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【ウィキペディア】2023/7/6 恩納村文化情報センターでのウィキペディア・ワークショップ

内容

時間と人数と環境

18:00-20:00 (120分)

  • 一般参加者+図書館スタッフ 10名 

  • 恩納村文化情報センター 2F

  • 各自PCもしくはタブレット。インターネット環境あり

事前のメールによる打ち合わせ

  • 「情報リテラシー講義+ウィキペディアに関するワークショップ」を行う

  • 出典になりそうな書籍は、あらかじめ恩納村文化情報センターのスタッフがブックトラックに用意。

  • 参加者でこれまで編集経験がない方には、事前にウィキペディアのアカウント作成をお願い。

ワークショップ内容

  • ウィキペディア日本語版の恩納村に関する複数の記事から、出典がついておらず、文章が書きっぱなしになっている状態の箇所を海獺がピックアップし、出典を付ける。

告知URL(アーカイブ)

https://web.archive.org/web/20230716110350/https://www.onna-culture.jp/information/4516/

目的

ウィキペディアに対する理解を深めていただく
ウィキペディアに恩納村関連はどう書かれているか
ウィキペディアの編集にも興味を持ってもらう
実際に編集をしていただく

スライド3

講義1:情報リテラシー

同日昼間のうんな中学校での前半と同様に、昨今の情報にまつわる進歩から、ここでもリテラシーの講義を行った。


スライド4

ここではうんな中学校では取り上げなかった「ChatGTP」についての説明を少し行った。
現段階では、回答の精度について論じる段階ではないこと、デタラメを回答することがあること、言語感覚が優れた子どもがネットの情報を集めて回答している蝶なものだということ、得意な分野があり質問者のセンスが問われること、などを説明。

スライド6 架空のことをあえて質問し、時期による違いを提示

以下の三つについては、うんな中学校での授業と同じスライドを用い、説明を大人向けにした。

  • 知識を得るのは何のため? →知識を得ることによってよりほかの知識への広がりが期待でき、楽しめることが増えるというテーマで、鯉のぼり、龍、登竜門、ポケモンのコイキングなどのワードを使って説明。

  • ディープフェイク+AI → タレントにほかのタレントの顔が挿げ替えられている例をいくつか動画で流した。また一般の中年男性が美少女として動く動画も流し、ネットの向こうにいる人が本当などんな人なのかはもうわからないという話をした

  • おにぎりで学ぶ情報リテラシー → 国産牛肉のトレーサビリティや「カレーの王子様」に記載されたアレルギー品目、およびいろいろなおにぎり(誰が握ったかなど)の例を出し、「食べ物はあなたのからだを作る。情報はあなたの考え方を作る」という展開で、なぜ落ちているおにぎりは拾って食べないのに、落ちている出どころのわからない情報を取り入れるのかを問いかけ、そのリスクを説明した。

ウィキペディアに関する講義

恩納村文化情報センターでのイベントなので、地域性に重きを置いた説明をした。
例えば、初めて行く場所について事前に検索をすることは今や普通の流れとなっており、探求という明確な目的がなくても、事前に現地について調べることで体験をより充実させたいという動機がある。


スライド19

特に若年層になるにしたがって、デジタルネイティヴ以降の世代は「モノゴコロついたときにはすでに、モバイル環境がある」ことから自分のデバイス内で完結していることと、ネットワークにつながっていることの境界線がより曖昧であることから、自分が親しんでいる場所での検索からあまりそのに出ない可能性がある。
すると、そこでヒットしなかった情報は、情報対象の価値が低いなどの断片的な印象を持ってしまう。

アクセスが多いウィキペディアに恩納村のことをきちんと記していくことで、地元の人は地元について再発見ができ、恩納村の情報へのアクセス手段や情報量が増える。

ウィキペディアの編集方針


スライド23

上記図により、中でも検証可能性について、出典を明記することについて意識をしてくださいと説明。そのうえで実際の記事で説明を行った。

ウィキペディアの記事の検証

ウィキペディア日本語版で「恩納村出身」と書かれていた山田優 氏について、出典となる書籍を調べたところ、恩納村生まれでという記述がある資料があった。

出典を追加して「恩納村生まれ」と書き換えた件を例に出して、「恩納村出身」という出典付きの記述を変更した理由として、別資料で那覇市の小中学校(恩納村からの通学にしては距離がある)に通っていたことなどから、「出身」という語句の曖昧さよりは、「生まれ」として出典を添えたほうが読者に与える情報としては「信頼できる」という判断をした、と説明。
真実はどうか、正解は何か、という基準でなく「この本にはこう書いてあった」「この本にはこう書いてあるが『出身』という表現はどうなのか」という点について強調した。

出典付け練習

スライド28

実際の記事の編集の前に、各自の下書きページを使い、出典を付ける編集を実際に行い、どのように反映されるのかを体験していただいた。最低限、文章を書いたら出典を付けることと、出典の付け方の編集を身に着けてもらうことで、イベント後も「やってみよう」の気持ちが芽生えるようにと考えた。

出典に適しているもの
公刊された書籍・論文・新聞記事・雑誌・査読を経た情報源から独立している公刊物やWebsite
(容易に検証ができること)

適していないもの
パンフレット・関係者に直接聞いたこと・記録されていない言い伝え・個人の発表されていない考えや研究・自費出版物・記名のない百科事典・辞典ブログ・SNS・掲示板
(検証が不可能なもの・査読を経ていない印刷物やWebsite)

例外はあるものの、このように例示し「自分がその情報源を信じられる根拠があり、広く情報として採用できるかどうか」を意識してほしいと説明。また出典として不適切だと判断された場合、ほかの編集者によって別の出典に変更されるなどの手が入ることがあると説明

ワークショップ

以下の課題を設定した。
いずれもウィキペディア日本語版で出典がついていない個所で、恩納村関連記事より抜粋したもの。

  • 恩納村 - 1908年に恩納村となる。

  • 恩納村 - 2018年7月21日「サンゴの村」を宣言。

  • 真栄田岬 - 琉球石灰岩で形成される断崖が連なり、

  • ムーンビーチ - 1957年(昭和32年)に月の浜海水浴場として営業が開始。

  • ムーンビーチ - 2006年(平成18年)に環境省が制定する快水浴場百選にも選ばれている。

  • 沖縄宇宙通信所 - 沖縄県国頭郡恩納村字安富祖金良原1712

  • 沖縄県第3区 - 当選挙区内には普天間基地移設問題において普天間基地の移設先とされている名護市辺野古があり、

  • 恩納節 - 御前風五節の一つ。

  • 恩納節 - 一番の歌で歌われている恩納なべの歌碑が恩納村恩納区に建立されている。

  • 万座毛 - 万座毛の位置する岬全域はアポガマやウドゥイガマなど美しい景勝地が連なり、

  • 万座毛 - 2020年10月2日に万座毛株式会社が運営する「万座毛周辺活性化施設」がオープン、

  • 沖縄科学技術研究基盤整備機構 - 理事長:シドニー・ブレナー

  • 沖縄科学技術研究基盤整備機構 - 2011年(平成23年)11月1日 - 学校法人沖縄科学技術大学院大学学園の成立に伴い解散。

実際の成果例

振り返り


スライド35

情報の発信側になることで、情報の取捨選択スキルを磨いていくことができる。ウィキペディアの編集のメリットのひとつには、こういった点もあると説明。また今回のイベントで用意された、あるいはコーナーの充実度を紹介し、恩納村には素晴らしい図書館があると強調

スライド37



講義と編集合わせて2時間という限られたイベントではあったが、イベント後のアンケートでは一般参加者全員が「とても良かった」と評価を下さり、また今回のイベントで初めて恩納村文化情報センターに来たという方も2人いらっしゃった。

ウィキペディアイベントを企画することで、図書館に新たな利用者が増えるきっかけになったことはとても喜ばしい。

アンケート抜粋


・自分で編集をしたことがなかったので、とてもおもしろかった
・今回の講座で何が信頼できる情報なのかを知る事が出来ました。一番楽しかったのは、このサイトで私が編集する事ができた事です。
・実際にやってみて非常に面白かった。今後、自分の興味のある分野で編集してみたい


プレゼンテーションの最後に、スライドで使用している「UDフォント」について説明した。

アフターフォロー

今回のイベント用のページを、海獺の下書きページ内に作成し、参加者とURLを共有した。

課題となった記事へのリンクや今後各自で編集する際に役立ちそうなリンクを集めたものである。

ベントメトリックス(表示にはログインが必要)
https://eventmetrics.wmflabs.org/programs/820/events/2941


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