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小規模厩舎のささやかな楽しみ:ベストターンドアウトとウォリック(イギリス、Warwick)

クリスマスと年末年始

日本の正月は、家族親族が一堂に会して過ごす伝統的な期間です。同じようにイギリスで家族・親族が一堂に会して過ごすのがクリスマスです。

大学留学中で帰国予定のなかった私は、1年目は大学の友人の実家に、2年目以降は働いていた厩舎の家に招かれました。そのときに、イギリスのクリスマスと日本の正月は同じなんだなと感じました。

では、イギリスの年末年始はどんな感じなのでしょうか。実は、New Year’s Day前後は「極めて普通」の祝日です。その一方で、絶好の競馬開催日にもなっています。

例えば、トップクラスの障害競馬が行われるチェルトナム(Cheltenham)競馬場は、毎年元日に開催されます。1/1はイギリスでも祝日なので、私も毎年テレビでこの開催を観戦してました。

ウォリックの競馬納め開催

その前日、12/31に競馬を毎年行うのがウォリック競馬場です。Warwickと書いてウォリック。2つ目の”w”は発音しない地名です。

イングランドのちょうど真ん中あたりに位置するウォリック競馬場の特徴は、その「特徴のない」コース。広くて平坦で左回りの、障害専用の競馬場です。

ウォリックは秋~春の障害競馬メインシーズンに開催があるのですが、正月を祝う文化で育った私には大晦日に必ず開催するウォリック競馬は印象に残っています。日本なら大井の東京大賞典開催で競馬納めをする人も多いでしょうが、このウォリック開催が私にとっての競馬納めでした。

出走馬が競馬場に着いたら…

ウォリックと同じ地区(ウォリックシャー)にあった私の厩舎では、たいていこの日には出走馬を用意していて、私も自分の車で見に行きました。レースが終わり、馬運車を見送ってからそのまま帰宅し、家に帰って粛々と新年を迎えるのが恒例でした。

ウォリック競馬場の出走馬用厩舎は、4コーナー奥の寂しいところにあります。よく言えば、スタンドの熱狂から隔絶された場所。さすがジョッキークラブ所有の競馬場らしく、その厩舎設備も新しく清潔でした。

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