見出し画像

春の味。家の味。

甘味、酸味、塩味、苦味、うま味といった人の味覚は幼少期に作られるんだって。幼少期って私は家族心理学の発達段階を基に0~12歳だと勝手に思って書き進めるけれど、幼少期っていつまでのことを言うんだろう。


今の時期はアブラナが美味しくて堪らないのです。「アブラナ?何それ?」って?あれよ、油になるやつよ、菜種油の菜種。え?それでも分かんない?菜の花だよ、黄色の花が咲いて春に「まぁ~綺麗ねぇ~!」って観光にも活用される菜の花。これ、全部同じって聞いて衝撃だったな。(えらく細かく分類すると違うけど。)もちろん花咲いたのは食べないですよ、まずいもん。青々とした蕾を春の味覚としていただくんですよ。細長いブロッコリーみたいなのをイメージしてください。軽く触るとポキリと採れるのです。

湯がいて水気を取って切り分けて鰹節と少しの醤油で食べると、新芽の柔らかな茎は本当に甘くて美味しいんだ。オリーブオイルにニンニクと鷹の爪入れてベーコンカリっとさせて、サッと湯がいたアブラナとパスタを絡めれば春味パスタ。

最近読んだ髙田郁著の時代小説『みをつくし料理帖』シリーズで、アブラナは東では食べられていない、油を取るための物を食材として使うのか!勿体ない!みたいなシーン、驚いたよ。

下宿時代にスーパーで買った野菜の青臭さは本当に忘れられない。野菜嫌いな子どもの気持ちが本当に分かった瞬間。あんなに青臭いの口にしたらそりゃ嫌いになるわな。スーパーの野菜が悪って言いたいわけじゃない。採れたて新鮮、旬の走りの食材を幼い頃から口にすることができる環境で生きているのは本当に幸せな生き方だと感じた素直な感想。今日日土を触る機会もないよね。親戚や知人のおチビちゃんたちが土や泥に興奮してるの見ると本当に面白い。

でもそんなコアな経験させなくてもいいと思うんだよ。家族が台所に立って季節の物を材料にして美味しいものを見せて作ってくれて、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味を教えてくれる。誰かのために作って味わってもらう、それが食育でいいと思う。

おままごとのプラスチックのフライパンに、プラスチックのお肉を入れて「チーン!はぁい!できあがり~!」って無邪気に家庭事情をおままごとで言ってたのはトースターの音と電子レンジの回転が好きだった幼い頃の私。手間暇かけたり、ササッとでも台所で美味しいものを作ってもらってたのにね!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?