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日付のある句日記(9)

8月2日
35℃。
起き抜けにエアコンを切り換える(寝室を切って自室のを入れる)。
これだけ暑くても食欲は特に衰えない。いわゆる夏バテにはたぶんなったことがない。
垣間見る簾向かふの熱世界

8月5日
美味しい洋菓子詰め合わせをいただいたので、いちにちひとつずつ楽しみに食べている。うっかりと三つ四つ食べてしまわないよう冷蔵庫からひとつずつ取り出す。
現世とはアイスクリームある世界

8月7日
けして涼しくはないけれど昼間に比べてマシな程度になる夕方、風があって体感が若干涼しめな時はできるだけ歩くようにしている。住宅街の猫がよくいる道をくねくね通り、農業道路に出てから家へ。巨大な入道雲を見上げる。
抜け道のはたてつらぬく雲の峰

8月9日
猫にノミを発見。あわててフロントラインを投与する。翌日から部屋にちらほらとノミをみつけてはガムテープで捕獲する。
あわせて猫の寝床をひっぺがし、すべて洗濯、リビングの敷物もまあまあ汚れていたので処分する。

8月10日
フロントラインが着実に効いて猫も落ち着きを取り戻す。ノミはとても頑丈で、ちょっと叩いたりしたぐらいでは無傷なんですよ、知ってますか。そして本当に飛びます。だから手元の駆除は粘着テープが有効なのであった。
いつのまにか脚をくわれていたこの刺し跡、ノミだったのだな。猛烈に痒い。ムヒの強力なやつをすり込む。
路地裏に猫が風聴く夏夕

8月14日
三辺律子さん訳のジョーン・エイキン『月のケーキ』読了。
表題作はレイヤーが重なった感じで、いくつもの視点が話の中に存在する。
いろんな意味での「寓話」、すごうい、となった。
短夜や寓話のなかのたれか泣く

8月15日
この週にワクチン1回目接種が終わる。夜になって腕の痛みが強まりロキソニンテープを貼って寝る。体温は六度台後半の微熱、首から肩にかけて張った感じ。これは単に肩こりかもしれない。

8月22日

猛暑により春先に植えたネモフィラは死滅してしまった。マツバギクが妙な長さにうにょうにょはびこり、ラベンダーもなぜだかすこぶる元気。
草花も逃げたかりしよ暑さかな

8月31日
カポーティ『ティファニーで朝食を』再読。新潮文庫版、収録されている「クリスマスの思い出」が鼻の奥にツーンとくる良作で、読後しんみりしてしまう。エイキンの世界にも通じる、無力さの中の自由、イノセントさが消失していく物語。
カポーティ、フィッツジェラルド、カーヴァーはそういえば村上春樹訳でしか読んだことないなと、思ったら「かなえられた祈り」は川本三郎だったし「グレート・ギャツビー」は野崎孝だった。記憶がいい加減すぎる。
県境曖昧なまま水守る

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