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「仕事ができないこと」は悪いのか。

仕事でミスをした。
自分は仕事のできない人間だ。
あの人はなんでもできるのに、私はこんな簡単なことすらできないダメ社員。
今日もあの人は私との差を見せつける。
仕事のミスすら美しいではないか。
ああ、私は、何をやってもうまくいかない。
そして自己嫌悪。自己嫌悪は悪。そんな自分も悪。

そう思って、仕事ができない自分を責めている人はいませんか。
でもちょっと待って。この記事を読んでほしい。

善悪・良し悪しで分けすぎてしまうのは健全ではない

少しの仕事のミスをしては「自分は仕事ができない”悪い”人間だ」と自己嫌悪に陥る人は、その捉え方を少し変えてみるといいかもしれません。

自分の行動や成果を一律に「善悪」「良し悪し」で判断することは、かなり乱暴なことであり、現実の複雑さを無視することになります。
多くの状況や行動には、善と悪の要素が混在していることが一般的です。ある行動や出来事は、異なる側面から見ると、それぞれ異なる価値判断がなされます。
例えば、ビジネスの世界で競合他社に対する厳しい戦略を取ることは、その企業の利益や競争力向上には「善」と見なされるかもしれませんが、競合他社やその従業員にとっては「悪」と感じる可能性があります。
日常的な例で言うと、仕事での残業が挙げられます。ある側面から見れば、残業はプロジェクトの期限を守るために必要な「善」な行動と見なされるかもしれません。一方で、別の側面から見ると、残業がプライベートな時間や家族との時間を奪うことになり、「悪」と感じられる可能性があります。

このように、同じ行動でも、その影響を受ける人や状況によって、異なる価値判断がなされることがあります。したがって、善悪・良し悪しといった二元論で分けることは、あまり健全ではないのです。

”悪”か”善”か、などはどうでもいい話

出来事を単純に「善」と「悪」に分けることは現実の複雑さゆえ難しいことは先に伝えた通りです。

では、本質的に重要なことはなんでしょうか。

起こったこと、起きたことそのものには、その時点では何も意味などはなく、その後の捉え方によって大きく意味が異なってきます。そして、その意味や影響は、その後の捉え方や対応によって大きく変わることがあります。つまり、出来事自体は変わらないものの、それに対する私たちの理解や反応がその意味を形作るということです。

本質的に重要なのは、その出来事から何を学ぶか、どのように成長できるか、そしてそれが自分や他人にどのような影響を与えるかということに対して思考を巡らせるかどうかということです。

よく、「あの人は、自分に軸があるから、その出来事が良いか悪いか判断し、行動に対する決断ができる」という考えに至る人がいます。
しかし、そもそも現実は”善悪二元論”ではないということ、そしてその判断には自分の軸やメンタルの強さは関係がないということが言えます。

なぜなら、ほとんどの場合、スキルでどうにかなるからです。
自分の価値観や信念に基づいて物事を捉え、それに応じて適切に対応する能力は、さまざまな状況で有効な対処方法を見つけ、ポジティブな結果を生み出すために非常に重要です。
この能力を高めるためには、以下のようなスキルが役立ちます:

  1. 批判的思考:情報を分析し、客観的に評価する能力が重要です。これにより、より明確な判断が可能になります。

  2. 意味づけのスキル:出来事に意味を見出し、それを自分の価値観や目標に結びつける能力が重要です。これにより、モチベーションを維持し、行動を促すことができます。

  3. 適応性:状況に応じて柔軟に対応する能力が重要です。変化に対して柔軟であればあるほど、ストレスを軽減し、有効な対処が可能になります。

  4. コミュニケーションスキル:自分の考えや感情を効果的に伝え、他人と協力する能力が重要です。これにより、理解とサポートを得やすくなります。

  5. セルフケア:自分自身の健康と幸福を維持するためのスキルが重要です。適切なセルフケアにより、ストレス耐性が高まり、全体的なウェルビーイングが向上します。

これらのスキルを磨くことで、さまざまな状況に対してより効果的に対応し、自分の価値観や信念に基づいて意味ある行動をとることができるようになります。

例えば、失敗を経験したとき、それを「自分はダメな人間だ」と捉えるのではなく、「この失敗から何を学べるか?」と考えることができれば、その意味は大きく変わります。このような柔軟な思考と意味づけのスキルは、自己成長やレジリエンス(回復力)にとって非常に価値があります。

結論、善悪で片付けてはいけない

こういうことです。タイトルを見て、「わるいことだろ!」と思った人も、「悪いことじゃないよ」と言ってもらいたかった人も、期待に添えない回答ですみません。

ですが、世の中はほとんどのことが二元論ではないですし、二元論で捉えるだけではその先に解決策はありません。
大事なのは、その事実は認めつつ、前を向いて進むということです。
これは「ひらき直る」とも違います。
できてない仕事は、できるようにならなくてはいけません。ですが、できない自分を責めていてもできるようにはなりません。昨日より一歩前に進むために、考えてみましょう。

とは言っても自己嫌悪になってしまう人もいるかと思いますが、それもまた考える余地がたくさんあります。
その自己嫌悪のお話は次回にしたいと思います。


昔の私は「できないじゃなくてやるしかない」という仕事の環境で育ったのでゴリゴリでしたが、世の中は多様性を重んじる時代です。
はて、多様性とはいったいなんなのだろうと、考えることが多い最近です。

なんてね。

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