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【最難関採用職種】スタートアップ/ベンチャーのCTO採用の教科書

こんにちは、ポテンシャライトの和佐田です。

8/1からスタートした「Potentialight 2022 真夏のブログリレー」今回は、9本目の発信となります!
当社が先月に移転をして、会社として勢いがあるタイミングだからこそ、「新しいチャレンジしてみよう!」ということで暑い夏の期間に多くのメンバーが参加するブログリレーを実施することにいたしました。

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本ブログはスタートアップ/ベンチャー企業様のCTO採用について、深くお話しできればと思いますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです!


昨今、テクノロジーを競争力の源泉とするスタートアップ/ベンチャー企業が増えており、エンジニアの採用はますます重要性を増しています。

その中でも、重要なのが経営における技術戦略を責任を担う「CTO」の存在ではないでしょうか。

ただ、多くの方がご理解されている通り、採用したい企業側の需要に対して、エンジニアの母集団が圧倒的に少なくエンジニアの採用を難航する企業様が多いです。「CTO」であれば、なおさらです。

そのような中で、CTO採用はどのように採用活動を進めていけばいいのか、事前準備編、採用マーケ〜求人票作成編、採用手法編、補足情報の4つに分けて本ブログでご紹介しますので、ぜひ最後までご覧いただけますと幸いです。


1. CTO採用を進める前に把握しておいたほうが良いこと 【事前知識編】

 1-1. CTO採用の市場について

まずは、いくつか一般的なエンジニア採用に関するデータをいくつか見てみましょう。(出典:Stack Overflowより)

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ビジネスサイドの職種とは比較にならないくらい、離職中のエンジニアを採用することは難しいと言われています。

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転職意欲はそこまで高くなくても、良い話があれば、話を聞いてみたいと思っているエンジニアは多いです。

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メンバークラスのエンジニア採用でも難航する企業様が多い状態ですが、レベルの高いエンジニア(例えば、テックリードクラス)となると、スカウトメールの数は膨大です。ある転職媒体に登録しただけで、数百件のスカウトメール(企業からだけではなく、エージェントも含む)が来ると聞くこともあります。

今回の話に戻すと、「CTOの採用」つまり、技術の責任者となりますので上記のデータより、さらに母集団は減り、転職意欲のある方も減ります。

様々存在する職種の中でも、最も難航を極めるのがCTOの採用ではないかと言っても過言ではないということをご理解いただければと思います。

 1-2. CTOのタイプは3つに分かれる

「CTO」というワードだけ聞くと、技術に対して、何でもできるようなスーパーな方を思い浮かべがちですが、CTOのタイプは大きく三つに分かれます。(参考記事はこちら

テック系CTO [技術に強み]
最初はテック系のCTOです。テック系のCTOは所謂、技術が得意ですという方です。これまでエンジニアとしてゴリゴリコードを書いてきたり、テックリードとして業務を行い、今後は経営レイヤまで手を伸ばしCTOを担っていきたいと思われている方が該当します。プライベートの時間まで技術的なことを調べたり、コードを書きたい方のイメージです。

CTOという職業の人を採用するときに気をつけるべきことより

非テック系CTO [どちらかというとマネジメントに強み]
次に、非テック系のCTOです。こちらは技術が得意というよりもどちらかと言うとマネジメントが得意なCTOです。エンジニアとして開発を経験し、その後、エンジニアリングマネージャー(EM)等のエンジニアのマネジメントするポジションに就いており、今後CTOを担っていきたいと思われている方が該当します。(直近、VPoEという職種を置く企業様も増えているため、非テック系CTOは減ってきているのが個人的な所感です。)

CTOという職業の人を採用するときに気をつけるべきことより

気付いたらCTO [幅広くできるタイプ]
最後に、気付いたらCTOになっていたCTOです。このタイプの特徴は何に対しても守備範囲が広く、ビジネスサイトのことも理解しているし、技術のことも理解している方です。そのため、経歴は様々ですが、社長を経験してる人もいれば、全く別ルートからCTOになる方もいらっしゃいます。

CTOという職業の人を採用するときに気をつけるべきことより

「CTO」と言っても、何でも強みとしているわけではないため、どこの強みを持ったCTOを採用したいのかを採用活動を始める前に、選定することをおすすめします。

 1-3. CTO/VPoE/TechLeadはどの順序で採用するべきか

CTOの話から少し広がりますが、気になる方も多いのではないかと思い記載します。結論から申し上げると、決まった順序はありません。代表の強みや思考性、在籍メンバーによります。

ただ、基準があった方がわかりやすいと思いますので、スタートアップ/ベンチャー企業様はどのような組織像を目指すべきか?というゴールから逆算して考えてみましょう。

スタートアップ/ベンチャー企業様が目指すべき組織像は技術でリードできる TechLead(リードエンジニア)のような役割ができる方+組織をリードできるVPoE/EMのような役割ができる方(VPoE/EMの違いは今回は割愛します)が在籍している状態かと思います。

👇CTO/VPoE/TechLeadの違いがわかる表

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もし、既にCTOが在籍していて、どちらかというと技術に強いタイプであれば、組織をリードできるような方を採用した方が良いとなりますし、その逆も然りです。

また、技術でリードできる方、組織をリードできる方が在籍していない場合は技術でリードできる方を採用するべきです。なぜなら、プロダクトをPSF、PMFさせることを第一に考えるべきで、そのために機能を作り替えることが求められるためです。冒頭にも、「テクノロジーを競争力の源泉としている」と記載しましたが、まずは技術を整えていかなければ、競争に勝っていくのが難しいです。そして、将来的に、技術的負債を多く抱えないためにも、プロダクトの成長を見据えた最適なアーキテクチャ設計ができる方いると、尚良いでしょう。

 1-4. CTOが転職する際に知りたい情報とは

以前、当社代表の山根がOpelaというATS(採用管理ツール)の開発にあたり、「CTOへの手紙」というものを作成しました。

CTOへの手紙は一言で言うと、CTOが知りたい情報を取りまとめた資料です。

👇アジェンダの一部をご紹介

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CTOへの手紙のアジェンダ

上記のキャプチャを平たくまとめると、このような感じかと思います。

【CTOが知りたい情報】
・事業内容
・事業の競合企業
・代表のタイプ(考えていること)
・会社の成り立ち
・働き方や社内の雰囲気
・CTOを求めている理由
・CTOに求めている職務内容
・現在のプロダクトの開発状況

ある程度情報がまとまってきたなと思っていましたが、あることに気付きました。それは、企業フェーズ別にCTOが知りたい情報は変わるのではないか?という問いです。

極端な例を出すと、シード期の企業様とシリーズDの企業様では企業のフェーズが全く異なるため、知りたい情報も異なるよねという話です。

ということで、当社が提唱している採用活動の魅力のフレームワークである「6P+CGM」にならって、表を作成しました。

👇それがこちら

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企業フェーズ・魅力項目別にCTOが知りたい情報

【表の説明】
縦軸    :魅力の項目(頭文字を取って6P+CGMと呼ぶ)
横軸    :企業在籍人数
1〜5段階評価:5が最も知りたい情報(企業側が打ち出すべき情報)

表を作成してみると、企業フェーズごとに変化"する"項目と変化"しない"項目がわかりました。

【企業フェーズごとに変化"する"項目】
・profession(職務内容)
・privilege(福利厚生・働き方)
・culture(社内の文化)

【企業フェーズごとに変化"しない"項目】
・philosophy(ビジョン・ミッション等)
・product(事業内容)
・person(一緒に働くメンバー)

企業フェーズごとに変化"する"項目を言い換えると、人数が増えることによって変化し、重要度が"増してくる"ものと言えます。対して、企業フェーズごとに変化"しない"項目は、人数が増えて変化することはあるが、重要度は"変わらない"ものと言えます。

シード/シリーズA(企業人数目安:10名前後)の企業様を例に出して説明してみましょう。

シード/シリーズAの企業様で打ち出すべき項目は、philosophy、product、personです。なぜなら、シード期は開発環境が整っておらず、プロダクトの正式リリースを直近行い、お客様を獲得する時期かと思います。その際に魅力になり得る項目は、代表をはじめとする在籍メンバーや、事業内容の面白さ・ワクワク感、事業を通して成し遂げたいミッション等になるためです。

一方、シード/シリーズA期に「職務内容を明瞭にしてほしい、福利厚生を整えて欲しい」と言われても、アンマッチになる可能性が高いため、そこまで打ち出す必要がないと考えています。また、CTOクラスで、growth(成長できる環境)とMarket(市場)を考えて、転職活動をされる方は少ないので、打ち出す優先度は高くないです。

本項を締めくくりますが、現在の企業フェーズを考えた時に、どの項目を打ち出すべきかを表の中から整理していただければと思います。

2. CTO採用の理想的な進め方 【採用マーケ〜求人票作成編】

ここまででCTO採用の概要を把握いただけたかと思います。ここからはより採用に近しい話をしていきます。まずは以下の資料をご覧ください。

CTOに関わらず、一般的な採用活動の流れはこちら👇

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ただ、他の職種と比較して、難題と言われるCTO採用だからこそ本格的に採用を始める「前」にやるべきことをやっておきたいですよね。

ここまでできたらベストというような理想的なCTO採用の進め方はこちら👇

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理想的なCTO採用の進め方を記載しましたが、企業フェーズによって採用の進め方が異なる部分になりますので、あくまで参考までに見ていただけたらと思います。

一点、補足をすると、CTOを含む、CxOの採用ではミドル〜シニアの採用(全職種)と比較して、採用マーケティングの効果は出にくいと言われます。なぜなら、(人にも寄りますが)自分に近い信頼できる人の意見を信用する傾向にあるためです。そのため、外部への発信はとても重要である一方で、マストではありません。

また、上記で記載している採用ブランディングやエンジニア採用ブランディングは「自社にどのような魅力があるのか整理をすること」とご理解ください。

3. CTOの採用手法 【採用手法編】

ここからは具体的な採用手法についてです。今回は大きく4つの採用手法をお伝えします。

 3-1. 在籍メンバーのリファラル

1つ目は在籍メンバーからのリファラルです。CTOクラスは言わずもがな技術スキルが高いので、紹介だったり引き抜きが常時起こっている状態です。そのため、転職媒体やエージェントを使わずに転職が決まってしまうケースも多々あります。

在籍メンバーのリファラルは母数に限りがありますが、在籍メンバーの友達の友達などにも力を貸していただきながら、リファラルを進めていくことはまずやるべきことと考えています。

リファラル採用はコストもかからないですし、在籍メンバーの知り合いということもあって一定信頼できる方になるので、まずはリファラルを死に物狂いで行うことが重要です。

 3-2. SNS

2つ目はSNSです。1つ目の採用手法でリファラル(知り合いへのアプローチ)について話しているので、2つ目のSNSは知り合いではなく、 SNSなどで繋がりがある方とご理解いただければと思います。

具体的にはTwitter、LinkedIn、Facebook、LINE、YOUTRUSTなどのSNSを活用していく形になりますが、重要なのはCTO候補になりうる方に多くのメッセージを送ることです。(上述の通り優秀な方には多くのスカウトメールが来ているため、いかに文面を工夫し読んでいただけるかも重要なのですが)

スタートアップ/ベンチャーの経営者の創業期は、SNSで繋がりがあり、エンジニアとして活躍いただけそうな方には、ほぼ全員にメッセージを送るという話を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、とても大事な行動だと思っています。なぜなら、「転職を考えている」というのはメッセージを送ってみないとわからないためです。

少し話が変わりますが、業界でも著名な方が退職の旨を発信した場合は、アプローチ方法はすごく考えた方が良いです。間違いなく多くの企業様から声が掛かっていますので、普通にメッセージをしても返ってこないことがほとんどだからです。退職された方と近しい友人を探し、熱量のあるメッセージを伝えるなど、別の方法でアプローチすることをおすすめします。

 3-3. エグゼクティブ/ヘッドハンティング系エージェント

3つ目はエージェント様を活用したアプローチです。 このアプローチは所謂、一本釣りと言えます。ただ、ハイクラスに強みを持っているエージェント様でも、CTO候補をご紹介することは、転職市場に人材が少なく難しいことをまずはご理解ください。

その上で企業側は、数少ないCTO候補を優先的にエージェント様にご紹介いただくために、会社の魅力や特徴・事業戦略・ビジョン・CTOの求める人物像・なぜCTOを採用したいのか等、明瞭にお伝えする必要があります。

「あまりご紹介が来ないから」といって何もしないと、それこそ全くご紹介が来なくなってしまいますので、限られたリソースの中で採用を行っている企業様が多いかと思いますが、エージェント様への説明は丁寧に行った方がいいでしょう。

4. CTO採用の落とし穴 【補足情報】

最後に、CTO採用における落とし穴をご紹介しますので、ご参考いただけたらと思います。

 4-1. CTOといっても幅広いので経験業務をしっかり聞こう

「CTO」の業務は多岐に渡ります。数十のCTO求人を調査したところ、CTOの職務内容は経営・組織・技術戦略・採用/広報の大きく4つに分けることができそうです。

詳細はこちら👇

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つまり、ひとえに「CTO」と言っても、何を強みとしているか、どんな業務を経験しているかは人それぞれというわけです。

そのため、まずは自社で求めているCTOのペルソナ像を明瞭にし、お任せしたい職務内容を決めた上で、CTO候補の方と面談し自分たちが今求めているCTOなのかを見極めていただけたらと思います。

一点、補足をすると、求める人物像が高すぎて採用できない事例が多くあります。多くの企業様が”CTOとして”即戦力となるような方を採用したいと思っていますが、 上述の通りそれはとても難しいです。 (CTOというポジションは最も重要だと言っても過言ではないポジションのため、その気持ちもわかりますが....)

では、どうすればいいでしょうか?

その他の採用難易度の高いポジションにも同じことが言えるのですが、”入社時”にお任せしたい職務、”将来的”にお任せしたい職務で分けてみるという方法があります。

例えば、シード期・シリーズAの企業様であれば、アジャイルにプロダクトを開発してユーザーにファーストリリースしていく段階のため、技術力や実装力が求められることが多いかと思います。

その場合は組織をマネジメントした経験や、経営に近い職務を経験しているCTOを求めるというより、技術選定や、アーキテクチャの設計経験等を持ち、高い実装力を有しているテックリード(将来的にはCTOになりたいという希望があれば尚良い)をメインターゲットにした方が結果的に採用が上手くいき、事業が進みます。

 4-2. 「転職回数が多くて採用しない」は要注意。

こちらの記事に現役CTOへの転職回数に関するアンケート結果が出ておりましたが、以下のような結果でした。

在籍社数 :人数(名)
1社           :6
2社          :14
3社          :14
4社          :15
5〜9社    :14
10社以上 :1

CTOという職業の人を採用するときに気をつけるべきことより

いかがでしょうか。

ミドル〜シニアクラスのエンジニアを採用する際は、大体が3〜4回以下の転職回数の方を求められるかと思います。(年齢によって変化するかと思いますが)

ただ、CTOクラスになると、それなりにキャリアを積んでいる方になりますし、企業から引くて数多の状況です。そのため、個人的には5社以上経験している方でも、まずは会ってみることをおすすめします。

その際に見るべきポイントは、転職理由の一貫性と、価値観・ビジョンのマッチ度合いです。

転職理由の一貫性があれば、もし採用できた際に長く働いていただける可能性が高いです。また、スタートアップ/ベンチャー企業様は開発環境や開発リソースが整っていないことがほとんどかと思います。大変な状況が続く中で、頼りになるのは求職者と企業の目指しているビジョンのマッチ(共感)度合い、そして大変な状況でも、何でも話せる価値観の親和性に尽きると考えています。

話を戻すと、エンジニアの採用市場を理解して、「転職回数が多くて採用しない」という選択を安易にするのは要注意という話でした。

 4-3. ビジネスサイド出身の代表は要注意。

こちらは現場クラスのエンジニア採用でも起こりうることですが、CTOは経営にも関わるポジションのため、代表が技術に対してどのような考えを持っているのかが重要視されます。

技術に対して、理解や肯定的な考えがないと、CTOとしては自分の力を100%発揮できるのかと疑問に感じたり、エンジニアがビジネスサイドの下請けになってしまう可能性を危惧することもあります。

代表自身がコードを書けなくても良いと思いますが、技術に対してある程度勉強し、理解をした上で採用活動に臨むことをおすすめします。

ビジネスサイド出身の代表におすすめなのが、自分が技術に対してどのような理解があり、技術を活用して何をしていきたいかを言語化することです。その一つの手段が大項目1でもお伝えしたCTOの手紙です。ぜひ参考にしていただけたらと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

ここまで、CTO採用に関する情報をご紹介してきましたが、これら全てを網羅して行ったとしても、上手くいくかわからないのがCTO採用だと思っています。

実際にCTOの採用活動を始めて、数ヶ月から一年経っても採用できないケースは多々あります。それくらい難しいという理解をしていただきながら、採用活動に臨んでいただければ幸いです。


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