おばあちゃんと怪しいサプリメント
私の母方の祖母は現在90代後半。
ここ数年で前より耳が遠くなったなとか、声が枯れてきたなと感じるけれど、スタスタ歩くし腰もほぼ曲がっていないし、意識もはっきりしている。一般的に見ればかなり元気なおばあちゃんだ。
勝気な性格で、育った環境により男言葉を使うので、のほほんとした朗らかばあちゃんではなく、「嫌い!」「まずい!」「死にたくない!」などをはっきりめに言う。
それでも私や弟のことは可愛がってくれていて、実家から徒歩3分ほどのおばあちゃんの家に顔を出せば嬉しそうにしてくれる。
2人の叔父さん
そんなおばあちゃんの子供は母を含めて3人。母は末っ子で、上に兄、つまり私にとって叔父さんにあたる人が2人いる。
私から見たそれぞれの叔父さんのイメージは、長兄は口下手でぶっきらぼう、次兄は面倒見が良くエンターテイナーという感じ。それぞれ別の方向で私のことを気にかけてくれていて、今でも顔を合わせれば話をするような関係だ。
前置きが長くなってしまったけれど、今回の話は、長兄の叔父さんとおばあちゃんのこと。(以下「長兄」の表記は省きます)
怪しいサプリメント
叔父さんは今年70歳。(たぶん)
昔から関東に住んでいて、現在も自宅は関東だ。
ただし、ここ数年は自宅と実家(おばあちゃんの家)を行き来しているそうで、月の半分はおばあちゃんと過ごしている。それは当然、おばあちゃんの生活にも関わってくる。
この夏おばあちゃんの家に顔を出しに行ったところ、私の目に飛び込んできたのはかなり怪しいパッケージのサプリメントだった。
これは私がスマホで5分で仕上げたイメージだが、ほぼこれだと思ってもらっていい。
真っ先に私が不安になったのは「おばあちゃん、変な訪問販売にひっかかってねぇか?」ということだ。みんなそう思うと思う。
折を見て恐る恐るおばあちゃんに聞いてみると、それは叔父さんが買ってきたものだという。まじか。
聞けば叔父さんは最近になって急激に健康志向になったらしく、身体によさそうなものをたくさん買い揃えているのだとか。このサプリメントも箱で届くらしい。
よくよく見渡せば、今までおばあちゃんの家では見たことがないような、洒落たココナツオイルの瓶やオーガニックの調味料、林檎酢ドリンクなどが多数置かれており、家の古さとのミスマッチ度合いがすごい。
おばあちゃんの怒り
そして叔父さんは、おばあちゃんと一緒にスーパーに行くと、パッケージの成分表示などを見て「これが悪い」「あれが良い」と、かなりのこだわりを見せてくるという。
これに不満を爆発させているのがおばあちゃんだ。
「おばあちゃんはね、この歳まで好きなものを好きに食べてきたんだからもういいんだよ。今までと同じもんを食えればいいのに、健康がどうとか嫌になっちゃうよ!」だそう。ごもっともだ。
そもそもおばあちゃんはあまり食に興味がなく、いつものメーカーの佃煮とか、具材や味が決まった煮物とか、そういう慣れ親しんだものを食べ続けたいタイプ。だからこそ、勝手に調味料を変えられたり口出しされたりするのが嫌とのことだった。
しかもこんなに健康にお金をかけている叔父さんは、夜遅くまで起きていて昼まで寝ているし、運動はしない。そしてタバコをパカパカ吸う。
これに対してもおばあちゃんは「まずタバコをやめろっていうんだよ!」とぷりぷり怒っていた。まったくその通りである。
ただ申し訳ないが、少し笑ってしまった。
別の懸念
こんなに私に愚痴るおばあちゃんだが、叔父さん本人にはなぜかあまり強く言えないらしい。なんともかわいい。
まあ、おばあちゃんが騙されているわけではなかったので今回はよしとしたけれど、これ叔父さんが騙されてないか?不安だ。
ただ私が口を出すことではないのでしばらく見守るが、あのサプリメントがどこで売っているのかだけは気になって仕方ない。
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