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ファイナンス(企業財務)の基本④:ファイナンスでよく聞く「割引率」は、こんなに簡単に理解できた

前回は、ファイナンス(企業財務)の中身に少しだけ入り、「金銭の時間的価値」について書きました。
今回は、「割引率」について、書いていきたいと思います。

まずは、簡単に前回のおさらいです。

「金銭の時間的価値」とは?(前回のおさらい)

ファイナンスでは、「今、△△円が手元にあったら、X年後には利子Y%で●●円に増やせる」という考え方をします。この考え方に基づいて、ファイナンスの「金銭の時間的価値」を端的に表したものとして、下記の有名な言葉があります。

今日の100円は、明日の100円よりも価値がある

また、ここでいう今日の100円を「現在価値」、明日の100円を「将来価値」といいます。ファイナンスでは、将来価値(企業活動によって生じる将来キャッシュフロー)を現在価値に換算して、「今、投資すべきか」を判断します。

そして、「将来価値を現在価値に換算する」というときに「割引率」という概念が出てきます。今回は、この「割引率」について、みていきたいと思います。

「割引率」とは?

ではまず、下記の例を考えみましょう。

1年後に100万円もらえる権利が売りに出ているとします。下記1,2のケースで、それぞれ、いくらの値段をつけるでしょうか?
(基本的な考え方としては、1年後の将来価値100万円を割引率で現在価値に換算して、その金額を値段とする、となります)

  1. 1年後の100万円は、メガバンクが払う

  2. 1年後の100万円は、見ず知らずのおじさんが支払う

おそらく、1については99万円、2については50万円くらいではないでしょうか?ここで、(金額の絶対値についてはそれぞれの感覚値ですが)メガバンクが支払ってくれる1の方が、100万円に近い値段で買っても良いかな、と思うのではないでしょうか?

では、なぜ、そのように思うのでしょうか?

それは、1だとメガバンクが支払ってくれるので「1年後に、まず確実に100万円支払ってくれるだろう」と考え、2だと見ず知らずのおじさんが支払うことになっているので「100万円支払ってくれなかもしれない」と考えるためです。

すなわち、「見ず知らずのおじさんが支払う」場合、とりっぱぐれのリスク分を補うような 安値しか付けない、これは割引率の観点で見れば「高い割引率」を設定していることになります。これを言い換えると、「本当に手に入るかわからないリスク」が「割引率」に織り込まれており、「リスクが高いほど、割引率も高くなる」ということになります。

「割引率」の算出方法(どうやって、リスクを織り込んで割引率を算出するのか)については、追って、書いてきます。

現段階では、割引率については、下記のように捉えて頂ければと思います。

  • 将来生み出されるキャッシュフローのリスクが高いと判断すれば、割引率は高めに設定される

  • リスクとは「将来のキャッシュフローがばらつくこと」
    (バラツキの大きさ = リスクの高さ)

ここで、ファイナンスでいう「リスク」という言葉について補足しておくと、
「バラツキの大きさ = リスクの高さ = 不確実性の高さ」となります。

よくある問で「ビルの100階から飛び降りた場合、ファイナンス的な考え方でのリスクはいくらか?」というものがあります。

実はこの場合、ファイナンス的な考え方での「リスク」は「ゼロ」です。
なぜならば、ビルの100階から飛び降りた場合、将来発生することは、ほぼ1つに決まってしまうためです。
(普段の「リスク」という言葉の使い方だと、この場合も「リスクが高い」と考えてしまいますので、考え方の切り替えが必要です)

今回は、ここまでにします。
次回は、「投資の意思決定に必要な考え方」について、少しずつ中身に入っていきたいと思います。



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