耳が聞こえるようになった話

耳が聞こえなくなってから約3週間。

突然聞こえなくなった耳は、突然聞こえるようになりました。一年前と同じです。

この3週間に、いろいろなことがありました。相変わらず不味い液薬を飲み続け(もう感覚が麻痺しているがコロナの味覚障害では断じてない)、9日間の点滴を受けました。徐々に治ってくれれば薬のありがたみも感じますが、ある日突然聞こえるようになるのですから、なんだか効いているのかなんなのか、よくわかりません。(効いているんだと思います)

点滴を9回も受けると、看護師さんとも顔見知りになります。

「今日はいい天気ですけど、外はあったかいですか?」

「雨ですね。車でこられました?」

「志村けん、死んじゃったんですね…ショックです」

コミュニケーション能力の低い私は面白くもない相槌しか打てませんので、会話がそこから広がることはありません。もちろん毎日同じ看護師さんという訳ではありませんが、これだけ病院に通っていると、点滴の人、というイメージでみんなに覚えられていた感じがしました。

聞こえるようになってから初めての受診で「よくなりました」と先生に報告すると、周りの看護師さんたちが声を揃えて「おおー!」と言ってくれました。謎の一体感を感じました。

聞こえるようになっても、すぐに薬をやめるわけではありません。ここで一つ問題なのが、聞こえるようになると体に不自由なところがなくなるため、薬を飲むのを忘れてしまうということです。家にいると目につくところに置いてあるので大丈夫ですが、職場で昼食を食べた後は、特に忘れがちです。何回も飲み忘れました。健康であることが当たり前なのは、いいことなのか悪いことなのか、いまいちよくわからないです。

結局、今回もはっきりとした病名がつかないままでした。恐らくきっと、蝸牛型のメニエール病だとは思いますが。同じタイミングで職場の他の先生もメニエール病に罹っていたらしく、目眩もあって大変だったようです。「原因を調べるとストレスって出てくるから、困るよね」と言い合いました。

学校は相変わらず休校中で、時間はゆっくりと流れています。無縁だと思っていた在宅勤務もついに許可され、私たちの働き方も大きく変わっている最中です。

この3週間の間に、嫌いな上司と今後について話し合ったり、職場のイケメンとご飯を食べたり、新年度に所属する学年が3月の最後の最後で突然変わったり、今まで隠していたことを上の先生に相談したり、本当にいろんなことがありました。

ストレス、が一体何なのか未だにわかりません。一年前のときもそうでした。

聞こえるようになって一週間、薬を飲んでいなかったら私はもう自分が聞こえなかったことを忘れているでしょう。きっと、半年後には跡形もなくなっているはずです。ときどき現れる左耳の不調で、そんなこともあったな、と思うくらいのことなのです。

それでも、去年も今年もこの3週間はとっても長かったです。それだけは、忘れません。

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