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ナイチンゲールの看護理論

◎ナイチンゲールの看護理論の中核をなすもの

彼女の看護理論は「環境論」ともいわれているように、患者の環境に焦点が当てられています。 
彼女は、看護の役割とは、患者に自然の力が働きやすくなるような環境を提供し、健康の回復を助けることであると考えたのです。

彼女のいう「環境」には、物理的・精神的・社会的環境の3つがあります。
物理的環境要因には、空気や水、騒音や臭気、光や暖かさなどが中心にあげられていますが、これはほかの精神的・社会的環境にも影響するものです。
これらの環境要因が適切に整えられ、患者が最適な環境におかれたとき、回復に向かうと述べています。

また、彼女の理論を看護過程に活用する場合、環境が患者に及ぼ す影響の大きさに焦点を当て、不適切な環境を調整することが看護活動の中心になっていきます。
このように、ナイチンゲールの看護理論は、対象目的方法論を備えた立派なもので、それ以後に開発された看護理論の基礎であると言われているのです。

◎ナイチンゲールの看護理論と看護学のメタパラダイム
皆さんが読まれる看護理論は、ほとんどの場合、4つの主要な機念によって構成されています。その概念とは、人間・健康・環境・ 看護です。
しかし、ナイチンゲールの理論は、必ずしもおのおのを明確に定義づけてはいないのです。それはこの理論が不備なのではなく、これらの概念が、彼女以降の理論家によって次第に明確にさ れてきたからなのです。しかし彼女の理論からは、いずれの概念も読みとることができます。

○人間
環境との関係で人間をとらえています。人間は、環境から影響を受ける存在で、自然治力をもっていると考えています。
○健康
健康とは、人間の力を最大限に発揮させることによって、よい状態を維持することです。また、病気とは回復過程の状態である。と見なしています。
○環境
物理的環境に重点をおいています。人間をめぐるすべてのものが環境で、その人の健康状態に関係しているととらえています。そして、最適な物理的環境が整えられれば、患者の精神的・社会的側面も同時に補うことができるというのです。
○看護
看護は、自然がもっとも働きやすい状態に患者をおくことであると彼女は述べています。そのために、 新鮮な空気・水・光・暖かさ・清潔さ・静けさなどを適切に保ち、食物の選択と管理もきちんとできることを意味すべきであるとし、「看護とは患者の生命力の 消耗を最小にするように生活過程を整えることである」と定義づけています。

◎ナイチンゲールの看護理論と看護過程

彼女の看護理論を看護過程に応用する場合、環境が患者に及ぼす影響が焦点になります。
○アセスメント
おもな環境要因が患者に及ぼす影響を見ていきます。
○看護診断
環境に対する患者の反応を見ます。
○看護計画
病気の過程に反応する患者の能力を高めるために、環境を調整する看護計画を立案していきます。
○実施
不適当な環境を調整する内容が主になります。それは、空気・水・光・清潔など、自然がうまく働くように患者を最善の状態におく行動を示しています。
○評価
環境を変化させ、患者が少ないエネルギーで健康を回復できるよ うにしますが、評価は患者の反応を含めたデータから明確にする必要があるとしています。したがって、評価のために観察を重視しているのです。

このように、彼女の理論は明確な言葉でこそ表現されてはいませんが、看護過程を支えるものになっているのです。

◎ナイチンゲールの看護理論の新しさ
彼女の理論が「環境」に着目していることは、すでに述べました。しかし、さらに「適応看護理論」「看護システム理論」「人間関係論」との整合性があるともいわれています。 つまり、患者は環境に適応することによって、エネルギーを保存し、回復過程をたどり(適応看護理論)、人間と環境との多様な関係を論じ (看護システム理論)、 他者との関係をもちながら (人間関係論) 生きていると考えられるのです。
彼女が活躍した時代には明らかではなかった「適応看護理論」「看護システム理論」「人間関係論」に彼女の理論が通じていた。という新しさに目を見張る思いです。130年以上も前に提示された 看護理論を現代にも活用できることは、もちろん科学的な理論とも言えるものです。

まとめ
ナイチンゲールは管理者として類まれなる才能をもった実践家であった。
彼女の看護理論は、「環境論」ともいわれるように、患者をめぐる環境に焦点が当てられている。
ナイチンゲール看護理論の看護学のメタパラダイムは、次のようである。
・人間とは、環境から影響を受ける存在で、自然治癒力をもっている。
・健康とは、人間のもつ力を大に発揮させることによってよい状態を維持すること、 また、病気は回復過程の状態である。
・環境とは、患者をめぐるすべての環境をいうが、とくに物理的環境が主である。
・看護とは、患者の生命力の消耗を最小にするように生活過程を整えることである。
彼女の看護論を看護過程に活用する場合、環境が患者に及ぼすに焦点が当てられる。そして、看護活動は、患者を最善の状態におくための方法がポイントとなる。
ナイチンゲール看護理論は、「適応看護理論」「看護システム理論」「人間関係論」との整合性がある。
彼女の理論は、その後に開発されたすべての理論の源になるものである。


手元にある資料を参考にしたり、自分の思っていること、感じたことを書いています。
気になる点などありましたら、気軽に声をかけてもらえたらと思います。


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