妻と僕のPMDD生活10日目
夕立のように涙を流し、
木漏れ日のように温かい。
✳︎
最近の話。
仕事から帰ってきた妻は、
不機嫌のように見えた。
「仕事がしんどいのかな?」と思ったけど、
地雷を踏みたくないので自分からは聞かない。
その日はほとんど会話をしなかった。
次の日も同様だった。
仕事から帰ってきた妻は、
疲れ切っていて不機嫌だった。
特に何かされた訳ではないけれど、
何年間も一緒に住めば雰囲気で察する。
次の日も、その次の日も、
妻の霧は晴れなかった。
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そんな一週間を過ごした週末。
いつものように22時に寝室へ向かう。
いつものように足のマッサージを済ませる。
そして、いつものように眠りにつく妻。
僕は寝室に入ってからも、
基本的に2時ごろまでは眠れない。
ボッーと仕事のことを考えていると、
1時ごろに妻が寝室から出て行った。
「トイレかな?」と思い、
取り留め気にもしなかったが、
一向に妻が部屋に戻ってこない。
10分ほど経過した後、
様子を伺いにリビングへ向かう僕。
ソファで三角座りしている妻が居た。
「何をしてるの?」と僕は聞く。
「頭が気持ち悪くて」と妻は呟く。
僕は「そうか」と言い、
必要以上に質問をしなかった。
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すると、妻は突然泣きじゃくる。
3年ぶりほどのカナシミン。
久しぶりの感覚だった。
妻のリビングでの10分間を僕は知らない。
きっと1人どん底に居たのだろう。
起きていて良かった。
不眠症で良かった。
ネガティブな僕の不眠症が、
妻のネガティブな感情を救った。
僕の不眠症がネガティブではなくなった。
そう思えば思うほど、妻を愛しく思えた。
泣きじゃくる妻。
まるで夕立のように大きな粒を流す。
僕は何も言わず手を握る。
生気を感じなかったその掌は、
やがて温もりを感じる。
まるで雨上がりの木漏れ日のように温かく。
✳︎
カナシミンが現れやすい秋ではない。
だけれど、カナシミンは突然現れる。
まるで今を思う夕立のように。
土砂降りの中、妻は1人戦う。
僕はそばに居るだけ。
「だけ」で良い。
今の僕はそう思えるようになった。
少しだけ雨に打たれ強くなった僕は、
妻を見ながらそっと微笑む。
メガッパ
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