紫の夜の詩
夜中、数学の問題を解いていると、不思議な感覚に襲われる。
静まり返った窓の外、誰かが立っているのではないか、と。
少しだけ、怖い。
だが、少しだけだ。
少しだけのはずだ。
わたしは数学の問題を解くのに集中する。
窓の外の気配はどんどん大きくなる。
まるで、ガラスに貼り付いた水滴が少しずつ大きくなっていくように。
そして、気配が、限界に達したとき。
わたしはカーテンの隙間から窓の外を見た。
ああ、いる。
窓の外には、確かに何かがいる。
形のない、私たちからは少しずれているから気配しか感じられない、
空気の震えのような
何かが。
わたしは数学の問題集をカバンにしまい、風呂へ入る準備を始めた。
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