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日付のある句日記(11)

10月1日
はしもとみおさんの木彫展を見た。撮影可ということで会場中にスマホのシャッター音がひびく。会場のあちこちにある、SNSでずっと見ていた月(ユエ)くんの像に感極まってしまう。宇宙犬ライカの展示コーナーでは、小さな宇宙犬の群れがライカを見上げるように並べられていた。
宇宙犬めぐる銀河を秋惜しむ

10月3日
猫Bに膀胱炎の兆しあり、尿をとって本体を連れていったところ、ビンゴ。抗生剤の注射を受けて帰宅。二週間後に尿の再検査。

10月10日
かつての体育の日。スポーツの日と改称されても心の中では体育の日。
人の影縺れてしまふ体育の日

10月17日
今年も羽毛布団を解禁する日がきた。軽くて暖かいこの感触、最高だ。
空の隅見つけたやうに鳥渡る

10月18日
夕刻、作家・山本文緒さんの訃報。十代から読み継いでいた。特にエッセイ3部作(「そして私はひとりになった」「日々是作文」「再婚生活」)はずいぶん繰り返し読んだ。リーダビリティという言葉はここ十年ぐらいに浸透した気がするが、山本文緒の文章も、どんどん読ませるものだと思う。
さみしいなあ。ご冥福をお祈りします。

10月20日
猫Bの膀胱炎が改善せず、抗生剤を変えることに。飲み薬を処方されたがまったく受け付けず、持病の薬も拒否られてしまった。注射を2本打たれて帰宅、怒りの飯食い。

10月21日
猫Bは病院から帰るとうおーーーと飯を食べてうろついて寝る、というパターン。ふだんは昼間は小食なのに、なぜだろう。病院で生命の危機を感じるから?よくわからないがその後はぐうすか寝ている。
木犀が何度も咲いて猫帰る

10月24日
せまりくる展示のため仕事の合間にひたすら紙を切ったり折ったり穴を開けたりしている。シルクスクリーンの印刷方向をまんまと間違えて紙をいくらか駄目にする。一回休み。
秋燈や紙の表に影の散る

10月27日
一週間にわたる猫の通院が終了。検査結果が良好だったと報せを出先で受け取る。猫と、毎日注射を打ちに連れて行った家の者をねぎらう。

10月28日
ギャラリーメゾンドネコで「豆本の宇宙2021」はじまる。豆本オンリーの展示イベント、5年目の参加になる。今年はガム型の句集を作ってみたところヤヤウケ気味のようでちょっとうれしい。伺いたいところだったが意外とたてこんでいて向かえず。
貝の穴覗いてみたる夜寒かな

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