで苦労はしないと思います。まずは概論を一読します。次に過去問を解きます。以上です。え?と思うかもしれませんが本当にそれで充分です。失敗しがちな勉強法は概論をきちんと覚えようと思って2周3周しようとすることです。1読するだけでも結構な時間がかかるので2読するのはお勧めしません。私は2周目を読んでいるときに挫折しました。それよりも過去問を解きましょう。そしてわからなかったところを概論で確認していき線などを引いていけばいいです。言い忘れていましたが概論と主任者試験問題集は必ず対応した年度のものを使用してください。概論に対応したページ数が書かれているのでとても役に立つと思います。本番まで過去問⇔概論を繰り返していました。法令の問題は結構毎年同じパターンが多いので過去問は十分にやっておくことをお勧めします。私は8月7日ぐらいから過去問を解き始めました。実際法令は得点源になりやすいのでもう少し早くから過去問を解いとけばよかったなあと後悔しました。

参考書:
・概論
・主任者試験問題集

正答率:22/30


3.

 私は勉強するときに時間を測るのですが、4月からの勉強時間を総計すると大体277時間でした。多いのかどうかは人によると思います。目安として250~300時間で合格できるとします。そうすると4か月の勉強だと毎日2~2.5時間ぐらい。また、試験の10日前は追い込んで10時間ぐらいはしていたと思うので日々の勉強としては2時間前後でしょうか。主任者試験の時期的に大学生ならば前期定期試験と結構かぶってくると思うのでそれも頭に入れていつ何をするべきなのかきちんと計画を立てましょう。この記事はおそらく主任者試験初学者向けかつ独学向けだと思います。私は主任者試験対策講座みたいなのには一切行っていないのであまり参考にならない部分もあるかもしれません。試験会場では結構社会人とかいろんな人が受けに来ているんだなあとか、欠席者多くね?とか思っていました。また、私の正答率がそれほど高くはないので間違った勉強法を言っているかもしれませんので鵜呑みにはしないでください。あくまで合格できる最低限度の勉強法です。最後に自分の間違いノートのを下に載せておきます。赤シートで隠しながら勉強していました(笑)ぶっちゃけ主任者試験が国家試験だなんて最近まで知らなかったし、何の役に立つのかもわかりませんでした。ただ暇だったから受けたというのが本心です。ですがここまでやれたのには理由があって、合格した後に本当にやりたいことがあったのでここで絶対に合格しておきたいという強い気持ちがありました。古代ギリシャ哲学者たちがなぜ学問に興味を持ったのかというと奴隷たちに働かせて自分たちは暇を持て余していたからだそうです。つまり、暇人は勉強しろ!!!!!!


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