『不合理な世の中でブレない自分の軸を持つ重要性』
『見知らぬ乗客』(1951)
☆監督
アルフレッド・ヒッチコック
☆出演
ファーリー・グレンジャー
ロバート・ウォーカー
パトリシア・ヒッチコック
ルース・ローマン
☆STORY
テニス選手のガイは、不貞な妻ミリアムと離婚して上院議員の娘アンと再婚することを望んでいた。
そんなある日、ガイは列車の中で見知らぬ男ブルーノから話しかけられる。
ブルーノはなぜかガイの事情を良く知っており、ミリアムを殺す代わりにブルーノの父親を殺して欲しいという“交換殺人”をガイに持ちかける。
ガイは相手にしなかったが、その後ブルーノは本当にミリアムを殺害し、ガイにも殺人を実行するよう付きまとう。
☆感想
僕が生まれる前の作家で『太陽がいっぱい』(1960年)などの原作者としても有名なパトリシア・ハイスミスの処女作を「サスペンスの神様」ことアルフレッド・ヒッチコックが映画化。
ハイスミスは複雑な心理的物語を簡潔で宣言的な言葉で描く事が多い。
その中でも、特徴とされる展開の不合理性や不安感、誰もが犯罪者に成り得るという潜在的な犯罪への欲望、人間が持つ二面性を扱った内容だそう。
それは極めてヒッチコック好みでもあると言える。
それもあって、ヒッチコックのたくみなカメラワークと先の読めないシナリオによって、緊張感が持続しつづけるため、面白くないわけがない。
そして本作がヒッチコックのキャリアにおいて、円熟期を迎えたとされる傑作と言われている。
サスペンス映画として、間違いないと言える本作で、サスペンス映画も何気に好きな僕も、本作にどっぷり浸かれたし、何しろ後味がよかった。
映像のクオリティは今よりはるかに劣るけど、サスペンスに必須条件ともいえる人間心理、不安定要素が多く進んでいく。
サスペンスの宙ぶらりんな状態って言わば人生そのものだと思う。
ここからが本題ですが、
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