見出し画像

【学振に落ちたら?】 実体験から語る研究費獲得のススメ

こんにちは!まあもです.

現在,地方国立大学の博士1年で,AIに関連する研究をしています.
私がいままで応募した競争的資金と,その採択可否について記事しようと思います.これから博士進学を予定している修士の学生さんのお役に立てれば幸いです.


学振DC1(2023年5月下旬)

まずは,研究者の登竜門とも言われる学振です.

博士課程に進学する学生のほとんどがチャレンジする最もメジャーなものだと思います.学振では,研究奨励費(給与)として毎月20万円,研究費として1年あたり最大150万円支給されます.

詳細は省きますが,博士課程が4年間の医学系等は除く修士2年の学生であれば,学振のDC1に申し込みます.

私が修士2年次に学振DC1を出した際の業績は,以下になります.

論文
- 筆頭査読付き日本語論文: 1
- 筆頭査読なし英語論文(arXiv): 2
学会発表(すべて口頭発表)
- 国内学会: 5
- 国際学会: 0
受賞
- 学会の奨励賞: 2
- 全国規模の学会(500~1000人くらい参加)で数人に授与される賞: 1

当時査読付きの英語論文が採択されていなかったため,何か国際的な成果をアピールができないかを模索した結果,投稿中のものは基本的にarXivにあげました.大上先生の学振本にも書いてあったので実践しましたが,この悪あがきが実際役に立ったかどうかは不明です…

結果として,学振DC1は不採択A(書面審査セットにおける今回の不採用者の中で,上位20%以内に位置していた)でした.Tスコア的にもかなり惜しかったです…

結果を見た直後は流石に萎えましたが,別の研究費をとるべくすぐに気持ちを切り替えました.

笹川科学研究助成(2023年9月中旬)

前述したように学振不採択になってしまったので,博士課程に研究費の後ろ盾が何もない状況でした.このことを友人に相談してみたところ,笹川研究助成という1年でMax150万円の研究助成があるのを耳にし,チャレンジを決めました(最近100万→150万になったそうです).

笹川科学研究助成は,修士課程の学生から助教まで応募できる若手研究者向けの研究助成です.ただ,学振を意識しているのか学振の採択可否通知後の2,3週間以内くらいが締め切りだったかと思います.

私の当時の状況を思い出すと,別プロジェクトで忙しいこともあって,学振の研究内容で笹川研究助成に応募しました.

ただ.研究計画部分は似ているとは言っても,笹川研究助成の提出フォーマットを見てもらえるとわかりますが,学振とはアピールポイントが変わってきます.そこで,異なる視点という意味で参考になると思い,以下の科研費関連の本を3冊を読んから,研究計画を書きました.

特に,赤ペン添削ハンドブックは自分の計画書をチェックするのに役立つ部分が多かったように感じました.学振のときにも使えばよかった…


そして,2024年の3月に採択通知が来て,研究費の助成が決まりました!

150万円の満額ではありませんでしたが,100万円以上の額を使って1年間研究することが確定しました.採択当時はかなりはしゃぎました.

2024年度の笹川採択率を見てみると,21%前後となっており,2023年度は30%弱あったため,かなり競争が激化したらしいです.来年度以降もこの傾向は続くと思います.

では,なぜ学振不採択で笹川に採択されたのか.私の中で研究計画の中で最も意識したことは,具体的な数値目標を述べるということです.
当たり前のことかもしれませんが,この研究ではhogehogeな改善をするという抽象的な説明よりも例えば,「既存手法よりも精度をxx%向上させる」とか,「xx%の精度を目指す」といった説明のほうが客観的で説得力があると思います.

他にも少し変えた点があるので,また別記事にでも書こうと思います.

JST次世代研究者挑戦的研究プログラム(2023年4月末)

JST次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)は,所属大学が採択されていることで,応募することができます(要チェック).大学によって異なりますが,採択されると研究奨励費として16万から20万程度,研究費として60万から80万程度支給されます.ある程度の規模がある大学の学生であれば,応募資格はあるかと思います.うちの大学では,採択人数が10名から20名といったところでした.

JST次世代は,学振と異なり学内選考になるので,つよつよの猛者が集まる学振よりももちろん採択の可能性は高いと思います.しかし,学内選考とはいえ採択されない方が一定数出るので,油断は禁物です(学内の知り合いは落ちていました).

私の結果ですが見事採択となりまして,研究奨励費が年200万程度,研究費が60万円程度が支給されることになりました.

ということで,笹川と合わせて博士1年ながら,年200万くらいの給料と,研究費も200万円弱獲得できたことになります.研究費に関しては,学振に採択された学生よりもを持っている状況になりました笑

学振DC2(2024年5月下旬)

DC1からのリベンジ提出をしました.内容としては笹川で出した内容の続きになります.DC2応募字の業績は次のようになりました.

論文
- 筆頭査読付き日本語論文: 1
- 筆頭査読付き英語論文: 2
- 共著査読付き英語論文: 1
- 共著査読なし英語論文(arXiv): 1
学会発表(すべて口頭発表)
- 国内学会: 5
- 国際学会: 2
受賞
- 学会の奨励賞: 2
- 全国規模の学会(500~1000人くらい参加)で数人に授与される賞: 1
- 民間の研究助成(笹川): 1

もともとarXivだったものをきちんと査読付き論文という形でパブリッシュできた上に,国際学会の口頭発表や共著,研究助成の業績が増えました.

もし採択されれば,計画書の内容を公開しようと思います.
採択されてるといいなぁ…

その他

実は笹川助成のあと,帝人久村の給付型奨学金にもチャレンジしました.書類選考は通りましたが,2次面接で落とされました.

自分が博士課程でやる研究についてプレゼンするのですが,あまり感触はよくなかったです.

今となってはですが,学振DC2の結果によらず理研のリサーチアソシエイトもよいかなと思っています.これから決めようと思います…

むすび

以上,私の研究費事情についてお伝えしました!

学振に落ちて研究費を獲得できなかったとしても,JST次世代など手厚い研究支援が増えてきたことも相まって,本人の努力次第でどうにかなる可能性が高いです.競争的資金獲得のために頑張ったことは無駄にはならないので,色々アンテナを張り巡らせて,チャレンジを続けることだと思います.

参考になったらいいねしていただけますと嬉しいです.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?