鏡のオマージュとエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

先週日本公開されたエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(以下EEAAO)を見てきました。映画タイトルの通り、ありとあらゆる要素が詰まった作品ですが、特に関連性が指摘されているカンフー映画と今敏作品へのオマージュについて、「鏡のイメージ」から少しだけ書き残しておきたいと思います。

EEAAOではマルチバースの表現として、”縦方向に割れた鏡”が使用されます。本作がカンフーと強い関連性を持つことを鑑みれば、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」へのオマージュであることは明らかです。

EEAAOでのマルチバース表現


燃えよドラゴン

また、カットを繋げてあらゆる世界を自由に行き来したり、シームレスに劇中映画に入り込んだりする点で、今敏作品の影響も指摘されています。
そこで今敏の「パプリカ」のオープニングを見返してほしいのですが、
夢と現実という複数の世界が自在につながる「パプリカ」でも、
「縦に割れた鏡」が使用されています。

パプリカのオープニング

EEAAOに関連があると思われる作品同士において、似たような構図が出てくるのは、面白いと思いませんか。
なお、「燃えよドラゴン」の鏡の間のシーンは、巨匠オーソン・ウェルズの「上海から来た女」が元ネタだといいます。
オーソン・ウェルズやっぱスゲー!

上海から来た女

余談ながら、上海から来た女の「鏡の間の銃撃戦」をより戦闘的に進化させたのが、ジョン・ウィック:チャプター2です。
通常、実写映画においては鏡は嫌われる(余計なものが映ってしまうため)ところ、これでもかと鏡を配置した本シーンは、意欲的であることこの上ありません。
本年本邦公開予定の最新作も楽しみですね。

ジョン・ウィックの鏡の間

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