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翻訳蒟蒻

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【短編訳】 悪魔と作家 (1899)

『どん底』のマクシム・ゴーリキーによる厭世主義の佳品。  寂滅の季節、死の季節、倦怠の季節、それが秋だ。  曇りがちな昼は涙に濡れそぼつ灰の一色で、夜は黒々しい影に浸って風が呻くばかり、すべてが魂に憂鬱の翳りをもたらしては「無常」を仄めかしている。  何もなにも生まれ、衰え、死ぬ。  なぜ? なんのために?  陰気な思考に満ちた魂は、秋が深まるにつれてますます彩りを失ってゆく。この苦々しい状態を和らげるためには妥協せねばならない。無常を引き受けることで、猜疑と絶望に

【童話訳】 3びきのこぶた (1842)

作者不明、古くからイギリスに伝わる童話。かわいい挿絵たくさん。  むかしむかし、お母さんぶたと3びきのこぶたがいました。育ちざかりの子たちを食べさせるのは大変なので、ある日お母さんぶたが言いました。 「ねえ子供たち、世界は広いのよ。ひとりひとり、自分の力で食べていけるか、やってごらんなさい」  そこで3びきは、自分の暮らしを探しに行きました。 †  一番上のこぶたは、道をトコトコ歩いていたら、ひとりの人と出会いました。藁をかついで歩いてくるので、丁寧にたずねます。