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元カレから17文字の連絡が来たから13文字で返した話。(恋物語後日談)

復縁間近の相手と疎遠になった時のエピソードを勢いのままに書いてからの後日談。

https://note.com/k1k3_a/n/nd9c8d02417ff


これを投稿した2週間後、彼から連絡がきた。
note投稿は誰にも話していないのでここを見つけたという可能性はない、と思いたい。
終業時間に見たスマートフォンの通知には「久しぶりです。体調はいかがですか?」の文字。
仕事の昇級試験や興味のあること、好きなことを楽しみながら気持ちの整理がついてきたところに届いた、たがか17文字、されど17文字。

そこにどんな真意があるのか全く分からなかった。分からないということは恐怖だと、どこかで誰かが何かの折に言っていた気がする。分かっていることは以前の私ならすぐ既読をつけて返信していたと胸を張って言えることだけ。
未確認生命体に遭遇した時のような動揺と、手に汗握りながら爆弾処理するような緊張。いや、どちらも未経験なんだけどね。
通知を見る、やめる、また見るを繰り返し、既読を付けずに3時間悩んだ。

気持ちの整理がついて忘れかけていたところに彼が連絡をしてきたこと、それに対して心が乱れた自分が嫌だった。
「気にしない、意識したくない」と思っているのに返信すべきか、なんて書いて返信すべきか、彼のことで頭がいっぱいになっている自分も嫌で。
また自分が傷ついたり落ち込んだりしたら友人に慰めてもらう、泣いてもらう、不快な思いをさせるのを想像しただけで嫌な気持ちになった。
その瞬間、気付いた。




なんだ、今の私って彼のこと、これっぽっちも愛してないじゃん。




口先だけだった「人の気持ちに不変はない」という言葉が、やっと自分の経験として昇華されたと感じた。
私が私を大事にした結果でもあるんじゃないかと思えたことも嬉しかった。



疎遠になる直前、がん検診の再検査結果を待っていたことを思い出した彼は私が元気か気になっていたんだろう。多忙だった仕事がひと段落して一息つける心の余裕が生まれたか、多忙を極めすぎた仕事に迷いが生まれて心細くなって話相手が欲しかったんだろう。すぐに既読がついて返信がきたら「自分はまだこの女に好かれている」と優越感に浸って自信やプライドを回復させたんだろう。
仮説はいくらでも立つ。実証は何ひとつできない。

「あの連絡はやり直す意思が示されたわけじゃなかった」と私の中だけで結論付けたら悩んでたのが馬鹿らしくなってその夜は未読のまま、返信せずに眠りについた。開き直って潜り込んだ布団の中はそれはもう快適で、あっという間に夢の中だった。


返信は12時間後。「お久しぶりです、元気です。」の13文字。
「遅くなってすいません」の常套句も、取り繕うような絵文字も顔文字もスタンプも付けなかった。
「普段の佐藤って顔文字とかスタンプを付けて感情を見せる人だから、文章だけの時って本当に怒ってるとか警戒してるとか真剣だって意思を文字に籠めてるよね」と友人に言われたことを思い出した。

彼からの返信はなかった。既読スルーにて終了。
次があるとして、また連絡が来た時はすぐに既読を付けて返信できると少しだけ自信を持って言える。そこにどんな真意があるにせよ、今の私が彼のことを愛していない事実はある。

13文字の返信で良かった。

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