『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』の嘘と真実

 2015年のVIPのスレ『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』は名スレです。
 ですが、名スレであるあまり、スレそのものがひとり歩きをしています。
 グーグルの検索フォームに「コナン・ドイル」と入力すると、「コナン・ドイル なんj」とサジェストされるほどです。
 しかも、このスレは創作ですが、事実にもとづいて創作しています。
 そのため、このスレの内容を史実だと思っているひとが多く見受けられます。ですが、史実としては誤りのほうが多いです。
 ただ、このスレが名スレなのも確かです。なので、ただWikipediaでコナン・ドイルの史実を読むよりは、このスレの誤りを正したほうが頭に入るかもしれません。

 以下、『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』の真偽を検証します。
 資料には主としてジョン・ディクスン・カー著、大久保康夫訳『コナン・ドイル』を使用します。
 本書はコナン・ドイルの伝記の決定版として広く認められています。多くの伝記はコナン・ドイルの『コナン・ドイル自伝』に依拠しています。ですが、本書はコナン・ドイルの日記と備忘録、書簡をすべて検証していて、より事実に忠実、かつ、コナン・ドイルの心理について詳細です。
 よって、本書が資料として最適です。ただ、他の伝記や副読本も参考にします。

1:コナンドイル「苦労して書いた歴史小説がちっとも売れへん・・・」

【ウソ】

 >>1の1行目からいきなり嘘です。
 コナン・ドイルの処女作はバーミンガムで開業医レジナルド・ラトクリッフ・ホーアの助手をしていたときに書いた『サッササ谷の怪』です。
 これは『チェンバーズ・ジャーナル』誌に原稿料3ギニで採用されます。
 その後、数編の怪奇小説を書き、うち『アメリカ人の話』だけが採用されました。(p.69)
 さらに『デカ骨』や『ブルーマンズダイク峡谷』などが『ロンドン・ソサエティ』に採用され、編集長から原稿料7ポンド15シリングを前借りすることができました。(p.82)
 ただし、個々の原稿料は『サッササ谷の怪』を超えることはありませんでした。(ダニエル・スタシャワー『コナン・ドイル伝』)
 そして、コナン・ドイルは『緋色の研究』のあと、ようやく最初の歴史小説である『マイカ・クラーク』を書きました

1:ドイル「あかん・・・金がない・・・どないしよ」

【本当】

 本当です。
 コナン・ドイルは勤務医、船医、他の開業医(とくにジョージ・バッド。このときのことは自伝的小説『スターク・マンローの手紙』に書かれている)の助手として勤めたあと、ポーツマスで開業します。
 家賃は年40ポンド。純利益はほぼありません。10歳だった弟のイネス・ドイルを従僕として使っていました。
 コナン・ドイルと弟は、友人が送ってくるジャガイモや、ツケの紅茶とバターで生活していました。(p.85)
 そして、コナン・ドイルは収入を『ロンドン・ソサエティ』、『オール・ザ・イヤー・ラウンド』、『ザ・ボーイズ・オウンペーパー』など大衆誌への投稿の内職で補っていました。
 転機は『ハバーク・ジェフソンの陳述』が文芸誌『コーンヒル・マガジン』に29ギニで採用されたことです。この小説は批評的に評価されました。なにより、この小説はホームズものと同じく伝記体でしたが、ジブラルタル駐在英国代表団長ソリー・フラッドが、怪奇小説の内容を事実だと信じて、各新聞にハバーク・ジェフソンへの抗議文を送りました。このことで、コナン・ドイルは自分の文才に自信を持ちました。(p.91)

1:読者「ホームズかっけー!すげー!超おもしれーーー!!!」
 出版社「コナンドイル先生!もっと続き書いてください!」

【ウソ】

 このスレで最大の嘘です。
 『ハバーク・ジェフソンの陳述』のあと、コナン・ドイルは『ある生理学者の妻』、『ポールスター号船長』、『カインプラッツの大実験』などの短編を書きました。そして、18編の短編をまとめた『光と影』という短編集を発表することを考えました。
 ですが、文学的な名声を確立するには長編を発表しなければならないと考えなおしました。こうして長編『ガードルストーン会社』の執筆にとりかかります。ですが、執筆は滞り、途中であらたに探偵小説を執筆しました。これが『緋色の研究』です。(p.97)
 コナン・ドイルは『緋色の研究』を自分の最高傑作だと考えました。ですが、出版社の反応は酷いものでした。
 まず、『コーンヒル・マガジン』編集長のジェームズ・ペインに「1回の掲載には長すぎ、連載には短すぎる」と言って返却されます。ただし、ペインは本作を高く評価しました。このことで、コナン・ドイルの出版社巡りが始まりました。
 次に、アーロースミス社から、読まずに返却されます。
 その次に、フレッド・ウォーン社から返却されます。
 最後に、ウォード=ロック出版社が著作権買切りで25ポンド(1886年の25ポンドは現在の価値で約60万円)の条件を返答します。しかも、出版は来年とし、他の作品と年鑑に収録するという条件を付帯しました。
コナン・ドイルはさすがに交渉しましたが、却下されます。(p.103-7)
 そして、1887年に『ビートンのクリスマス年鑑』の収録作として『緋色の研究』は発表されます。それに対する批評は皆無でした。
 翌年、1888年にウォード=ロック出版社は『緋色の研究』を単行本として出版します。コナン・ドイルに利益はまったくありませんが、ただ父チャールズに挿絵を担当させることを提案して、6枚の墨絵が収録されました。(p.112)

 その後、『リピンコット・マガジン』の編集者ジョセフ・マーシャル・ストッダートが同誌に『緋色の研究』の続編を連載することを提案します。同誌はフィラデルフィアのリピンコットとロンドンのウォード=ロックの両社から発行されていて、それでストッダートは『緋色の研究』を知っていました。
 このときストッダートの会席でコナン・ドイルとオスカー・ワイルドが面会した話は有名ですね。
 これが『四つの署名』です。コナン・ドイルは日記と備忘録、書簡のいずれにも『四つの署名』のことを書いていません。
 そして、『四つの署名』に対する反応はほぼありませんでした
 1890年、『四つの署名』はスペンサー・ブラッケット社から単行本として出版されます。その批評は『緋色の研究』以下でした。『四つの署名』の再版には2年がかかりました。(p.121)

3:ドイル「中坊向けに書いたラノベでおっさんどもがよろこんどるで・・・ほんま大衆はアホやな・・・」

【ウソ】

 『ストランド・マガジン』の連載がはじまって、とくにホームズものを支持したのは雑誌の中核の女性読者でした。千年一日という感じですね。(p.130)
 とはいえ、これはラノベネタですが。

3:出版社「うちのストランドマガジンで短編連載を6話くらいどうでしょうか。原稿料は35ポンドで。」
 ※35ポンドは現在の価値でおよそ80万円
 ドイル「短編6話で35ポンドね・・・」
 ドイル(足下見すぎちゃうか・・・相場なら100ポンドくらいやろ・・・けど所詮ラノベやしなあ)
 出版社「いえ、1話につき35ポンドです。」
 ドイル「ファッ!?」

3:ドイル「ワイの傑作はもう何度も送っとるのに毎回没にしとったやんけ・・・せやのにあんな落書きが35ポンドか・・・」

【ウソ】

 原稿料は事実です。
 ですが、コナン・ドイルが『ストランド・マガジン』にはじめて寄稿したのは第3号掲載の『科学の声』です。ホームズものではありません。そして、原稿料は1000語当たり4ポンドの割合でした。(『コナン・ドイル伝』p.159)
 ホームズものの連載第1作は、第7号の『ボヘミアの醜聞』です。『ボヘミアの醜聞』が約9000語なので、急に値上がりしたわけではありません。

 スレには書いてありませんが、最初の半ダースのホームズものを書いたあと、コナン・ドイルは原稿料の値上げを要求しました。歴史小説の『亡命者』の執筆に集中したかったからです。要求は長さに関係なく、1編当たり50ポンドというものでした。『ストランド・マガジン』編集部は折返しの手紙で同意し、さらに半ダースのホームズものが書かれました。

7:ドイル「ま、とりあえず美少女やな。豚は美少女キャラだしときゃブヒブヒ喜ぶやろ・・・。」

【本当】

 連載第1作は『ボヘミアの醜聞』です。
 シリーズものをはじめるに当たり、コナン・ドイルはロマンス小説の雰囲気を使用しました。

7:ドイル「けどクールなホームズは恋愛になんて興味ないねっと・・・」

【ウソ】

 というわけで、『ボヘミアの醜聞』の終結部には、ホームズがアイリーン・アドラーを好きっぽい描写があります。
 ちなみに、>>1では『ドイル「クールイケメン天才の完璧超人を主人公にして俺TUEEEEやらしてっと・・・」』となっていますが、『オレンジの種五つ』で「4回してやられている」と言っています。このうちの1回が『ボヘミアの醜聞』ですね。そして、『オレンジの種五つ』でも失敗します。
 さらに、『黄色い顔』でも推理が外れています。これは「してやられた」のではないので、その4回には含みません。ホームズはそこそこ失敗しています。

7:ドイル「天才ホームズは某国の国王様にも頼りにされて、秘密結社と戦ったりもしちゃうよっと・・・」

【本当】

 それぞれ『ボヘミアの醜聞』と『オレンジの種五つ』のこと。

7:ドイル「ホームズはチョイ悪だからアヘンもコカインもキメちゃうよっと・・・」

【本当】

 コカインについては言うまでもありませんね。
 アヘンについては誇張があります。『唇のねじれた男』で、ホームズは阿片窟に潜入し、むかし試用したことがあると言っています。ですが、それだけです。作中でアヘンを吸っている描写はありません。

 余談ですが、ホームズものがにわかにブームになったためか、ツイッターで「コナン・ドイルはホームズの人気を落とすためにコカインを使用させた」という言及をときどき見ます。ホームズがもっともコカインを重用しているのは『四つの署名』です。『四つの署名』の時点でホームズものがまったく無名だったことを知っていれば、この言及がどれだけ支離滅裂か分かりますね。
 コカインの重用はホームズの自由主義的な性格を描写するためです。
 現代でも薬物に対する偏見はあり、近著の『雑草で酔う』は、そのことを指摘しています。『雑草に酔う』の解説によると、著者は長身痩躯、変人で化学に造詣が深いそうです。どこかの諮問探偵を連想させますね。

 作品をよく知らないにもかかわらず、こうした嘘の豆知識をネットに投稿するひとがいるというのは不思議な気がしますが、某ソシャゲーと某マンガ(つまり『Fate/Grand Order』と『憂国のモリアーティ』)の影響でしょう。

9:ドイル「ホームズは落し物の帽子から持ち主を推理します・・・」
 信者「ごくり・・・」
 ドイル「この帽子はとても大きい・・・」
 信者「おう・・・」
 ドイル「つまり持ち主は頭が大きい・・・つまり・・・」
 信者「つまり・・・?」
 ドイル「持ち主はとても頭がいい人なんだよ!」
 信者「うおおおおおお!!!すげええええええ!!!」

【本当】

 本当です。『青い紅玉』が出典です。
 ただし、骨相学は当時の正統な研究分野でした。しかも、科学捜査と関わりがありました。1873年にはサミュエル・ウェルズが『性格の読み方――生理学、骨相学、人相学図解便覧』を発表します。81年には英国骨相学会が創設され、ロレンゾ・ファウラー作製の模型や、サイコグラフが発表されます。(『シャーロック・ホームズの科学捜査を読む』)
 実際の犯罪捜査とのかかわりでは、1860年の殺人事件の捜査を取材した、ケイト・サマースケイルの『最初の刑事』に、ロンドン警視庁が骨相学者の協力を断ったことが書かれています。

 ただし、ホームズがいちばんアホっぽく見えるのがこの推理であることには筆者も同意します(笑) ホームズものの愛好家たちが、ホームズの推理の粗探しを山のようにしているのにもかかわらずにです。
 このあと帽子の持主が登場しますが、コナン・ドイルが意図したかは分かりませんが、あまり頭が良さそうには見えません(笑)
 ちなみに、モリアーティも『最後の事件』でホームズの頭蓋骨の形に言及しています。

13:ドイル(ほんまは酒飲みながら適当に書き散らかした駄文やがな・・・まあアホはこれで喜ぶんやからええがな)

【ウソ】

 ドイルは母親への書簡で、はじめの12編についていずれも標準に達しており、短編集として出版すれば、推理小説のなかでは傑作になると書いています。(p.132)

18:ドイル「じゃあ、原稿料1000ポンドよこせや。そしたらまた1年ホームズ連載したる。」
 ※1000ポンドは現在の価値で約2500万円。

【本当】

 本当です。
 このときは交渉ではなく、断るために、ホームズものの短編1ダースに1000ポンドの原稿料を要求しました。そのことは母親宛ての書簡に書いてあります。そして、これが受けいれられたために、コナン・ドイルは翻意しました。(p.138)
 ちなみに、>>15の『ドイル「これはワイが長年構想を練っていたとっておきの歴史小説でな、17世紀フランスでフォンテーヌブローの勅令に端を発するカルヴァン派への残酷な弾圧と彼らの亡命について深く切り込んで・・・」』は『亡命者』のことですが、『亡命者』の脱稿が1892年初めごろ、上記の書簡の日付が1892年2月なので、>>15の『次回作の構想』はやや創作です。さらに、『亡命者』の構想をはじめたのは執筆の約1年前(p.130)なので、そこもやや創作です。
 実際に上記の書簡のあとに書いた歴史小説は、ナポレオンの麾下を題材にした『巨大な影』でした。スレ主は、題材がナポレオンではそれらしくならないため創作したのでしょう。

23:>>20
 ホームズ効果で連載雑誌の売上が月間3万部→30万部になったとか

【ウソ】

 『ストランド・マガジン』の第1号の売上が30万部超(『コナン・ドイル伝』p.159)。
 『最後の事件』で購読をやめた読者が約2万人です(同p.193)。
 というか、常識的にありえないことは分かります。
 スレ主が意図したかは分かりませんが、これは騙されるほうが悪いです。

26:ドイル「続きを書きたくないのなら、書けなくしてしまえばいいのだ、と・・・」
 ドイル「ホームズ殺すわ。」

【ウソ】

 コナン・ドイルははじめの12編の最終話でホームズを殺し、ホームズものを完結させるつもりでした。上記のとおり、コナン・ドイルはこの12編(発表済みのものは最終話を除く11編)の出来に満足していました。
 ですが、ホームズものの愛読者だった母親が、ホームズの死に猛烈に反対しました。母親はホームズもののために、美しい金髪の「お姫様」が髪を切りとられ、身代りに使われるというアイディアを提供するほどでした。コナン・ドイルはネタ切れだと抗弁しました。すると、母親は言いました。「金髪のお姫様のアイディアを使いなさい」。こうして第12話は『ぶな屋敷』になり、ホームズは死を免れました。
 この遣りとりは、すべて往復書簡に書かれています。(p.132)

39:信者「うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああくぁwせdrftgyふじこ!!!!??」

【本当】

 ホームズの死で珍騒動が起きましたが、べつに面白くありません。そのとき、コナン・ドイルの父が死に、妻が結核で生死の境をさまよっていたとなれば尚更です。

51:ドイル「ストランドマガジンは雑誌の売り上げが10分の1に激減したとかで発狂しとるし・・・」

【ウソ】

 説明は既述しました。

51:ドイル「あかん・・・このままイギリスにおったらキチガイに殺される・・・スイスに移住するで・・・」

【ウソ】

 コナン・ドイルは妻の「奔馬性結核」(急性結核)のためにスイスのダボスに療養に行きました。ダボスではホテルに滞在しました。(p.155)
 ちなみに、妻が回復したあとは、帰国前にアメリカで講演旅行をしています。

58:ドイル「おっしゃ、この新天地でワイはラノベ稼業とはおさらばや。これからは真の文学を書いて歴史に名を残すで!」

【ウソ】

 スイス、アメリカには旅行しただけです。

58:10年後
 ドイル「売れへん・・・」

【ウソ】

 コナン・ドイルのシリーズものはシャーロック・ホームズシリーズ、チャレンジャー教授シリーズ、ジェラール准将シリーズの3つですが、ジェラール准将シリーズの短編集第1作『勇将ジェラールの回想』はこの時期に書かれました。そして好評を博しました。(p.173)
 他の2シリーズと同じく冒険小説ですが、舞台がナポレオン戦争時代なので、歴史小説とも言えます。

61:ドイル「おう、今度のはボーア戦争についてのノンフィクションでな、これの凄いところはワイ自身が実際に戦地へ行った経験をもとに南アフリカの戦闘の真実を描き・・・」
 出版社「そんなことよりホームズだ!」

【ウソ】

 大嘘です。
 ボーア戦争は世界史的な大事件です。
 イギリスの全国的な論争において、従軍して取材したコナン・ドイルのドキュメンタリー『大ボーア戦争』は資料として重用されました。(p.252)
 さらに、コナン・ドイルは小冊子『南アフリカの戦争――その原因と行動』を出版しました。価格は6ペンスで、『大ボーア戦争』の簡略版です。これは6週間に30万部売れ、アメリカとカナダにそれぞれ5万部が輸出されました。(p.273)
 訳書はドイツとフランスでそれぞれ2万部、イギリス国内でもウェールズ語版がさらに1万部。その他8ヶ国で翻訳されました。(p.276)

 ちなみに、従軍中のコナン・ドイルはラングマン病院の総監督を担いました。腸チフスで感染発生時に2ヶ月で5千人が死ぬ惨事で、正規の医官が逃げだしたために従軍記者のコナン・ドイルが総監督に就任しました。病院の45人の職員のうち12人は死亡し、コナン・ドイルは英雄的な活躍をしました。(p.234)

 さらに余談ですが、コナン・ドイルの戦争ドキュメンタリーの小冊子は、他に『コンゴの犯罪』があります。これも好評を博しました。(p.343)

68:出版社「はっきり言って先生が本気で書いたものはつまらないんですよ。」

【ウソ】

 『マイカ・クラーク』、『白衣の騎士団』とも評判になり、版を重ねました。(p.142)
 にもかかわらず、コナン・ドイルが歴史作家として失敗し、推理作家として成功すると見なされているのは自伝のためです。
 『白衣の騎士団』の姉妹作の『ナイジェル卿』は好評を博し、売上を記録しました。コナン・ドイルのスクラップブックのうち「『ナイジェル卿』の書評」には65ページに渡って新聞、雑誌の好意的な書評が貼付されています。さらに、『ナイジェル卿』はその年のクリスマス・シーズンのベストセラーになりました。(p.305)
 ですが、コナン・ドイルはそれ以上のものを求めていました。そしてそのことを敗北だと記しました。
 これが、史実に反するコナン・ドイル像の一因です。

78:出版社B「ホームズの短編1本につき4000ドル出しマース。」

【本当】

 『コリアーズ・ウィークリー』編集部の提案。
 正確には新作6話に2万5000ドル、8話に3万ドル、13話に4万5000ドル。(『コナン・ドイル伝』)

 ちなみに、コナン・ドイルははじめの4作に精魂を込め、目標とする水準に達するように苦心しました。(p.287)


122:くー疲れました。これにて終了です。
  SSの内容は大体真実です。

【ウソ】

 このスレでもっとも巧妙な嘘です。
 実際は、史実にもとづく部分は半分未満でした。


 現在、ホームズものへの注目が集まっています。某ソシャゲーと某マンガ(つまり『月姫 新月版』と『憂国のモリアーティ』。えッ、TYPE-MOONになにが!?)の影響でしょう。
 そうしたなか、『コナンドイル「小遣い稼ぎにキモオタ向けのラノベでも書くか」』が閲覧される機会も多いと思います。よければ『コナン・ドイル』も読んでみてください。
 以上で検証を終わります。

コナン・ドイル

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