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カウント・ベイシーが好きでないあなたへ

お久しぶりです、この一年間個人的な事が色々ありすぎて(基本的には幸せではないこと)、なんだかこのnoteをつけるのも渋っておりました。

さてさて、久々にどういったことについて語ろうかと思いましたが、今日は、表題の通り、カウント・べイシーについてです。ほんとは、この一年間の間にも、ネタ帳的に、メモを付けていたのですが、、、それは後ほど整理して書こうと思います。

みなさんはスウィングジャズを聴きますか?
とは言っても、ジャズ初心者の方だと大体1950年代以降のマイルスや西海岸系のモダン・ジャズを聞いたり、あるいは今時だとグラスパーとかカマシワシントンなどの現代流ジャズとか。もちろん、そういうのを聞いた後でも、遡るとチャーリー・パーカーやらのビバップとかあるいは、逆にアバンギャルドやらソウル・ジャズやファンク・ジャズを聴いたりして、専ら遠のいていく一方かと。
兎角にそう言った人たちからは、軽んじられている気がします。
そういう人たちって、イメージ的には30代くらいのイタい男の人が多いイメージです。音楽を聴くというよりは流行りの、ブルータスとかに載っているようなレコードカフェに行く寂しがりやさん笑という感じの。

言いすぎましたね。

まず、そういった男性に言ってあげたいのが、楽器をやる女性にモテたいなら、絶対にスウィングジャズを聴きなさいということ。
だって、日本の中高大学の吹奏楽では専らスウィングジャズ系の曲はやらされるし、ほとんどがカウント・ベイシーを聞いているんだから(あくまで筆者調べですが)

(にしても、この映画でさえも大分古いイメージだけれど、今も、こういう女子は少ないかと…。期待…したいオジサンです。)


でも、下心を持った一枚上手の男は、カウント・ベイシーも聞いていて、そう、確かにベイシーの音楽はとてもパワフルだし、聞いていてウソのない音楽だから、そういうことを踏まえて、たまにモダンジャズとかソウル・ジャズを聞く男性にもカウント・ベイシーいいよねという男がいたので、自分はイマイチ乗り切れず、そして、そういう人が信用でき流に値しなかったので、ベイシーはほぼほぼ食わず嫌いでした。


むしろ、スウィングといえば、自分は専らベニーグッドマンのカーネギーホール(と言ってもこの盤でもしっかりベイシーが弾いていますが)やら、デューク・エリントン、ビックス・ベイダーバック、グレン・ミラー(ジャズか?)、それにシドニー・べシェとか、若い頃のルイ・アームストロングを聴いて感動していました。それにその人たちの頃の音楽こそが、スウィングというかジャズの創生というか現在の雛形(創生というと、もっと遡ってラグタイムとか黒人霊歌ですね)だと思っていたので。

要は、若い女の子受けを狙った、スウィングも知ってるよ的な男性が聞くイメージが10代の終わりから20代の初めに植え付けられてしまったので、ベイシーは殆ど聞いてませんでした。

あとは、カウント・ベイシーの音楽って、なんだか胸焼けしませんか?サーロインステーキ定食のご飯はカツ丼で、スープはこってりしたカレーって感じくらい、、、
やばいですね、ここまできて何一ついいことを書いていない、、、笑

でも、なんだか胸焼けしてもいいからやけ食いしたい時もあるように、昨日、その時が来たんです。
なので、確か何枚か持っているうちの一枚の「イン・ロンドン」を(あれはいい、とても激しくてこの蒸し暑い夏に聞くにはもってこいです)聞こうと思い、レコード棚を見ると、、、ない。ベイシーのレコードが一枚もない、、そうか、去年の夏にレコードを断捨離(5〜600枚くらいだっけ)したときに、全て売ってしまったのかと。
なので、近所の中古レコード店で買ってきました。

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「April in Paris」「And the kansas city 7」「Count Basie swings/Joe Williams sings」の3枚、名盤ばかり。しかも値段が、昨今のレコード高騰化にもかかわらず、全て良心的な500円前後。それでも高い方だと思うけれども、、ですが。スウィングジャズは、そもそも別コーナーで、殆ど奏者別にも分かれておらず、カウント・ベイシーやエリントンの一部の盤を除いては、10年前と相変わらず、殆どが300円以下である。もちろん日本編集の独自版やらが多いのですが、それにもかかわらずです。
いくら需要と供給バランスに合わせてもなぁと思う。そういえばこの間も、ベニーグッドマンの最初期のコロンビアのカーネギーホールレコードが4〜500円で売っていたのにも、唖然としましたね、、、これが今のスウィングだけでなく、全てのジャズの原点であると言っても過言ではない音楽なのに、、。
この3枚を選んだ理由は、特になく、そして殆どカウント・ベイシーの名盤に関する知識も持ち合わせていないので、ほぼジャケ買いである。名盤とわかるのは、この文章を書くときに調べたら、ほぼほぼ上記は出てきたので、そう判断しました。

まずは、「And the kansas city 7」から。
結構ネットで見ると、これをお勧めしているページもあったので期待して聴いてみました。これは、普段ならビッグバンドでやる(カウントベイシーオーケストラ)ものを、その中でも選りすぐりのメンツ7人と編成を減らして、ベイシーお決まりの曲を演るという、インパルスらしい企画ものなんですが、逆に減らしたせいか、the  Basieという感じではなく、でした。そもそも盤が良くない(レコードはABCのステレオ盤、おそらく70年代の再発盤)せいか、パワーも足りなく聞こえました。ただ、やはりすごいなと思ったのが、この少ない編成でも、強靭にスウィングをしているということでした。元のインパルス盤のMONO盤だと、フレディ・グリーンのリズムもしっかり聴こえるらしいので、そっちを聴きたいなあと。
あと、1曲目が「Lady be good」だったのですが、これだったら、レスター・ヤングとやっていたやつのが遥かに良かった記憶が、、、(そこと比べるのもだいぶ卑怯ですが)

「April in Paris」は、思っていたベイシーにだいぶ近かった、です。というのも生意気すぎますが、、、これは、いわゆるそれまで1930年代から始まったベイシー楽団を1950年に解散してから、メンバーもある程度一新にしてできた、新ベイシー楽団での最も有名な録音の一つとされています。確かに、まあ、文句はつけようがないよな、という演奏ばかりですが、A面が意外とミディアムテンポナンバーがあってか、こうイマイチ自分の中では乗り切れず、、でした。(どうしても、ベイシーの指標は「イン・ロンドン」になってしまうんんだよなぁ…。よくないのですが)
打って変わってB面のシャイニーストッキングからは、すっかり聴いてしまい、そうそうこれだよねって感じでした。(牛すじカツカレー特盛を食べている感じです)

「Count Basie swings/Joe Williams sings」はジョーウィリアムスというベイシーお抱えのボーカリストのボーカル付きのアルバムです。1曲目から、「Everyday(I Have The Blues)」という名曲で、、でもこれも、実はブルースシンガーというか、最早、そちらの持ち歌じゃないかというくらいのがあり、、、(B.B. KingのLive at the Legalを聴いてくだいさいね)
でも、結構聴きやすいし、ボーカルものだと歌いながらスウィングするのでホントに楽しく聴けるという感じです。

そう思うと、ボーカルもので、幾つかカウント・ベイシーのがあったなと、思い、棚を整理したらいくつか出てきたので、その中でも、抜粋して書きます。

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まずはLambert, Hendricks & Rossの「Sing A Song Of Basie」。まぁ、いわずもがな大名盤なのですが、今再び聴いても素晴らしい。バックはホーン抜きのピアノ、リズムギター、ベース、ドラムの少ない編成ですが、皆カウントベイシー楽団のメンバーから。ボーカルもデイブ・ランバート、ジョン・ヘンドリックス、そして紅一点のアニー・ロスの3人だけですが、多重録音で厚みをかけています。何よりもすごいのが、ボーカルの3人がその多重録音したコーラスも含めて、徹頭蛇尾、「スウィング」していること。あぁ、まさにカウント・ベイシーの音楽だと思いました。しっかりフレディ・グリーンのリズムも聴こえるし、本当に素晴らしいアルバムだなと思いました。

もう一つが、 Frank Sinatraの「It might As well Be Swing」
タイトルはジャズ・スタンダードの「It might As well Be Spring(春かしら?)」に掛けたものなんでしょうが、おおよそ「これはスウィングかしら?」なんて、生ぬるいものではなく、もうシナトラのもと、クインシー・ジョーンズ編曲でカウントベイシー楽団が、しっかりスウィング・ジャズを演奏するもので、もう、シナトラのボーカルの説得力とベイシーの極めて強靭なスウィングするパワーがありもありまりまくっているという感じです。「It must be swing,absolutely(もう、絶対に間違いなくスウィング)」というタイトルのが間違いないくらい。


なので、これから、カウント・ベイシーを聞いてみたいう方は、ぜひ「イン・ロンドン」かシナトラの「It might As well Be Swing」を聴いてみてくださいね。
(こんなんでいいのか、ベイシー信者に睨みきかされないかと心配になりますが…。)

追伸;

大学時代に父親と2人で東北を旅行したことがあったのですが、その時、父親の一存で一関にある「ベイシー」という有名なJAZZ喫茶に連れて行かれそうになった(結局行ったけど、その日は定休日だった)事があり、改めて、その当時の穿った考えの青年が入るべからずだったんだろうなと思いました。今は、もうそういうのもないので、シンプルに行ってカウント・ベイシーを聴いてみたいですね。


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