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日付のある句日記(10)

9月3日
かぼすをたくさんいただいたので絞ってポン酢にしてみた。白菜と豚肉のミルフィーユ鍋にあわせる。香り高い。
新涼やポン酢のぽんはよい響き

9月5日
この週にワクチン2回目接種を終えた。びびりまくって解熱剤・冷えピタ的なもの・スポーツドリンク・冷湿布(低刺激性のもの)など準備していたが発熱はせず。腕の痛みだけあったので湿布を貼ってスポドリをごくごく飲んだ。冷えピタ的なものは薬局で売り切れていて3件ほどまわって入手した。

9月7日
結局ワクチン接種は2回ともひどく涼しい日で雨が降ったり降りそうだったり。自治体のチケットで指定の病院で行ったがめちゃくちゃ空いていて、市内の人々よ大丈夫か、とあらぬ方向の不安が募った。

9月13日
9月に入って暑さのモードが変わった気がする。30℃はあるけれど空気は澄んでいて、イヤになる性質の暑さではなくなっているような。毎年こんなことを思っている気がする。自分に言い聞かせているのだろう、もう秋だ、夏はもういない、大丈夫だ秋が来たぞ!と。救助隊が到着したぞ、みたいな感じで。
留守にしていたと折から秋の声

9月16日
家の者がテレビコマーシャルを見ていて突然坂口健太郎を判別したことに驚く。彼は役者さんの見分けが不得手で、特に最近よく見るようなひとびとを個別認識していない。60年代あたりの役者さんについてはきちんと見分けがついているようなので、やはり人は青春時代にインプットされたものは強く焼き付いて残るものなのだなと感心する。
青春のやうに団栗ころがりぬ

9月19日
しかし「恋は雨上がりのように」で小松菜奈ちゃんにはまったらしく、原作の漫画を買ったり、他の映画(「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」も原作を買っていた)を借りて観たりしているようである。この夜、笑神さまに出ているのを教えると相好を崩していた。
青蜜柑今更といふ皿を割る

9月23日
河東碧梧桐の新傾向俳句、新傾向俳句以後の作品を読んでむむむ、と唸る。音数律への忌避感がすごいのと、うっかりしたら結句が切れてしまいそうなのを堪えてるように見える、その奇妙な緊張感で読んでいてへとへとになってしまう。もちろんそんなふうに見えるのは、今現在=発表された当時ではない時間軸から見ているからでもあるのだろうけど。〔飯屋の蠅取りの据え処〕とか〔晝寝の机押しやりしまゝ〕とか、いいなと思うものも少しあるんだけど。そういえば石川九楊『河東碧梧桐』をまだ読んでなかった。
新しいものから蛇穴に入る

9月30日
さいきん『シャーロックホームズ語辞典』をかたわらにシャーロックホームズ正典(河出の全集)を読み直す、というのをやっている。これがもうめちゃくちゃおもしろい。たとえば『四つの署名』を読んでいて、そういやメアリがたくさん出てくるよなあ…と「め」のページを繰ると、4人のメアリが並んでいる。えのころ工房さんのいろいろゆきとどいたイラストも楽しい。おもしろくて読書が中断しがち、という盲点はある。
書くだろう君は秋思のごときもの

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