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手を加えること

ときどき記事にしていますが、働き出してから、いけばなをやっています。

ずいぶん前から教えられる資格にはなっていたものの、あんまり人に教えようという気はなかったのですが、去年から、簡単ないけばなをやるワークショップを月一開催しています。

好きなように剣山に花をいけてもらう、というワークショップです。

ちゃんといけばなをやると、剣山を置く位置、花の長さや角度、挿し位置など細かいルールが決まっているいけ方もあるし、そこまで細かいルールはないものの作品全体としてこういうのが理想、というのを目指していけたり、体系的に学ぶことの方が多いです。

が、私がやっているワークショップは、とにかく自由にやってもらっています。
もちろん、参考作例は使っておくし、花を普段触らない方向けに、花の扱い方やきれいに見えるポイントはお伝えしていますが、基本好きなように思うようにどうぞ、と伝えています。

なので、毎回個性あふれる作品が出来上がります。

人によっては、自由にやるのはかえって難しい、ということもあるので、そういうときは参考作例を真似てつくっていただいたりもします。

みなさん、どこかしらのタイミングで声をかけてくださるので、多少の手直しはしますが、その方の世界観をなるべく生かした手直しを心がけています。

決まりに則れば、『もっとこうした方がいいですよ!』と言うのは簡単ですが、そこまで作品を作ってくださった方の世界にあまり手を加えたくないというか、私好みの作品にするのは、なんか違うなぁと感じているからです。

派手なのが好きな方もいらっしゃるし、とにかく簡素なものが好きな方もいらっしゃるし。
なので、「気になるところはありますか?」と聞くようにしています。
伺うと、「この辺が寂しい気がして…」とか、出てきます。
それでも出てこなければ、少し作品を遠くから見ていただきます。
私が普段花を生けるときは、基本立って、うろうろしながらいけているので(宣伝:見てみたい方はプロフ欄記載のYouTubeをご覧ください)、離れた位置から常に確認しているのですが、ワークショップは座ったままやっていただくので、少し距離を取るだけで、「あ、ここが!」というのが出てきたりします。

形のある植物というものを使って作品を作るので、しかも剣山にいけるので、ご自分のイメージとは違うものになってしまっている方も、いるのかも知れません。
ただ、花を生けることを通して、『自分はこの花をどうしたいのか』『自分は何が美しいと思うのか』みたいなことを問い続けて、色んなところにいけてみて、集中した時間を過ごすことを通して、自分との対話の時間が生まれると思います。
別に言語化する必要はなくて、『あ、私はこういうのがいいと思ってるんだな』くらいのことが、何かしら見つかればいいなと思います。

人からのアドバイスを受け入れる体勢も、人によってまちまちなので、そういうところに来てくださった方の労力を使うのではなく、結果的に植物を通してセラピー的にご自分と向き合う時間になって、さらにそれによってスッキリしたりしていただけるといいな、と思ってもいます。

もちろん、いいと思ったところは全力で褒めます。
でも、何ごとも、最終的に選ぶのは本人なので、その人が納得できる作品を作るお力になることがあれば、それでいいかな、と思っています。

昔から、自分で言うのもなんですが仕事の勘は冴えている方で、システムで不具合が出たときなどに「たぶんここのマスタが原因だと思う」みたいなことに気付きやすいタイプではあったので、いけばなにもそれが生きているのかもしれません(急な無理矢理感)。


長くなりましたが、私は求められない限りあんまり人のやっていることに口出ししないようにワークショップをしている、というお話しでした。

反対の側面から見れば、責任を回避している、とも言えるのかも知れませんが。


最近、継続されている方に向けて、いつまでも自由に、と言うのではなく、新しい発見に繋がるようなことが提供出来ないものかなぁ、と思っています。

そもそも、ワークショップ止まりなことにもいくばくかの違和感はあって、きちんと基本から教えることも始めたい気持ちはあります。
(場所はあるのですが、場所代がペイできるだけの生徒さんを集客できる担保がなくて、手付かずのままです)

まだまだ試行錯誤しながら、今やっているワークショップは、もうしばらく続けたいと思います。


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