見出し画像

#10 キャリアは描くものではなく積み上げるもの vol1 23/12/6

みなさん、こんにちは。

人事の仕事をしていると、キャリアにまつわる話題に事欠きません。
課題、相談、問題解決、聞かない日はほとんどないと言っても良いかもしれません。
キャリアデザイン、キャリアパス、キャリアビジョン、キャリアプラン、キャリア開発、キャリアチェンジ、キャリアステップ、キャリアアップ、キャリアオーナーシップ、などなど。
言葉だけでも、お腹いっぱいです。

先日も、事業部門のキャリア研修に関する相談を受けました。

背景は、従業員やその上長からキャリアに関する課題「感」の声が多いから、でした。キャリアの課題は、いつの時代も、どの企業や組織でも、恒常的にあちこちに浮遊しています。なぜなら、キャリア××、はビッグワードだからです。キャリア××が課題です、と言えば外れはしない、反対はされない、みんなが同調してくれる、マジックワードだからです。もし、対策や施策、仕組みに展開して解決を図ろうとするなら、課題の粒度を細かい単位にまで要素分解し、解像度を上げることが避けて通れません。

さて、話を戻します。従業員の声とは、どんな内容でしょうか。
「やりたいことがわからない」
「ロールモデルがいない」
「スキルアップしたい」
「キャリアが見えず、このまま(今の会社や仕事)で良いのか」
「将来のキャリアパスが見えない」
「キャリアビジョンがない」
「キャリアパスが曖昧(な人事制度)である」
「キャリアステップが明確な会社がいい」

どのように感じられたでしょうか。
どの企業、どの業種・職種、あるいは学生も含めて、これらのモヤモヤ感を多くの人が一度は感じたことがあるでしょう。逆を言えば、漠然とした不安にモヤモヤ悩んでいる状態です。自分がコントロールできないことを解決しようとしている、あるいは「キャリア」にも絶対的な模範解答がある、と捉えている潜在意識や前提がありそうに考えます。

では、ここでタイトルの本題のキャリアは描くものではない、です。

将来のなりたい姿「To Be」を持つこと自体はポジティブなことです。そして、節目の選択が求められる場面では、キャリアの方向感を仮置きして決めることは避けられません。

しかし、そうではない場合のキャリアプラン(の類)を、以下の視点で捉えるなら、わざわざ描く必要はないと考えます。

キャリアビジョンは、持たないといけないものだ。
キャリアデザインに、ある一定時間をかけてもイメージが出せなかった。
キャリアパスを捻り出そうとしている。
キャリアを他人と比較する。
キャリアプランがないことに焦る。

これらの症状がみられるならば、その時点では、描くのは避けたほうが良いと考えます。

もし、それでもキャリアのことは考えたいのであれば、何ができるでしょうか。私が助言するならば、経験してきたことを棚卸しする、です。
まず、経験を6W2Hや5W1Hに経験したことを分解します。

どんな目的(Why?)、どんな環境で(Where?)、
誰が・誰と・誰(Who?Whom?To Whom?)、
何を(What?)、どのような方法で(How?)、
いくら・どのくらい(How much? How many?)

そして、それらの経験を、できるだけ単純なDoでなく、お客様(社内含む)に提供した価値のDoに変換します。名詞的経験(例:法人営業3年)や肩書きではなく、価値提供のDoに置換します。

次に、上記の価値提供経験に共通点を見つけ、価値提供の経験として抽象化します。その中で、どんな環境でも発揮しやすい、楽しいと感じられる、得意なことに着目します。

これは、
「頼まれなくても自然にやってしまっている」、
「頼まれなくてもできてしまっている」、
を抽出すると捉えると理解しやすく、おすすめします。

ここまでの抽出する思考作業は、キャリアフレームのWill Can Must/NeedsのCanとWillに該当します。

価値提供のDo経験は、Can、とりわけ「今Can」と整理します。
「頼まれなくても自然にやってしまっている・できてしまっている」ことは、「Will」と整理します。

一般に「Wii」は、やりたいことと定義されます。ですが、これがキャリアを「描く」につながってしまうと、わたしは問題と考え、再解釈しています。

この作業を通じて、経験として積み上げた「今Can」を、自然にできてしまう「Will」に一般化・抽象化します。そうして、自分の積み上げたキャリアを整理したうえで、その「Will」がもっとも価値を発揮できる環境、価値がもっとも評価される場を、Needs/Mustと捉えます。
ですから、キャリアは描くものではないのです。

さらに、もう少し時間軸を先に延ばします。この整理で抽出した環境=Needs/Mustで得られる経験を「未来Can」と見立ててみます。そして、その未来Can(価値提供経験のDoの積み重ね)からまた「自然にできるようになること」と、スパイラルアップを積み重ねていくサイクルが、キャリア、と考えます。

わたしは、キャリアを考えるにあっては、Will Can Needs の中で、まず一歩目はCanが大事だと考えています。それなくしての、WillやNeedsは、理想郷やお花畑を想起するに等しいと考えます。であるがゆえに、悩む、迷うと考えます。Can→Willの思考の順番なくしての、Must/Needsは、そもそも自分が価値を出せない分野です。

このように考えるからこそ、「キャリアは描くものではなく、積み上げるもの」、が私の意見です。
「積み重ねたものがキャリア」です。
そこに自分探しやもっともらしい未来はありません。

みなさんは、どんなキャリアをお考えになりますか。
お役に立てれば幸いです。それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?